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第0節  「漆黒の翼」


昼間でも人通りがなくガラの悪い人がうろつく裏通り・・・
所狭しと建物のレンガが並んでおり、まるで迷路だ。
しかも今は夜・・、満月が輝いているが裏通りまで月明かりがはっきりと届くことはない
所々隙間から明かりが漏れる程度だ・・

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」
そのレンガの迷路を慌てて走る女性が一人・・・
長いスカートを手で上げている。
どう見てもこんな裏通りに住む人間ではない、あやまって入ってしまったか・・
ここに住むタチの悪い連中に用があるのか・・。
いずれにせよ、女性一人がいるのは無謀なことには違いない

「待てや、こらぁ!」
女性を追いかける男の声がする・・・。
こちらはモヒカン頭の男でかなり手前からでも「不良です」とわかる・・
服装も小汚いもので、一般市民ならまず避けて通るタイプだ

必至で逃げる女性だが突き当たりにさしかかってしまった・・・
振り向くとモヒカン男・・・、もはや逃げ場はない
「へへへ・・・、泣いても叫んでも誰もこないぜ?」
「い・・・いやぁ・・」
小さく悲鳴をもらす女性・・、その目はもはや絶望の灯火が灯っている・・・
「こんな裏通りに入ってきたお嬢さんが悪いのさ・・、安心しな。
遊んで後に高く売り飛ばしてやるよ」
「いっ、いやーーー!!」
大きな悲鳴を上げる女性、そして襲いかかるモヒカン・・
その時

 待てぃ!!

どこからともなく声が聞こえた・・
「誰だ!」

 美しい光さす満月の下でも悪事を行うか・・、月が許そうとも我が正義は許さぬ!

「ちっ、姿を見せろ!ドクサレが!!」
懐から鋭利なナイフを取り出すモヒカン。
・・狭い通路のどこにもその声の主はいない・・
「とぅ!!!!」
いきなり頭上に飛びかかる何か・・・
黒い大きな翼を持っていること以外は暗くて女性にはわからなかった・・
「てめぇ!」
よくわからないまま無我夢中にナイフを振り回すモヒカン頭。
バキッ!!!
「成敗ぃ!!」
声の主がそう叫ぶとモヒカンは宙に舞い、
月明かりを遮っていた建物の屋根をつき破った・・
・・・・・
「大丈夫ですか?お嬢さん」
暗闇の中から気遣う謎の者、声の質からして男ということしかわからない
「はい・・、ありがとうございます。助かりました・・、あの、あなたは・・・?」
依然まわりが薄暗く、助けてもらった者はまっきりと見えない・・・
「名乗るほどの者ではございません、ではっ、小生はこれにて・・・・」
そういうと声の主は少しづつ遠ざかっていった・・。
やがてモヒカンが破った屋根から月の光がさしこむ・・
そこには一匹の猟犬がいるだけだった・・・・
女性はしばらくその場に立ち尽くしたが・・、やがて夢でも見たかのようにフラッと
立ち去った・・・・


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