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  第1話 「つまみ食い少女」


「せんぱ〜い、飲みすぎですよ〜!」

目の前にいる少年が俺に言う
「いいじゃねぇか、ようやく懐も温かくなったんだし・・」
グラスの酒を飲み干す
これが楽しみで仕事をしてるってもんだ
「そんなこと言っているとすぐなくなりますよ!せっかく仕事して稼いだんですから!」
神経質な奴だ・・
この少年はフィート、俺の相棒でガキのくせして魔術を使う。
そのため見た目も黒い法衣を着ておりいかにも「魔法使いです!」って叫んでいるようだ
紫の髪が特徴だがフードで隠している・・
珍しいから隠しておけって俺が言ったのだ

そして俺はクロムウェル、イケてる格闘家だ。
上からしたまで武道着でびしっと決めた文句なしの2枚目だが何故は女には縁がない

・・・・・なぜだ!?

黄金の髪を綺麗にかきあげて
周りの姉ちゃんが「きゃ〜、結婚して〜」っていうのは必至のはずなのに!

・・・・・はぁ

まぁそれはいいとして
俺はフィートと組んでトレジャーハントやら護衛の仕事なんぞをしている。
言うところの「何でも屋」だ
あんまり堅気の商売は苦手なんだがね。
今俺達は町の酒場で仕事後に一杯ひっかけている。
まあフィートはガキだからミルクを飲んでいるのだが・・
「先輩、酒のことより次の仕事とか決まっているんですか?」
「んっ?明日は明日の風が吹く!先のこと考えてくよくよするな!」
「・・つまり何も決まっていないわけですね・・」
「そういうことだ!はははははは!!」
「ううっ、なんでこんな人とコンビを組んでいるのだろう…」
眉間に指をあて悩むフィート、若いのに悩むなんて損な性格だよな〜

スッ、

ふいに俺達が座っているテーブルに手が伸びる。
酒のつまみをくすねたようだ。
フィートは気づいてない。やれやれだな
「ちょい待ちな」
くすねようとした手を俺が掴む、どうせ貧民のじいさんだろう。
あんまり痛めつけたかぁないが・・、しかし俺の予想は覆された。
「ご、ごめんなさい・・!」
掴んだ手の主はなんと少女だった。
それも貧民というわけでもなく、剣士風の装備をしている・・、
髪もやや短めの栗色でどちらかといえば良家のお嬢さん・・か?
あっ、フィートが今ごろ気づいた。
こいつは物事を考えすぎなんだよ・・
「お前さん、自分がしたことがどういうことなのかわかっているのかい?」
「はい・・、ごめんなさい・・」
申し訳なさそうな少女・・、なんかこれじゃあ俺が女の子をいじめているようじゃねぇか!!
「まっ、いいや。とにかく座りなよ。ほらっ」
手を離し椅子を引いてやる。逃げると思ったが少女は素直に椅子に座った。
「あの〜、先輩。この子何かしたんですか?」
今だ状況がわからないフィート、妙に抜けているな・・
「俺達の食べ物をくすねようとしたのさ、まぁ未遂なんだがね。
それよりも君、腹が減っているんだろ?食いなよ?」
「・・いいんですか!?」
「俺はそこまで冷血じゃないんでね、
それに女性には優しくしろと死んだじいちゃんが言ってたからな」
「ありがとうございます!!」
そういうと猛烈な勢いで食べ始める少女、よっぽど腹が減っていたんだな。
「あの〜、先輩の祖父さんはまだ生きるって言ってませんでしたか・・?」
フィートがつっこむ、・・そうだっけな・・?
「そうだっけ?俺が家を出た時はもう重症だったからな〜」
「だからと言ってそんなこと言うもんじゃないですよ・・」
「いいんだよ、どうせ不仲だったんだし。
そんな事気にしていたら大物になれんぞ〜!」
「ああっ、ワイルドというか・・・雑というか・・」


しばらくフィートと話をしてたがその間も少女は懸命に食べている。
やがて腹が一杯になったようで
「ごちそうさま」っと手を合わせて言った。
結構礼儀正しい少女だな。
こんなとこには似つかわしくない
「君、満足かい?」
「はいっ、すみません。迷惑かけて・・、あの・・?」
「クロムウェルだ。こっちのガキはフィート。
俺達はまぁ何でも屋・・かな?」
「ガキ扱いしないでくださいよ先輩・・、それで君は?」
俺を睨みつつフィートが言う、ガキということに敏感なとこがガキなんだよ・・
「私は・・、エネです。
クロムウェルさん、フィートさんありがとうございます」
「いいっていいって、それよりも気になるんあだけど、君は・・傭兵か何かなのかい」
「はい・・、傭兵をしています」
それにしちゃひ弱そうだし、剣の筋もよくないようだ・・、
訳ありかな?
「でも傭兵やっているのなら食べるのには困らないでしょう?」
フィートが口を挟む。傭兵ってのは戦いに参加しただけでも金は貰える。
まぁ命かけているんだから当然なんだがね
「そうなんですけど・、うっ・・うっ・・、うぁぁぁぁぁああ」
いきなり泣き出すエネ、食べ物すくねたり泣き出したりとせわしない嬢ちゃんだ。
とりあえず落ち着かせてやるか・・



エネが泣きながら説明するには
彼女の唯一の家族である母親が難病にかかり手術に莫大な費用を必要としているらしい。
その金を稼ぐため色々とやったがうまくいかず傭兵になったそうだ。
しかし元々戦闘体験なんぞなかったものだから活躍できるはずもなく
ついには食べることもままならなくなったそうな。
いたたまれない話だがこのご時世、よくある話だ。

しかし話を聞いていたフィートが貰い泣きをし
「ぎみもだいへんだっだんだね・・」
涙をぼろぼろ流して話す。なんか声がおかしくなってるよ、お前
「話はだいたいわかったよ。しかし傭兵になるなんて大胆だな。」
「ええっ、沢山お金が入ってくると聞いたもので・・、
それに母が昔剣士だったので自分にもできるかと思って・・」
「・・なるほど、でもどうするんだ?これから大変だろう」
気遣って言ってあげる、
けどどうしようもないらしく困惑気味のエネ。
このままだと自殺しかねないな・・
「よかったら僕達と一緒にくるかい?」
フィートが突然申し出た。決定権は俺にあるはずなのだが・・、
どうやらかなり同情しており、放っておけないようだ
「えっ!?」
「だってこのままじゃ君どうすることもできないだろう?
僕達と一緒に仕事すればお金だって稼げるよ!」
「・・いいんですか?」
「いいとも、ねっ?先輩!?」
真剣な顔つきで俺に言う。
どうやら俺達も資金振りに苦しいことなど忘れているようだ。
だが・・、フィートには世話になっているし・・仕方ないか
「ああっ、勝手にしろ。その代わり俺は面倒みないぞ?いいな」
元々俺はリーダー気質ではないんだ。
そうそう周りの面倒なんて見れない。
「はいっ!それじゃあよろしくね!エネ」
「ありがとう、フィートさん!」
なんか良い雰囲気・・、っうか酒場でそんな雰囲気かもし出すなよ!!




「少々お待ち下さい」
受付のお嬢さんがそう言った。あくまで事務的・・、あまり好かないな
ここは街にある騎士団屋敷だ。
俺は面倒見る奴が一人増えたので仕事を探しにここにきたってわけ。
まぁ本来なら騎士団はそんなことを教える場所ではないんだけど、
俺にはコネってもんがあるのさ。

「誰かと思えば・・、お前か」

ホールの待合スペースで待っていたら声をかけられた
いかにもインテリという感じの女騎士のタイムだ。
長い緋髪で右目を隠しておりかなり妖艶な感じ。
「久しぶりだな、タイム」
「なんの用だ?金ならないぞ」
・・相変わらず無愛想だな〜
「バカにすんなよ?
そんな用事じゃない。ちょっと儲け話がないかと思ってね」
「お前・・、まぁ仕方あるまい。待ってろ・・」
呆れた様子のタイム、彼女が断れないのは計算のうちだ。
ちょっと弱みを握らせてもっている・・、内容は・・言わない方が俺の身のためだな・・・


・・しばらく待っていたが飽きたので
受付のお嬢さんに声をかける・・が
事務的に断られてしまった・・・くそっ!
「ナンパなんぞ余所でやれ」
ふぅに後ろからタイムの声が・・、気配ぐらいだせっての!
「いきなり後ろから声かけるのはやめようぜ?
でっ、何かあった?」
「医者の護衛の依頼はきているな・・、
傭兵には心配だからうちに依頼したようだ・・
受けるなら騎士風の格好が必要だぞ?」
「・・・他には?」
「ないな」
即答のタイム。
かわいくね〜!!!!
「ちっ、しゃーねーな!簡単な鎧なら傭兵時代のがある。それでいいか?」
昔傭兵で生活していた時にもらったのがあるのを思い出した。
確か・・1回しか着てないけど・・
「まぁ、大丈夫だろう、連れの魔術師なら品がいい。不快感は与えないだろう」
つまり俺には品がないと・・
「・・うるせ〜よ」
「じゃあ二人が護衛につくと連絡しておくぞ?」
「待った、3人だ」
「?、新しく仲間を加えたのか?」
「まぁな、お前の所に来たのもそのためだ。」
「そいつは災難だな、では3人護衛につくと連絡しておこう。
これがその医者の住所だ。
用意ができしだい向かえ」
ぶっきらぼうにメモを渡すタイム・・、この性格さえなきゃいい女なんだがな〜
「おっけい、すまんなタイム」
「気持ちのこもらん礼などいらん、それよりもお前なんぞについてきた
悲惨な新メンバーの面倒でも見ていろ」
・・女ぁ・・・・!!
「ちっ、無愛想だな。じゃあな」
手をひらひらしながら屋敷を出る・・、
噂だと騎士団の連中にはすこぶる面倒見がいいらしいが・・そりゃあ嘘だな・・・


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