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終章  「ウィロウ ザ セカンド」


セクシーローズの登場によりスケジュールが乱れた主催者サイド。

そのため急遽慌しく動き出し試合開始まで少し時間が空いてしまった

しかしその事でブーイングが起こることもない

仮面に隠れた瞳はどれも決勝であるセイレーズとウィロウの対戦を待ち焦がれているのだ


「いよいよですね・・。ロカルノさん・・勝てるでしょうか?」


「当たり前よ!お兄さんが一番なんだから!」


「・・だが、そのウィロウ二世ってのも金使って挑発しているんだろう?腕に覚えがなければ到底できないもんだぜ?」


そんな中多少興奮しつつもいつもの会話をする三人組

特にフレイアにとっては兄の勝利は最初から信じて疑わない様子で鼻息が荒い

「そうですね・・。ロカルノさんもベアーさんとの戦い以降少し間が開いてしまってますし・・この勝負・・注目ですね!」

何だかんだでキルケも鼻息が荒い・・。

「だな・・、まぁ恋人対決がなしになっただけあいつにとってはまだやりやすいか」

唯一黒服パツ金男だけが軽く息をつき会場を静かに見つめている


やがて会場の空気は張り詰めていきジャッジのジルさんが今までよりもワンランク豪華なバニー服を着用してリングの中央に立つ

『さて・・、色々と問題が起こりましたがついに決勝戦です!

ウィロウへの挑戦権を得たのはグランセイレーン選手、その名とその姿は正しくセイレーズを継ぐ者として相応しい存在

そして対するウィロウ二世も準備を整え決戦に備えています

古の勝負の行方・・それぞれを継ぐ者が華麗に決してくれるでしょう!では・・選手入場です!』

アナウスの声も気迫が篭り戦士の入場を促す。

そして東側の門より現れるはグランセイレーン、想定外であろう出来事も動ずる事無く優雅に入場する。

それとともに観客からは拍手喝采、ハンサムガイとまではいかぬもののその姿に魅了される者も多いようだ

「・・ふん・・大げさだな・・」

軽く周辺を見ながら静かに呟く、彼が動じる事などほとんどないようなほど落ち着き払っている

対し西門からも戦士が入場・・

拍手はなりやみ一同が注目する、ようやく姿を見せた今大会の仕掛け人・・だがその姿は意外と言えた

腰に届くまでの長い銀髪、顔はグランセイレーンと同じく黒布に穴を空けた質素な物・・

薄茶色の質素な貴族服に外套の同色のマントを着用している。

だがその体型、髪の長さからしてどう見ても女性・・それもかなり若いようで観客の視線を釘付けにしている

「やはり・・勝ち昇ってきたようね、セイレーズを継ぐ者・・」

「女か・・、意外だな」

上から見下すような女性・・ウィロウの問いを無視するように素直に感想を言うロカルノ

「・・悪い・・?」

その態度にウィロウは苛立った様子で応える

「いや、単純に意外なだけだ」

「ふん・・男なんて皆一緒ね。まっ・・いいわ・・私がウィロウを継ぐ者に相応しいという証、貴方で立てさせてもらうわ!」

そう言い手に持った銀色のステッキに手をかける、金属が擦れる音がしたと思いきやステッキから刃が姿を見せる

「ソードステッキか・・名探偵の護身用には相応しいな」

「ふふふ・・・、さぁ、負けた時の言い訳でも考えるのね!」

「その台詞、そっくりそのまま返させて貰おう・・最も、聞く耳は持たなさそうだがな」

「減らず口を!」

・・この手の女性の扱いは天下一品のロカルノ、あっさりと相手の激情を誘ったところで戦闘体勢に入る

頃合を見計らっていたジルさんはここで両者の間に入り・・


「そっ、それでは・・決勝戦!グランセイレーンVSウィロウ二世・・レディィィ・・・ゴォ!!」


気合とともに試合開始!

「・・頂くわよ!」

予想以上に鋭く踏み込み高速で突きを放つウィロウ、対しロカルノは微動だにせず素早くレイピアを抜き走らせる!

キィン!

金の刃と銀の刃が高い金音を奏でウィロウの突きは見事弾かれる

「速いな、だがウィロウを名乗るにしては少し拍子抜けか・・」

「そう判断するのは・・まだ早いわよ!」

そう言うとウィロウの左手が雷光の如く走りロカルノに襲い掛かる!

キィン!

咄嗟にロカルノはウィロウの切り込みの速さを上回る動きにてネェルブライトの柄でそれを受け止めた

「ソードブレイカー・・正統派だな」

それは鋸やフランベルジェにも似た短剣、ギザギザな刃は太く斬るよりも刺すほうが適していそうだ

実際、この短剣は武器破壊や攻撃を受け流す役割を持つ剣であるがためのものなのだが・・

「良い反応ね・・」

「ふっ・・だが、ソードブレイカーを攻撃に廻すとは・・野性的な女だ」

リーチが短い上に特殊な扱いのソードブレイカー、それで攻撃に使っているウィロウに対しロカルノは軽く微笑んだ

「その減らず口・・叩けないようにしてくれる!」

キィン!キィン!キィン!

激情しながらも急所を狙い高速で仕掛けてくるウィロウ、しかしロカルノは二つの刃を一つの刃で捌きつづける

「見事なフラーズ・ダルムだ・・実戦剣術としての腕も一流と言えよう」

「はっ!強がっていられるのも今のうち!」

「やれやれ・・」

軽く肩をすくませながら一瞬の隙を突きウィロウの剣を大きく弾かせ、その刹那に鋭く足を払う!

それにウィロウは見事に嵌り体勢をよろめかした

「こ・・この!」

それでもただでは転ばないウィロウ、無理な姿勢からでもレイピアは放ちロカルノを牽制させる

「・・おっと・・」

それにわざと乗ってやったのか・・ロカルノは大きく飛びのき距離を広げた

「中々やるわね・・私の剣がこうも当たらないとは・・」

「お前は一つ勘違いをしている」

「・・何・・?」

「私はセイレーズを継ぐ者だ、だがお前が考えている予想とは違い盗賊ではない。そして私はセイレーズであってセイレーズではない」

「何?謎かけのつもり・・?」

「ふっ、私は彼とは違うわけだ。ウィロウの実娘で探偵業を営む君とは住んでいる世界も当然違う」

ニヤリと笑うロカルノ、対しウィロウの顔つきが急速に強張った

「私の事を・・!?」

「相手の事を調べるのも・・一流の泥棒の必要事項さ。

まぁ・・女がこんな処に出るとは思えなかったから・・替え玉がくるのかと思っていたのだがな・・」

「きっ、貴様!」

ムキになって切りかかるウィロウ、完全にロカルノにペースを握られているのだがそれでも闘志に陰りを見せない

「探偵たるもの・・常に冷静に心がける物だと教わらなかったのか?」

「私は十分冷静だ!」

「そうは見えんがな」

余裕でウィロウの攻撃を捌くロカルノ・・

しかし・・



チッ!


ウィロウの鋭い一撃がロカルノの肩を浅く斬った、それにウィロウは口元をほころばせ、ロカルノは何事も無かったように迎撃を続ける

「所詮は口先だけの男ということね!」

「ふっ・・」

尚も執拗に攻撃を続けるウィロウ、その様は探偵が扱う剣とは思えず・・

「いい加減に・・!」

「このぐらいでいいか・・」

勢い余って深く踏み込んだウィロウに合わせるようにロカルノは剣を踊らす


・・ピッ!


鋭く布が切れる音がし、ウィロウの目元を隠していた黒布が静かに地に落ちた

「仮面が外れると失格になる・・、そういう規定だ。

ふむ、どうやら皮膚を傷つけずに済んだようだな」

静かに笑うロカルノに対し素顔を曝け出したウィロウは何が起こったのか理解できない

対しそれは白熱していた観客も同様・・しかし後者の方は寧ろウィロウの素顔に唖然とする

先ほどの猛烈な攻撃をしていた人物とは思えないほどの美貌をウィロウが持っていたからだ

「貴様・・情けをかけたのか・・!?」

「・・やはり、君はわかっていないな」

「なんだと!?」

「一流と呼ばれる者は・・無駄な労力を費やさない。この戦い・・素顔を見せてはならない既定ならば真っ先にそれを狙うの定石というものだ」

「それなら貴様だって・・!」

「やろうと思えばいつでもできたさ・・今のようにな。後は・・自分で考えろ」


「そこまで!勝者!グランセイレーン選手!!!」


冷たく言い放つロカルノに対し肩を落としてうな垂れるウィロウ、頃合のタイミングでジルさんの掛け声が入り

雌雄は決せられたのであった・・



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・




数日後

あの後仮面武闘会はロカルノの優勝を持って幕を閉じられセイレーズを継ぐ者として

その雄姿は仮面愛好家の中に広く刻まれる事となった

敗北を味わったウィロウは試合後姿を消し観客は熱気に包まれたままローエンハイツを後にした

結局、賞品となったセイレーズ秘蔵の仮面は後日渡される事となり真相は闇の中に・・



そして・・


「今回の一件、迷惑をかけたな」


隅々まで手入れされた庭園・・、軽い噴水が水を上げその近くに設けられた質素ながら趣のあるテラスにて気品溢れる老人・・ウィロウが謝罪の言葉を述べる

「・・いや、気にする事はありません。真相など大会が始まる前からわかっていた事なので・・」

彼と同じテーブルを囲むのはロカルノ、そしてウィロウの隣には彼を継ぐ者として名を上げたあの女性が・・

女性は白いブラウス姿で仏頂面のままお茶を啜っておりロカルノは素顔を曝け出したままいつもの服装で優雅に茶を味わう

「それをわかっていて付き合ったか・・、流石だな」

「ふっ、気が向いただけ・・っという事にしておきましょう」

「だろうな・・、娘との一戦で負った傷・・あれも演出だろう?」

「なっ・・!?」

茶を噴出す女性、本人としては本気で当てた気になっていたのだろう・・

「わかりますか・・?」

「娘の力量では君には掠りもしないだろう。一応は一流を名乗ってもいいレベルに鍛えたのだが・・君の才はそれを大きく越えている」

「私はセイレーズを継ぐ者である前に一人の戦士です。探偵という本来血生臭い事をしない職とでは差があって当然でしょう」

「そうだ、あいつもそう言って私を挑発したものだ・・」

「・・娘の性格は、貴方から引き継いだ物のようですね」

「はははは・・、これでも負けず嫌いですね。相手を突き止める思考パズルなどいくらでも解けよう物だが

実戦でも誰にも負けないと思っていた時期もあったのさ・・」

苦笑いのウィロウに対しロカルノも静かに微笑んだ

「じゃ、じゃあ私達はセイレーズに勝てないというの!?お父様!」

「そうではないさ・・レウナ=ウィロウ」

「私の名前を・・いつの間に!?」

「以前にも言ったはずだが・・調べはついていると・・。

探偵としてその腕は高く評価されハイデルベルク騎士団の補佐官の資格を持つ敏腕・・、まぁ・・気性の荒さまでは調べがつかなかったがな」

ロカルノの一言に女性・・レウナは顔を真っ赤にして怒り出す

「プライバシーの侵害よ!」

「良く言う・・。君は光、私は闇・・得手不得手もある、戦いという舞台では私の方が有利であった・・それだけだ」

「その通り、それを悟らせるために今回の茶番を認めたものなのだ」

「お父様・・」

「ふっ・・彼女は気性は荒いが優秀だろう」

「あいつと同じ事を言うな・・。全く・・、まぁ・・相手に流される程度ではまだまだ・・しばらくはウィロウの名を継ぐなど言わずに精進する事だ」

「・・わかりました・・」

父親の言葉にグゥの音もでないレウナ、それにロカルノは優雅に茶を飲み干す

「だが、娘の性格を見抜きそれをたくみに操るとは・・師を越えたな。どうだ?よければこの娘を・・」

「せっかくだが遠慮させていただきます。ジャジャ馬は一人で間に合っていますので・・」

「だ・・誰がこんな男となんて!!」

「ははは、なるほど・・同類をすでに飼い慣らしておったか。娘が勝てないわけだ・・」

「まっ、向こうは向こうで彼女に比べてはるかに手を焼くのですが・・ね。では・・失礼させてもらいます」

「ああっ、ありがとう・・。あいつによろしく言っておいてくれ」

「・・御意に・・、またこちらに顔を出さすように言っておきますよ・・」

一礼をするウィロウと文句が言いたそうなレウナを残りロカルノは静かにその場を立ち去っていった・・



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・


その後、ユトレヒト隊館に戻ったロカルノ

談笑室にはキルケとセシルが彼の帰りを待っていた・・

「お帰りなさい、ロカルノさん!」

「ああ・・、セシル・・まだ取れないのか?」


『放って置いてよ・・』


ロカルノの言葉に哀愁に暮れた声で返答するセシル・・なのだが服装はいつもと同じなのに頭部はベコベコに凹んだ兜をつけたままで

素顔が完全に隠れているのだ

「明日リュートさんが切断してくれるんですって。ソシエさん・・手加減なしですよねぇ・・」

『うぅ・・ママさえ現れなければ暗黒騎士からパラディンに華麗に変身して観客を魅了できたのに・・』

「古いネタを・・」

「それよりも、賞品の仮面ってどうなったのですか?黒服パツ金男さんも気になっていたみたいですが・・」

「・・ああ、クロムウェルもか・・」

「え・・!?黒服パツ金男さんってクロムウェルさんの事だったのですか!!?」

仮面の魔力により見知った人間に気付かなかったキルケ・・っというか元々少し天然が入っている故にそれも仕方ないのかもしれない・・

「ああ、フレイアも気付かなかったようだな。キルケならまだしも・・あいつは気付いて当然なのだが・・」

『それよりも!賞品どうなったのよ!』

「セイレーズにくれてやった。巨大化云々はブラフだったからな・・・」

「へぇ・・でも見てみたかったですねぇ・・、秘蔵の仮面・・」

「デザインならばすでにキルケも見ているさ・・」

「えっ?」

「これだ・・」

そう言い眼鏡ケースならぬ仮面ケースからいつもの仮面を取り出し装着するロカルノ・・

『え゛・・いつもの仮面と同じなの!?』

「基本的にはな。あれはミュンさんが俺用の仮面をデザインした試作品だった・・。

他の者には価値などないかもしれないが私達には貴重なものだ」

静かに微笑むロカルノ・・、義理とは言えどもセイレーズ夫妻との絆は本当の家族のそれと同等・・

「そうだったのですか・・」

「まぁ他に収穫はあった、これがな・・」

そう言い取り出すは黄金の仮面とマスク・ド・ダークネスが着用した漆黒の仮面

「あ・・ああ!それは!」

「ローエンハイツの裏路地に捨てられてたらしい。アレス君が使っただけにこの悪魔のような面も相当な業物だ」

『あの二人・・なんで変装して参戦したのかしらね?』

「仮面の魅力を解したのさ・・。捨てて帰るのは感心できないが・・」

「はははは・・(魅力・・ではなく憑かれたってほうがシックリきそうですが・・)」

「恐らくは二人が喧嘩をした後黄金の面はソシエさんが回収して一時的に借りたのだろう」

『うぅ・・、どうやら見張られていたようね・・』

「あんな名前つけるからですよ・・」

「ふっ、まぁ良い灸になっただろう。だが・・この仮面・・使えるな・・」

「また・・何か考えているのですか?」

「漆黒の面は目元と口元が大きく開けている、対し黄金面は目元を隠している・・この二つ・・一つにできないものか・・」

『本人達に了解取りなさい・・まぁ、捨ててるんだけど・・』

「わかっているさ。まぁ今日はいいだろう・・さて、ではアミルの様子でも見てくる」

ゆっくりと席を立つロカルノに対しセシルは重たい頭にバランスを崩しながらも抗議の姿勢!

『ロカ!私がこんな状況なのにアミルの方を取るわけ!?』

「自業自得だ・・、今日一日蒸れながら反省しておけ・・」

『やだ〜!抱いて抱いて〜!』

「兜つけたままですか・・・?」

『取れないんだもの、しょうがないじゃない。ねぇ、ロカ〜?傷心の恋人を慰めるのも彼氏の務めでしょう?』

「自業自得の場合はその限りじゃない。それに・・フルフェイスの兜をつけた全裸の女を抱くほど私は物好きでもないのでな」

無情な一言にセシルKO・・重さに耐え切れずソファに力なく倒れこんだ

「・・あ〜・・がんばってくださいね・・セシルさん・・」

『ありがと・・』

骨折り損にクタビレモウケなセシルにキルケは優しく祈りを捧げるのであった・・


・・・・・・・・・


一方・・


「「ただ今戻りました・・」」


「おう、随分長い間行方を晦ませたものだな・・」

「「すみません・・」」

「ああっ、事情はカインが話してくれたよ。やっぱり仮面つけていたら惹かれる物なんかね?」

「よくわかりませんが・・猛者が俺を呼んでいる気がして・・」

「私も・・アレス君がいる気配はしっかりと・・」

「仮面の魔力は凄いね・・、でっ、その結果が顔の傷か・・」

「・・勲章です・・、仮面はもう捨ててきました。俺にはあの誘惑は危険です・・」

「ははは、それがいい。まぁカインの奴も何だか怯えていた感じだったし〜、仮面ってのは諸刃の剣なのかもなぁ」

「カインさんも私達の事に気付いていたのなら手を貸してくれたらよかったのに・・」

「まぁいいんじゃないか?あいつも大いなる危険とニアミスしたって言ってたし・・」

「「???」」

「何か、会いたくない人物に会いそうになったんだってよ」

「はぁ・・」

「まっ、二人の仲が元に戻ったのならそれでいいさ。今日一日休んで明日からバリバリ働いておくれよ」

「「了解です」」


「・・・でも仮面捨てたのか・・何だかもったいないな・・。まぁあいつなら・・回収してるか・・」

何気に相手の動向に鋭い団長さんなのでした・・・

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