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第3話  「法王の代償」


「さて・・彼のことを話すのはいいとして、貴方達フィートの事をどれだけ知っているの?」
一応は客人・・っということでアンジェリカはハーブティーを入れて俺とエネに出してくれた
ハーブティ・・っうかなんだか薬膳茶って言った方が似合って良そう・・
香りはいいんだけど・・かすかに薬っぽい。
オマケにガラスのティーカップだから中の赤茶色が全開だ
「ええっと、フィート君は『法王』って偉い魔術師でエッチで〜・・・優しい」
エネがそう言うとなんだかフィートがよっぽどに聞こえるなぁ・・っうか確かにエロいけど
「それじゃ感想じゃねぇか?あいつは〜、アルマティ出身の魔術師でそこを出て海外の術を学んでいる最中に俺と出会った。そんでもってあいつの誘いで何でも屋としてルザリアに来て・・
女を弄びながら現在に至る・・ってかな?
恨まれる女は数知れずだけど、なんだかエネが本命っぽい」
「クロムウェルさん〜♪」
「ふぅん・・それだけ?」
「ああっ・・そんなもんだな。」
「じゃあ、彼の出身とか法王になった経緯とかは教えてないんだ・・」
「おい、ちょっと待て。アルマティ出身じゃあないのか?」
「それは魔術師としての出身よ。ここで子供なんて育てるわけないじゃないの・・。
合理的な育児の為の魔法研究とか言って速攻で拉致されるわ」
・・・ほんと、やばい所なんですね・・
「じゃあ・・あいつはどこの出身なんだ?」
「さぁね、一応はサマルカンド地方出身だということは聞いたことがあるけれども・・
家出をしてアルマティに来たんだって」
「家出・・俺と一緒だなぁ」
「何でも母親が男と共に逃げたらしいのよ。
残った父親は自暴自棄、次第に乱暴者になった彼はそれに耐えられずに逃げた・・ってわけ。
思えば彼が女性不審になったのもそれが最初だったのかもね」
女性・・不審?
「そ・・そんなことが・・」
「まぁこんな過去誰にも言わないわね。
私も彼の弱みを握るために調べたから知ったんだけど・・。
アカデミーに入った彼は恩師の助けもあってメキメキその頭角を表した。
それこそ法王候補とよばれるほどの・・ね」
「恩師・・、今フィートが迎えに行った奴か?」
「いいえっ、違うわ。
アカデミーに入った彼を育てたのは若い女性の風魔術師よ・・、
それこそ彼の姉のように慕い魔法を教えていた・・」
「で・・その人は・・・?」
「フィート君が殺したわ」
「「!?」」
あいつが・・女を殺した?・・弄んで捨てるのはよくあることだが、そんなことを・・
「意外?当時は結構話題にはなったんだけどね、彼はほんとにその女性を慕っていた・・・、自分を裏切った母親に対する憎悪を消してくれるぐらい。
でも彼女はフィート君を利用しているだけに過ぎなかった、
自分の教育の技術が高いということをアカデミーに知らせるための駒だったのよ。
これを知ったフィート君は巧妙な計画で彼女を葬った。
・・それこそ数年経たないとわからないぐらいのね」
・・・・、愛しさ余ってなんとやら・・か
「その時からね、彼は女性を人としてでなく利用するモノとして接し出したの。
ナンパ師のように優しく接して気付いたら身包み剥がしていたりしてね。
それが彼が法王になるために失った物・・なのかもしれないわね」
「フィ・・フィート君が・・」
「・・どう?これが貴方が愛している男の全てよ?」
「でも・・どうして私は・・・」
「さぁね、あの性格が治ったとは思えないんだけどね・・
でも・・少しは顔つきが穏やかになったって感じだから貴方が関わっていることは間違いないわ。」
「・・うん・・」
「聞かない方がよかったでしょ?」
「・・・・・でも・・・それでも私、フィート君が好きです。それを含めてのフィート君だもの・・」
エネもどうやら本当にフィートを想っているようだな、
「変わっているわね。そういう考え・・少し羨ましいわ」
「こんなところじゃ他人を信用できないだろうからな、
ほんとっ、あんたもアカデミー卒業したんだったら他の所で働いたほうがいいんじゃ・・」
「さっき聞いていたでしょ?体が治れば何もここじゃなくてもいいんだし」
「その・・アンジェリカさんは病気か何か・・なんですか?」
「まっ、学生時代に実験でヘマしてね。変なのに寄生されたの。
当時は治療不可能ってことだったけど自力で治す方法を見つけて今それを試している最中よ。
完治するまでここにある資料とかは貴重だから・・離れられないのよね」
き・・寄生って・・何やら物騒な話だよな・・
感染症か何かの実験でもしていたのだろうか。
「でも不思議ね、クロムウェル・・だっけ?傭兵公社の人間が何でも屋・・。
いくら過去の栄光とはいえその名はまだブランドよ?」
まぁ崩壊こそすれどもまだかなり有名だからな、
公社の証の灰色の獅子の紋章を見せれば王家に仕えるのも簡単だろうが・・
そんなこと絶対しない
大方言い様に扱われて切り捨てられるのが関の山ってな・・
そんな栄光よりも俺には護りたい幸せがある
「エリートじゃないって言っただろ?
っうか何でも屋と言っても俺は『ルザリア騎士団特別教官』の
肩書きを持っているお抱えなんだぞ?」
「・・って言うことは騎士なの、でもそれがここに来るってのもおかしいわね。
・・そう言う意味でも『特別』なのかしら?」
「う゛・・、まぁな。騎士団が大変な時に協力しているわけだ。」
「ほんと出世欲がないのね・・。まぁ着ている物自体で雰囲気は出ているけど」
・・何の雰囲気だ?大体俺が偉くなって変なスーツでも着ようものなら
ルザリアの住民は全員笑い転げて腸捻転にクライブ過労死決定だっての

「先輩は着物が無頓着ですからね〜」


おおっ、フィートが戻ってきた。あんな話題があったのにエネは表情そのままだな・・
「うっせい、動きやすさと安さが一番ぢゃい!・・お前もそんなに対したことないやん」
「下はそんなに変わりませんがこの魔術師のマントはかなりのものですよ?」
「・・お値段は?」
「聞かない方がいいですね♪」
・・そんなに・・高かったか?前にゴット筋肉男に剥ぎ取られてすぐ発注していたんだけど・・
「まっ、いいや。それで・・その恩師はどうした?一緒じゃなさそうだが・・」

”おう!待たせたな!”

俺が言うのと同時にフィートの後から現れる赤い道着のじいさん、
ほっそりとしているが結構元気そうな・・、
ハゲが気になるし魔術師というか陰陽術師だな。
「ほぉ!お前さんが傭兵公社出身の拳闘士か!なかなかいい気を放っているな!」
「・・げ・・元気そうなじいさんだな?まだ引退しなくていいんじゃないか?」
「はっ!俺は生涯現役だ!ここの教師を辞めることは辞めるんだがな!」
・・、ほんと、生涯現役できそうだな〜・・。
っうかいくつだよ
「先輩、この方がアルマティを代表し『烈火の法王』として色々と恨まれている、リー先生です」
「恨まれているは余計だ!法王ってのは恨まれてなんぼだよ!」
「・・おっちゃんも法王なん。そらごっつい話やなぁ」
「先輩、言葉使い変ですよ?」
なんか気迫で圧されるよ・・
「それで、先生。そろそろ本題を・・」
アンジェリカはそのまんま、フィートにしろこの気質には慣れるしかないのか
「おう!じゃあ説明するぜ・・。お前を呼んだのは他でもない。
どうもアルマティの中で不穏な動きがあるっぽい」
「・・不穏なのは四六時中でしょ?」
「まぁ話は最後まで聞け!
実は法王などの高位術師しか見られない機密書庫にある
禁呪書物が何者かが観覧していた形跡があったんだ」
禁呪・・?ヤバそうな代物っぽい事は間違いなさそうだな、フィートの顔が引きつっていやがる
「あの・・それって・・?」
エネなんかさっぱりのようだぜ
「お嬢ちゃん。禁呪書物ってのはまぁ・・外道の法の集大成ってやつだ。
人を人じゃないものにしたり死者を黄泉がえらしたり、
あげくは神を降臨させたりとまぁどれも物騒なものだ」
「え・・でも、死んだ人を蘇えらせるなら良い魔法じゃないですか?」
・・そうだな、それが大事な者だったら・・摂理に反してもそうしたいものだ
「己一人の事だとそれも正しい・・だがな。
そんな術が世に溢れるとそれこそ人工が減らずにたちまち人が溢れる・・、
そうなると食う物が全くなくなっちまう
そうなったら真の地獄さ」
「・・あ・・」
「まぁ、まずそうなることはありえねぇけどな。
死者蘇生の呪はそれこそ俺がやっても成功する確率は20%が良いところだ。
失敗すれば術をかけた死体は知性もなくただ欲を解消するだけの食人鬼へと成り下がる。
・・お嬢ちゃんはそんなの耐えきれるか?
親しい人間が自分を食おうと襲いかかるのは・・」
「・・うう・・そんなの嫌ですぅ・・」
「そっ、だからンな魔法は封印したほうがいいってわけだ」
「・・それは良いとして、観覧したのならばそれはそれでいいんじゃないですか?
権限があるのは学長とその他数人、後はリー先生ぐらいだし・・」
まっ、見るだけならば問題はないんだしなぁ
「そう言いたいんだがよ、どうやらレイアードの連中が一枚噛んでるっぽいんだよ」
「!?・・連中が・・ですか?」
「ああっ・・研究資料として忍びこんだとしたらおかしくない話だろう?」
・・・話が見えん、アンジェリカは平然としているが俺とエネはもうこんがらがって・・
「おっちゃん、レイアードって何だ?」
「お前さんそんなことも・・・って頭まで筋肉でできていそうだからな・・。
ほれ、フィート!説明してやれ!」
「そこまで言ったんだったら自分で説明したほうが早いのに・・、
レイアードって言うのは都市名です・・ただし地図に載っていませんがね」
「・・地図に乗っていない都市?」
「そう、貴族達が自分の栄光を永久のものにするべく極秘裏に作られた魔法都市・・
それがレイアードです。
魔法の発展に尽力を注いでいるという点ではアルマティとそうは変わりませんが
彼らの場合は貴族の欲望を適えることが第一の目的、
ですから人体実験や禁呪などを平気で行っている正しく狂気の都市なんですよ」
・・そんなものが存在していたのか・・、普通に生きていれば全くわからないな
「そんな物騒な連中がここに潜んで何かやらかすつもりなのか・・でも・・人体実験・・。
不老不死とか何だろうな」
「ええっ、そう言えば・・先輩の傭兵時代、13部隊にファラ=ハミルトンって人いましたよね?」
・・懐かしい名前をだすなぁ
「ああっ、『黒い炎の魔女』として有名だったからな。あいつがどうしたんだ?」
「彼女の出身もレイアードですよ?だからどこか普通じゃなかったでしょう?」
!?・・ファラって・・そんなところ出身だったのか!全然知らなかった・・
「あ・・ああ。そう言えば多重人格みたいだったな・・
昔の事を話したことなんかなかったから全然知らなかったけど・・」
「・・、そうですか。彼女はその事を・・、まぁあんな感じで人体実験を繰り広げているわけですよ」
「それに、俺の勘だとそいつはこのアカデミーの連中とも通じている・・
俺はもうここを辞めるが生徒は少々いるからな・・裏でそいつらを始末してぇってわけだ。
そこでフィートをよこしたんだ」
「・・なるほど。じゃあ僕達3人と先輩でその黒幕を始末するわけですか」
「・・・そっ、でもエネちゃんは危険だから常にフィート君と一緒にいなさい。」
「えっ・・、ここにいたら・・」
「まっ、今は俺達が検閲を遮断しているがいつもというわけにはいかねぇ。
お嬢ちゃんがここでずっといるってことは安全とは言えないんだよ」
「・・・・・、ほんと、ヤバイ都市だねぇ。ルザリアって平和だったんだなぁ」
「遠い目をするな!坊主!じゃあともかく情報収集だ。俺とフィートはアカデミーをうろつく。
坊主とアンジェリカとお嬢ちゃんは街で色々と探ってくれ」
・・このおっちゃんほんと暑いな〜・・まぁ法王は法王で動くから任せておいて問題ないか


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