第1話 「盗賊or義賊?」


商業都市として発展を続けている都市ルザリア・・・・
王国騎士団も駐屯している屋敷もありどこぞの貴族どももこの街に住んでいる、
郊外には難民、貧民のテント群があり貧富の差は・・・・・まぁ激しいか
だから騎士団では手が回らないくらい、いざこざがある
まぁ俺達はそれを食い扶持にしてるってわけさ・・・・・・

結構痛んでいるボロ宿屋・・・、
2階建てでそりゃあもうってくらい寂れている
泊まる客は極々少数常連程度なこの店が俺達の拠点だ。
「先輩〜、暇ですね・・・」
宿の一室・・、この部屋は俺達が貸しきっているんだけど
そこで紫髪の青少年が呟く・・
こいつはフィート。俺の相棒で魔術師だ。
黒いフードをかぶりいかにもって感じの容姿だから、
魔術師に見えなかったら目医者に行きましょう。
まっ、ガキのような外見だけど魔法学校を首席で卒業する、
キャリア系なのに女慣れしている等、意外性に富む奴だ。


そして俺はクロムウェル、イケてる格闘家だ。
容姿端麗、豪力無双、才色兼備と
3拍子そろったナイスなガイだ!
短めの金髪を後ろに上げて文句成しの男前ぇ!!
・・・なのに女に縁がないのはきっと神様が俺に嫉妬しているに違いない!!!

ははははははははっは・・・・・はぁ・・

・・自己紹介はこんくらいにして俺達は今仕事もなくて暇している・・
具体的には床に寝転がって日光浴中
昼下がりの陽気が気持ち良い・・・・・
「まぁ、平和が一番ってこったな」
「でも〜、所持金に余裕あるんですか?」
金銭面にはシビアなフィート、
しかし銭勘定は「衝動買いの貴公子」こと俺が担当している・・・
何か間違ってない?
「後、1週間は持つかな?それに今朝ギルドに行っても仕事何もなかったんだからな・・」
「とほほ・・・・」
「そんなに暇ならエネのとこに行ってこいよ?」
エネとは以前俺達が助けた少女のことだ。
ひょんなことで騒動になったんだが解決する間にフィートが口説き落としたのだ・・・・・、
不謹慎極まりない!!!
まぁそんなわけで事件が解決してもこいつはエネに会いに行っている
「楽しみはむさぼるものじゃないですよ(ニヤッ)」
こ・・・こいつ!!!うらやましいこと言いやがって!!
「けっ!全く、不謹慎な奴だ!」
「先輩・・・、嫉妬ですか?」
「・・・・フィート君、俺様の拳に砕けないものはないが・・・試してみる?」
「・・ごめんなさい」
「よろしい」
ともあれ、1日中日の光を浴びているわけにもいかないしやることも特にない・・・
退屈は時として心を蝕むの〜

コンコン

ふいに部屋をノックする音が・・・
「開いてるよ〜ん、どうぞー」
気のない返事をする、どうせロクでもない奴だろうな、ツケの回収とか・・・
しかし入ってきたのは意外な人物だった。

「・・・・・・光合成でもしているのか?」

入ってきていきなり毒づくのはこの街の騎士団に所属している女騎士タイムだ
そりゃあもうってぐらい無愛想な女だが仕事上付き合いがあるんだ、これが・・
まぁ見た目はスラッと長めの赤髪で片目を隠して色っぽいし
ボディラインもパーフェクトゥ!!
いつものスーツ姿ではなくスカートはいた町娘調なのが意外だ・・・・
これで性格がよければ言うことないんだがな〜・・
「・・人の部屋入ってきて第一声がそれか?」
「お前相手に常識なんぞ必要あるまい」
・・・酷い!!
「でもタイムさんがここにくるなんて珍しいですね?どうしたんですか?」
フィートもノーリアクション、さっさと会話を進めている・・・
なんかさ〜、俺に人権あるの?
「まぁな、お前達に少し頼みたいことがあるんだ」
「仕事か?」
「ああっ、見たところ暇そうだから受けてくれるな?」
一方的だぞ、こら〜
「まずは話してからだろ?ほれ、座れよ!」
むかつくが一応世話になっているので椅子を差し出す、
ちなみに俺とフィートは床にあぐらかき・・・・
「ああっ、それでは座らせてもらおうか」
遠慮なく座るタイム、全く図太い、遠慮くらいしろや
しかも足まで組んで偉そう・・・
「それでは依頼を話すぞ?お前達怪盗セーレイズについては知っているか?」
「ああっ、巷で噂の義賊のことですよね?」
「俺も聞いたことあるな、貴族ばっか狙っている奴だろ?」

この街はそれなりに発展しており貴族どもも多少住んでいる。
怪盗セーレイズはそんな貴族の財宝専門で動いているという盗賊のことだ。
最も、この情報は噂であり真相は謎だ。
なんてったって貴族達が被害届を出さないから騎士団も真相を暴けないんだとさ。
なんで被害届を出さないのか理解しがたいが
多分世間体ってやつを気にしているんだろうな
貴族ってやつは死ぬまで周りの目を気にする種族だし・・・・
まっ、そんなこんなで貴族を快く思ってない奴らからは
「義賊」としてヒーロー視されているらしい。

「それなら話が早い、知ってのとおり騎士団では具体的な被害届けがないので
怪盗の行為に手を出すことはできない。
しかしこのまま何もしないというのも我々としてはまずいわけだ」
「それで、何でも屋の俺達に次に狙われる貴族に雇われて真相を暴け・・ってか?」
「察しが良いな。その通りだ。場合によったらセイレーズを捕らえてくれたらいい」
「ふぅん、面白そうですね。僕一回セーレイズに会ってみたかったんですよ。
サインもらえますかね?」
・・・・話聞いていたのか?こいつ・・
「俺達はセーレイズを捕らえるほうだ!機会があったら本人に聞いてみな。
・・そうだな、タイムには世話になってるから断れはしないか・・・
受けてやるよ」
「そうか、ありがたい。ああっ、それともう一つ・・」
「まだなんかあるのか?」
追加でなんか言われるのって、恐いな・・・
「ああっ、今回は一人の女性を連れて言ってもらいたい。私の同期の元騎士だ」
ふぅ〜ん、こいつにも同期ってのがあるんだな〜
「まぁ俺は構わないけどそいつは腕は立つのか?」
「私よりはるかに強いさ。
以前所属していた王国騎士団の中で「金獅子」の異名を持ち、
輝かしい戦果をおさめてきた。今は騎士団から離れているけどな」
「ほえ〜、おっかねぇな。そんじゃあ心配無用だな。じゃあその金獅子さんは?」
「廊下で待たせている、セシル、入ってきてくれ」
タイムが声をかけ、一人の女性が入ってきた。


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