第1話  「窓からの来客」


いつもの部屋でいつもの日光浴・・・

いや〜、平和だね〜♪

のんびりと伸びをする俺、ことクロムウェル・・
この貿易都市ルザリアで何でも屋をしている腕っぷしのいい格闘家だ。
とはいえ現在仕事もなく暇している。
最近は冒険者志望な若者が急増しているため冒険者ギルドも中々どうして繁盛している・・
そのため仕事がなかなか周ってこないんだ、これが・・
まぁ俺にはこの町の騎士団から直接依頼を受けたりしているから問題ないけど・・
その騎士団も今のところ仕事もないらしくお呼ばれなし・・

「毎日日光浴していると・・、なんだか老け込んでしまいそうですね」
となりで呟くのは相棒のフィート。優秀な魔術師であり邪悪なナンパ師でもある・・・
「エネはどうしたんだ?」
「母親と一緒にお出かけですって」
「屋敷の受けつけねーちゃんは?」
「飽きました」
・・・てめ〜・・・
「先輩はタイムさんとイチャつかないのですか?」
「あいつは団長業務に忙しいんだよ。邪魔しちゃ悪い」
「手伝ってあげたらいいじゃないですか〜、きっと喜びますよ♪」
「・・俺にデスクワークをやれと・・?タイムと他の騎士に半殺しにされるわ」
俺は騎士団団長のタイムと・・まぁ・・・付き合っている〜・・・、の・・かな?
まぁよくつるんでいるんだ。

コンコン

「入ってま〜す♪」
「それはトイレですよ。先輩・・・」
ツッコミありがとう、フィート
「相変わらずですね・・」
入ってきたのは親交のある医者クライブだ・・。
若いが腕のある名医で以前護衛したことがある・・
ボサボサで不精髭の青年・・ここまでは普通なのだが何時にも増して頬がこけている
「クライブかっ?どしたの?忙しいんじゃないかい?」
こいつは中々評判がいいのでしょっちゅう診察に周っているんだ
そのため半分『医者の不養生』気味になっている・・・
「ちょっと相談がありましてね・・」
浮かない顔のクライブ・・
「んっ?何かな?」
暇つぶしに聞いてみることにした。俺に相談っていうのもなんだか間違っている気がするが・・
「ちょっと言いにくい事なんですが・・・」
「?、なんだよ」
「僕に・・、言い寄ってきている女性がいるんですよ・・」
頭を掻きながら迷惑そうなクライブ・・
「・・・ふぅん、でっ?」
「それがまた僕の苦手なタイプなので・・・、何とかなりませんかね?」
「う〜ん・・・・、フィート、オとせる?」
「僕に不可能はないです!」
自信たっぷり・・・、なんか気に入らない・・
「じゃあ目標をクライブからフィートに変えて散々弄んで捨てる・・ってのは?」
「先輩〜、それじゃあ僕が女性の敵みたいじゃないですか〜」
・・違うの?ってかさっき『飽きた』とか言っていたじゃねぇか!
「・・それで、その女の名前は?」
「確か・・、カチューシャ・・でしたね」
!!!
「もしかして・・、カチューシャ=ヴァーゲンシュタイン?」
「ああっ、そうです!そんな名前でしたね」
「・・先輩、知っているんですか?」
「・・・・・・・・・・・俺の妹」
「「・・・ええっ!!」」
驚く二人・・、まぁそうだわな〜・・
「先輩に妹が!!さぞかし危険な(ベキッ!)・・・すみません・・」
「・・身内なら話が早いです、なんとかしてくれませんか・・?」
ほとほと困っている模様・・・、まぁそうだろうな・
あいつに睨まれたら・・
「・・わかった。でっ、あいつはどこにいるんだ?」
「さっきまで追いかけてきてたんですけど・・、なんとか逃げれました・・」
「・・甘いな、あいつの事だ。追いかけていたとなると・・」

“見つけたーーー!!”

ガシャアアアアアアン!!

いきなり窓から声が響いたと思うとガラスを割って入ってくる人影・・・
・・・・はぁ、相変わらずか・・・
「クライブさん!逃げるなんてずるい!!」
入ってきたのは金髪のボーイッシュな女・・・・
動きやすい黄色の服装に金髪の三つ編み、変わってないな・・
「・・カチュア、ガラス代弁償しろよ?」
「ああん?なんで私の愛称・・って・・・・・・兄さん!なんでここにいるの・・?」
「ここは俺の部屋だー、ばかたれ〜」
「あ、あらっ?そうだったんだ。あはははははは」
「あははじゃない!」
「でも久しぶり〜!家出て行ってもう何年よ?」
「傭兵してたからわかんねぇよ。お前・・、いつから人攫いが趣味になったんだ?」
「しっつれいね!これはちゃんとしたアプローチ!!私、クライブさんが好きなの♪」
ガラス割って飛びこんでくるのが・・か?
「・・クライブさんや。あんた、とんでもないのに目をつけられたな・・」
「・・助けてください・・・」
「・・まぁなんとか説得してみるよ・・」
ともあれ、ジャジャ馬から話を聞こう・・、身内なら仕方ないけど・・・。
知らない連中なら処刑もんだぞ?ガラスの破片片付けるのも大変だし・・・


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