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第九話  「愚かが宴」


ツクヨの使者により報告がされた遺跡というのは

本島にある古代カムイの有力貴族が眠っている『古墳』と呼ばれる巨大な墓

広大な森の中にそれはあり堀を囲んだ状態で静かに今も存在している

上空から見れば巨大な鍵穴状の形をしているのだが実際人の視線で見れば丘であり誰も手入れをする者がいないが故に

草木は伸び放題でその貴族の家系がとうに滅んだ今となってはそこに何があるのかは付近の人間は知る由もない

・・っとは言えその状況は異変が起こる前、遺跡を調査したカムイの派遣員が書にまとめた情報であり

今回の一件が起こってからその古墳まで辿り着いた人間はいないわけでありそこがどう変わっているかは謎のまま・・

それ故、用心をするために森の前に合流する手はずをしておりサブノック達は地点に到着していた



「・・・・、儀式は開始されているようです・・かな」



到着すると共にサブノックが唸る・・。森の中からは生暖かい空気が伝わっており

周辺に立ち込めるどんよりとした曇り空はうっすらと赤みがかかっている

それは明らかに異常な状況、ミズチの顔も強張っている

「そのようじゃな。・・だが、すぐに開かれるものでもあるまい・・」

顎をさすりながらニヤリと笑うアイゼン・・。決戦という事なのだがその服装はいつもの黒袴に紺色の道着、そして漆黒の帯で襷をしており

腰には愛刀『月華散水』ともう一振り小さな脇差しを下げている

「で・・すが・・急がないといけないですよ」

その隣のミズチ、赤袴の巫女服に決戦用として『森羅』『建御雷』を身に着けており完全武装

腰下げの符もぎゅうぎゅうまで詰め込んでいる

「だが・・ツクヨ殿と合流しない事には歩が乱れる・・。彼女が早く到着する事を祈るしかないだろう」

サブノックも背に『悪滅』を下げ黒い軍服調の戦闘服姿のまま・・

防具は一切ないのだがこれは偽りの姿、それに武装をする必要はないのだ

「・・まっ、急くな。それにほれ・・到着じゃよ・・」


”お待たせしました・・”


振り向けば黒袴に白道着姿のツクヨ・・そしてその後ろには緩やかに馬に跨り同じように黒袴白道着に黒縁に煌びやかな銀紋様が描かれる胸当てを

つけた気品溢れる熟女の姿、そしてさらに後方に見事には完全武装の兵士達が規則正しく編隊を組んでいた

「相も変わらず、用意はよろしいようですね・・アイゼン・・」

馬上の貴婦人・・イザナギは少し笑いながら言う

「なぁに・・用意は大事じゃぞ?じゃが・・わざわざ御主が出向かんでも良かったじゃろう?イザナギ殿・・」

顎をさすりながら悪戯っぽく笑うアイゼン


「イ・・イザナギ様!!?」


アイゼンから放たれた言葉にミズチは目を見開きたじろぐ・・、サブノックは言わずもかな

「・・誰だ?ミズチ?」

「カムイの前女王様です!名君として未だに語り草になっていますよ!私ですら知っているのですから!」

「・・そうなの・・か・・」

異国の名君なぞ彼が知ろうはずもなく彼女の凄さが今一つ伝わらない

「話はツクヨから聞いております。・・ゼンキの魂を継ぎし闘士サブノック殿・・・、私はイザナギ・・見ての通りの老いた女です」

そう言っているもののイザナギの肌には艶があり見る限りツクヨと同じくらいに見える

双方年齢不詳な怪しき美貌を兼ね備えているのだ・・

「・・サブノックです。こちらはミズチ、大体の事は使者を通じてわかっているとは思います」

「ええっ、ですが・・あのゼンキも中々・・良き方に死に水を取ってもらったようですね」

「イザナギ殿・・・戯言は後じゃ。周りの空気を見ればわかろう・・。それに、わしは援護はいらんと言ったはずじゃぞ?」

このまま昔話でも始まりそうなので珍しくアイゼンが苛立って言う・・

「そんな事を無視するイザナギ様ではないでしょう・・アイゼン殿・・」

「ツクヨの言う通りです。私は貴方達の邪魔をしに参ったのではありません。

ここにいる千の兵士は貴方達が破れた時に付近の住民が極力安全な場所に避難できるための時間稼ぎです」

事も無げに言うイザナギ・・それに対し兵達の顔にも迷いはない

「わざわざ田舎の民を守るがために盾となるのかえ?」

「左様ですとも・・。我が民に田舎も都会もあるものですか・・。ここにいる兵達は民のために血肉を捧げた身、当然私もです

それに私が死すとも都にて息子が王の名に恥じぬ指揮を取る事でしょうしね」

事も無げに命を張ると言うイザナギ

その身のこなしからして武術の心得など全くないのは明白であるのにも関わらず・・

「・・酔狂な・・。まぁよい・・。どの道わしらで事は足りておる」

「そう信じていますよ・・。全軍、この場で待機・・とりあえず後はアイゼン達の活躍に期待しましょう」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


威勢良く返事をする兵達、一同イザナギの事を信じてやまない身らしい

「・・それが賢明じゃ。・・ほれっ、ミズチ・・」

「あ・・はい!ツクヨ様!これを・・」

アイゼンに脇腹を突かれながらミズチはツクヨに道場から持ってきた槍と陣羽織を手渡す

「流石にわかっていますね」

「当然じゃ。十字槍なぞそうあるものかよ」

「ふっ・・」

軽く笑いながら槍を地に刺しながら陣羽織を着る・・それは珍しい真紅の羽織で背に白地で三日月が描かれている

子供に勉学を教えている者が着るにはそぐわないのだが今の彼女には見事なまでしっくりとにあっている

そして槍は刃が黒く十字になっている特殊な槍で黒漆の柄には紫の蛇が描かれ一種の芸術品を思わせる

「似合っておるのぉ・・。御主が『雅』を持ちその姿になるのを見るのは戦乱以来か・・」

「この槍『雅』は・・少々血に飢え易いですから・・ね。さて、参りましょう・・イザナギ様・・失礼いたします」

かつての主に一礼するツクヨ、対しイザナギはいつもと変わらぬ笑みを浮かべながら・・


「御武運を祈っていますよ」


っと軽く返している

「祈らんでも結果は同じじゃ。ほれっいくぞ!」

対しアイゼンはさっさと森に入っていきどうしていいかわからないサブノックとミズチは一礼してその後に続く

「・・・、ふぅ、老いてもあの性格は変わりがないですね」

「それが彼の良きところですよ・・。さぁ・・」

「はい・・ではっ、いってまいります」

最後に残ったツクヨは周りに深く一礼し三人の後を追って深き森へ足を進めるのであった



・・・・・・・・・・・


古墳へと向う森は人が立ち入った事が殆どなかったが故に草木が生い茂っており前に進むのを妨げる

それはまるで古墳に立ち入るのを拒むかのように思えるのだがそうも言っていられない

掻き分けるのも面倒なのでミズチが符を一つ取り出し『鎌鼬』を召喚して草を刈りだす

相当切れ味が良いらしく藪に近い状態の草木は綺麗さっぱり道へと姿を変えていく

・・鎌鼬が鎌を正しく使っている珍しい礼とも言えよう


「調査員は別のルートで調べたようですね・・」


周辺を見回しながらサブノックが一言、草木が押し倒された形跡は一つもないからだ

「そのようですね、まぁ・・周辺からして合流するにはあそこが一番都合が良かったので仕方ない事でしょう」

「まぁ、鎌鼬が狩ってくれていますからすぐに到着しますよ」

黙々と草を狩る鎌鼬、本人的には物が切れたら何でもいいらしい

「奇怪な面構えじゃが便利そうじゃのぉ・・。まぁ・・飼うにしては愛嬌がないか」

「気性が荒いので・・余りお勧めできませんよ・・?」

ニヤニヤ笑いながら戯言を言うアイゼン、全くの余裕を漂わせておりこれが心強い事この上ない

「冗談じゃよ。してツクヨ・・その古墳とホカゲの関係・・何か出たのか?」

「特には・・。ただこれから行く古墳の主は暴君として有名だったようですね。

民に圧政をしながらも最後は腹心の裏切りに合い民に襲われ瀕死の状態で自ら建設した

その古墳に逃げこみ絶命した・・っと伝えられています」

「・・・ではっ、おそらくはその暴君の人に対する恨みが儀式の場として選ばれた理由かもしれませんな」

人の恨みはそう簡単には消えない、それが身勝手な貴族の自業自得な結末であっても。

サブノックが言った事を否定するものは当然の事ながら誰もいなかった

「まっ、舞台背景なんぞどうでもよいわ。さっさとあの巫女の首を刎ねるとしようか」

「そう簡単にいけばよいのですが・・ね」

軽くアイゼンとツクヨが呟いたその時・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・


周囲に軽い地響きが起こり空の赤みが強さを増す

全員その場で得物を手に周辺を警戒するものの足より伝わる振動以外に異変はない

そうこうしている内に地響きは静かに止み、その代わりに周りの空気が変化して行く事に四人は気付く


「・・儀式が始まったと見て間違いあるまいな」


ポツリと呟くアイゼン、いつでも腰の刀を抜けるようにし周辺を睨みつけている

「・・そのようですね。ですが・・仕掛けてくる気はないようです」

同じく警戒するツクヨ、心眼故にその警戒範囲は広く彼女がそう言うからには敵の存在は確かにないのだ

「ですが時間はなさそうですね・・むっ・・!?アイゼン殿・・あれは・・」

「・・岩が宙に浮いているの・・」

木々の間から覗かせる空にしめ縄に括られた巨大な岩が宙に浮いているのがかすかに見える

当然、異常な景色であるが一同殆ど動じる事はない

「岩・・ですか、その方向から強い気配を感じますね・・。恐らくホカゲはそこでしょう」

「ツクヨ様・・!」

「こやつの言う事に間違いはないわえ・・。じゃが宙を浮かれては難儀じゃのぉ・・流石に跳躍のみでは届かんか・・。

・・アイゼン殿、ミズチ・・大将首は譲ってやろう」

「アイゼン殿・・、承知しました」

「ではっ、我々はどうします?」

「サブノック殿が飛翔する事はホカゲも知っておろう。そのまま無防備でいるとは考えにくい・・。

まっ、古墳に到着すれば少しは見えてくるだろうさ」

事も無げに言いながらさっさと先に進むアイゼン、それにツクヨは静かに頷く

「ツクヨ様・・見えてくる・・とは・・?」

「進めばわかりますよ、ミズチ・・。まぁ彼はすでに感じ取っているのでしょう」

「・・感じ取る・・?」

「ええっ・・血に飢えた者にしか感じ取れぬ『戦場の香』・・が。まぁ、私もなのですがね」

「そう、ですか・・」

穏やかに言うツクヨだが普段の彼女から感じ取れない異様な気配をミズチとサブノックは感じており

すでに彼女も戦闘態勢に入っている事を実感するのであった



・・・・・・・・・・・



道を鎌鼬に作らせ走る事数分、突如として視界が開ける。

目的の場所・・湖の堀に囲まれた小高く巨大な墓がそこに存在している・・はずであった

だが、今彼らの目の前に広がるは腐臭漂う湿地、古墳は岩の塊と化しており堀の水や水草は存在せずに足場の悪い赤い沼地になっている

そして古墳の上空に浮かぶ巨大な岩・・。他にも細かな岩が重力に逆らいピタリと止まっていた

「・・・儀式の影響・・!?」

周辺を睨みながらミズチが唸る・・古墳の周辺の環境は変わっておらずそこだけ結界でも張ったかのように異世界と化しているのだ



「ようこそ皆さん。やはり予想以上に早かったようですね」



その中落ち着き払った声とともに彼らの目の前にホカゲが音もなく突如として姿を見せる

「来てやったぞ。もう儀式を始めたようじゃが・・ちと先走ったようじゃの」

「まぁこれはご愛嬌ということで・・。安心してください。扉を完全に開くのは貴方達との戯れが終わってから・・ですので」

「ふざけて・・!ここで私が・・!」

小馬鹿にしたかのような態度のホカゲにすでにミズチは激情している

だがそれをサブノックが押さえ冷静さを取り戻させる

「ふふふ・・貴方が来るとは思いませんでしたね・・ミズチさん。そして・・烈槍様までいらっしゃるとは・・」

礼儀正しく頭を下げるホカゲだがツクヨは全く動ずる事はない

「戯事にしては事が大掛かりでしたのでね。ですが・・これ以上それに付き合うつもりはありません

・・この場にてその命頂戴致しましょう」

落ち着き払いながらも槍を構えるツクヨ、ホカゲと同じくその口調は落ち着き払っているものの内に秘めた感情は隠しきれない

「ふ・・ふふふふ・・。さすがカムイの戦史にて最も気高き女武芸者・・、ではっ、始めるとしますか」

そう言いながらホカゲは手を翳す

すると宙に浮かぶ岩石の真下に青白い光の線が一筋広がる・・

そしてそれは線から徐々に楕円となり青白い光が広がり出す、それは空間を切り広げている光

光の中は白一色で何も見えないのだが突如としてそこより肉の塊のような物体が落とされる

それは人が奇形されたかのような異様な物体、全身皮膚を剥がされたのようなむき出しの肉、

頭はなく左腕だけが異様に発達しており筋繊維がむき出しになっている

この世のものではないソレは光の中から次々と留まらずに落とされてきており数を増やしていく

その異形はどれも人を基調とした形をしており肉がむき出しで体の一部が肥大化して凶器と化しているという点ではどれも同じだ


「・・扉の中の世界の異形か!?」


この世に生まれ落とされる異形達にサブノックは愛刀を取り警戒をする・・

「違いますよ・・。扉の儀式により人の憎悪などの負の念が結集して出来た名もなき異形です。

幸い、この地はそうした憎悪などには事欠かないですからね」

「・・・下らん再利用じゃな・・参るぞ!」

気合と共にアイゼンが真空刃を放つ・・、見えぬ空の溝はホカゲを捉えるがそれよりも早く彼女の姿は霧霞み消え去る・・

”私はあの御神岩にて儀式の仕上げと参りましょう・・・”

ホカゲのあざ笑う声のみがそこに響き彼女が放つ人にして人ならざる気配は宙に浮く巨岩から放たれる

「くっ・・この異形達を早く片付けないと・・!」

その間にもワラワラと増え続けぎこちなくも確実に四人を敵と認識し近づいてくる異形にミズチは『森羅』を持ち構える

「・・ここはわしとツクヨで抑える。サブノック殿・・予定通りミズチとともにホカゲの始末を頼むぞ」

「アイゼン殿・・?」

「それが一番の策ですよ、サブノック殿。どの道あそこにホカゲがいる以上空を舞える貴方しか巨岩まで辿り着けない

・・ミズチとともに彼女の息の根を・・」

言わずともアイゼンとツクヨの意見は合致しているらしい

静かに槍を構えながらツクヨはサブノックを諭す

「・・承知!必ずや奴を仕留めて見せます!」

そう言い腕にはめられた腕輪を取りその姿を本来のモノへと変化させる

漆黒にして屈強な肉体を持つ聖魔はジッと赤空に浮かぶ岩を睨む

「で・・では、お二人は無数に現れるあの異形を・・」

「ミズチよ、わしらを誰と心得る?人の出来損ないなぞいくらでも切り伏せるわ」

「同じく・・。戦場から退いたとは言え、あのような存在に遅れを取るほど私の槍は曇ってはいません・・行きなさい」

強い口調のツクヨに決意の鈍っていたミズチはただ頷くしかなかった・・

「では・・お二人とも御武運を」

そんなミズチを抱き上げながらサブノックは一礼をし返事を待たずして竜翼を広げ決戦の地へと飛び立つ・・

「ふっ、サブノック殿も我らと同様・・血が滾っているようじゃのぉ」

「武人ならば誰しもがそうです。・・では・・参りますか?」

「応よ、久々に存分に暴れさせて頂こうか!」

地に残った武人二人・・眼前に迫りつつある異形の群に不敵な笑みを浮かべ同時に駆け出す!

特にアイゼンの身のこなしは年齢とはかけ離れた俊敏なものでで群の中に躊躇いもなく突っ込む

その動きに敏感に反応する異形達・・各々の凶器で迎え撃つのだが肥大化した武器はその動きが鈍いために彼には掠りすらしない

そしてつむじ風の如く駆けた後には異形の体は真っ二つに切り裂かれている

だが・・

「・・うぬ?」

不意にアイゼンが動きを止める・・場所は堀の底が異界化した地、地面はぬかるんでおり踏み込んだ彼の足に泥がまとわりつき身動きを鈍らせたのだ

その間にも異形達は物言わずして彼に襲いかかる

「・・我式・・『飛閃』」

軽く呼吸を整えると共に・・


斬!斬!斬!!


腰から銀閃が鞭のように駆けては鞘に戻り、縦横無人に敵を切り裂いていく。しなった動きは残像を残しながら連続して行われ

常人からしてみれば彼の右腕が高速で見えず鞘から銀色に光る何かが異形を切り裂いているかのようにすら見える

軽く立ち回りながら高速居合いを連発するアイゼン、

瞬く間に周辺の異形を肉のゴミへと帰したところでようやくぬかるみより足を抜き上げる

「・・ふぅ、足袋が汚れるわい・・」

泥に塗れた足袋を見て軽くため息、この言葉が彼の余裕を表している

そして彼はツクヨの方を見向きもせずにそのまま古墳上へと突き進み出す

その後方では・・

「・・・破っ!」

豪快に十字槍を振る凛々しき女槍士の姿が・・

十字の刃は振ろうが突こうが相手の体に刃が突き刺さる、ツクヨはその特性を活かし突き刺しながら切り裂き致命傷を負わす

それ故異形達の体はズタズタにされるか真っ二つにされるかのどちらかでありアイゼンに負けぬ戦いぶりを見せている

その戦い方には相当な腕力を要するはずなのだがツクヨは顔色一つ変えず槍を振り回し続けている・・

華奢そうに見えてそれに似合わぬ力、それは彼女が成す特殊な呼吸法と気功によって起こる物・・

心眼を極めし女武芸者はそれ以外にも闘う術を心得ているのだ


「はぁっ・・!」


敵をまとめて薙ぎ倒しながら泥濘に突入、しかしそのまま通過するわけではなく

ツクヨは勢い良く踏み込みながら前方の沼に槍を突き刺しその反動で飛んだ、

棒高飛びの要領だが彼女は跳躍しながらも得物を話さずに抜き取りそのまま柄を掴んだまま宙を舞い異形の群の中に飛び降りる!

もちろん、何もせずに敵陣に突っ込むわけでもなく大きく振りかぶり『雅』を鎚の如く振り下ろしながら・・

降ろされる刃の鎚は異形の体をモノの見事に切り裂き、次の瞬間には周囲360度、纏めて薙ぎ払い清掃する

その業、まさに『烈槍』

神速の動きで仕留めるアイゼンとは正反対に豪快に敵を薙ぎ倒すツクヨはすぐさまアイゼンに追いついた

「ふふふ・・腕はまだ鈍ってはおらんな」

「・・・、貴方のお零れをもらうほど怠けてはいませんよ」

双方、憎まれ口を叩きながら互いに背を守るように構える、

宙より落とされる異形は留まる事を知らず古墳上は異形に包まれた状態

今二人が暴れただけで1/3ほど片付けられたのだがその数はすぐに埋まりそうな勢いだ

「時間無制限の斬り放題・・か。ふっ・・弟子の訓練にゃちょうどよかったかのぉ・・」

「持久戦の良い勉強にはなりますが・・私達には少し面白みに欠けますね」

「まぁよいわ・・。こやつらの狙いはわしらのみ、外に出る気は今のところなさそうじゃて・・。

少々物足りんがこやつらでわしらの血の騒ぎを鎮める事にしよう」

「御意です・・。たまさかに槍に血を吸わせてあげましょう・・、では・・」

静かに頷く二人、そして襲い掛かる異形達に一騎当千の力を発揮するのであった・・



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