序章「怪盗と名探偵」
「ロカ〜、手紙がきているわよ〜?」
木造の館の中、呑気な声でセシルが言いながら食堂を抜け厨房へと足を踏み入れる
普段は立ち入り禁止な厨房に入るためにはこうした理由が必要であり、その手紙の宛て人となっているロカルノは現在調理中・・
コック姿(仮面付き)でシチューをジックリコトコト煮込んでおりその出来を見守っていたのだ
その姿勢は正しくプロの料理人、だが形だけでなく味も伴っていたりする
「私に・・か?」
オタマを片手にやや怪訝な顔のロカルノ、彼宛の手紙は中々に珍しい
「ええっ、差出人不明だけどね〜。内容次第では指紋取るけど?」
「何の内容だ?・・どれどれ・・」
料理は後は時間をかけて火を通すのみ、その手を止めて手紙の封を切り質素な白の便箋に目を通した
『親愛なるロカルノ君
突然の手紙失礼
君が怪盗セイレーズを継ぐ者である事はかねがね知っている。私はかつてのセイレーズと対等に闘った者を継ぐ者だ。
先代達の戦いは引き分けに終わったようだが私は彼らのような結末は望まない。
故に私はセイレーズを継ぐ者としての君に挑戦を挑む・・
ただ、一方的に押し付けるのは紳士的ではない・・、それ相応の舞台を用意した・・
一ヵ月後、ローエンハイツ闘技場にて『仮面武闘会』を開催する・・参加資格は仮面をつけている事、
そして優勝者にはセイレーズが盗み出した中で最高品とも言える秘宝を景品とした
正に私と君の勝負に相応しい場だと思わないか?
・・ともあれ、私はそれに参加し君の挑戦を待つ。セイレーズの名を継ぐ者としてのプライドがあるならばこの挑戦、受けてみろ
・・ウィロウ二世より・・』
「・・一種のファンレター?」
彼と顔をくっつけて一緒に手紙の内容を見て一言、そう捉えれるのは彼女のセンスなのか・・
「・・馬鹿を言うな。趣向を凝らした挑戦状だろう・・。それにウィロウという名・・」
「何々?知り合い!?」
シチューをつまみ食いしながらセシルが尋ねる、珍しい挑戦状に結構興味があるらしい
「怪盗セイレーズの宿敵として彼の行く手を何度ともなく現れた名探偵だ。引退したと聞いていたが・・後継者を作っていたとはな」
「ふぅん・・、じゃあそのウィロウ二世ってのと仮面被りながらドンパチするっての?怪盗VS探偵の決闘にゃ少し変だけど・・」
シチューをグビグビ飲みながらセシル、彼女にとってはシチューという料理は飲み物の部類に入るのかもしれない
それでもプロポーションの良さが全く崩れないのは流石
「セイレーズの剣の腕は言うまでもないだろうが、ウィロウは灰色の頭脳を持つ以上に優秀なフェンサーとしての名を持っている
・・二人の死闘は今でも語り草になっているんだ」
流石に義親の話題には詳しいロカルノ、それにセシルはシチューを啜りながら唸る
「素直に決闘すりゃいいのにねぇ・・。でっ、どうするの?」
「無論、売られた喧嘩は買うさ・・」
つまみ食いをするセシルからオタマを奪い取りニヤリと笑ったその時・・
コンコン!
「ロカルノさん!あっしです!!」
厨房の小窓を叩く人影、声からしてそれが誰なのかわかったロカルノは警戒もせずに窓を開けた
「どうした?」
そこにいたのは東国で言う『黒子』の衣装をした人物、相当慌てているらしく息が切れており顔を隠している黒布が忙しなく揺れ動いている
「実は、ローエンハイツで『仮面武闘会』って勝ち抜きトーナメントが行われるんです!」
「・・ああっ、知っている」
あからさまに不審人物だが普通に会話をしているロカルノ・・
「ええっ!?流石ロカルノさん・・情報が早いですねぇ!」
「・・ロカ、その変質者・・誰?」
普通に覆面男と話しているロカルノにたいしてセシルは少し引きながら尋ねている
「変質者とは失礼だな・・彼は『ハイデルベルク仮面愛好会』の一人、通称「黒子のクロさん」だ」
「どもっ、突然の訪問失礼します!」
一礼するも素顔が見えない分不気味さは拭い切れない、そこが仮面の良さと彼らは言う・・
「・・いあ・・いいんだけど・・ね・・」
「話を戻そう、武闘会には私も参加する・・少し因縁をつけられてな」
「そうなんですか!いやぁ・・それだったら無理して駆けつけなくてもよかったですなぁ・・優勝賞品は古代文明の仮面らしいですぜ!」
「・・何!?」
懐から取り出したメモ情報を伝えた途端ロカルノの目の色(?)が変わった
「軽く調べましたけど何でも装着すれば3分だけ巨人になれるって代物らしいでさぁ・・怪しいですがもしそうだとしたら
素晴らしい仮面ですぜ!」
「うむ・・巨人になる仮面・・、まさに仮面の中の仮面と言えよう・・」
(・・・・ロカにそれを入手させるわけにはいかないわね・・)
巨人化するかどうかは別としてロカルノにこれ以上怪しい仮面を装着して欲しくない乙女心なセシルさん。
彼の優勝を断固阻止する計画を早くも練り始めている
「へぇ!がんばってくだせぇ!セイレーズの遺産となると屈強な戦士達が参加するのは必至、あっし達には参加しても敗退してしまいます
ロカルノさんだけが頼みです!」」
「・・ふっ、任せてもらおう・・」
「流石ロカルノさん!でも・・気をつけてくだせぇよ!何でもあの「マスク・ド・ダークネス」も参加するって噂が流れているので・・」
「・・何・・!?彼が・・?」
「・・ロカ〜・・私、話についていけないんだけど・・・」
「マスク・ド・ダークネス・・・ある日突然仮面界にその名を轟かせた漆黒の仮面を着用したダークヒーローだ。
悪・即・斬を信条に慈悲を合わせ持つ悪党だろうが問答無用に成敗し風の如く去り行く・・『悪の華』・・っとでも言うか」
「正体不明の仮面戦士故に仮面業界でも注目の的なんでさぁ!セシルの姐さん!」
「ふぅん・・(っうか仮面業界ってなんなの・・?)・・でっ、その悪の華が参加していても尚もロカは参加する・・っと」
当たり前のように話している二人が何だか別次元の人間に見えてくる
そこは正しく私の知らない世界?
「無論だ・・、『マスク・ド・ダークネス』に『ウィロウ二世』・・ふ・・ふふふ・・久方ぶりに血が滾ってきた。
誰が一番か・・証明してみせよう!!」
「流石ロカルノさん!その調子です!」
「・・・(なんか〜・・ついてけない世界っぽいわねぇ・・・)」
珍しくテンションが上がるロカルノとクロさんを白い眼で見つめながら
セシルのテンションはどん底まで下がっていくのであった・・
・・・・仮面武闘会の挑戦状が届いてから3日後、武闘会の事はとりあえずユトレヒト隊には内密にしロカルノはルザリアを訪れていた
目的は一つ、そこのテント郡にいるある人物に会うために・・
それは彼の義父であり師セイレーズその人、彼には彼の生活があると言う事であまり顔を出さないロカルノであったが
流石に今回は話が違う、そんな訳で連絡もいれずにそこに訪れるのであった
「・・おう、来たな・・」
「むっ・・彼がそうか・・」
彼の小さなテントの中には客人が来ておりチェスをしていた、客人はセイレーズと同年齢できちんと髪を整えた金髪老人
だが着ている物や放つ雰囲気からして貴族の関係である事は間違いなくその手の知り合いがいたのかとテントに入りながらも内心少し驚いている
「失礼・・、その様子でしたらもう話はわかっているようだな」
様子からして自分が来る事を知っていたセイレーズと老人に自然とロカルノに笑みがこぼれる
「あぁ、なんせこやつの弟子が仕出かした事だからな」
ベットに寝転びながら軽く鼻息をつくセイレーズ、以前に比べて顔色は非常に良く難病にかかっているとは思えないほどだ
「まぁそう言うなよ・・。セイレーズを継ぐ者・・ロカルノ君だったかね・・。今回は面倒に巻き込まれて申し訳ないと思っているよ」
物腰穏やかな老人、だがその動きは老いた男のものとは思えないほど優雅であり気品高い
着ている物こそさほど高価ではないのだが相当な長者ではないか・・っとロカルノは睨んだ
「・・そうとなると・・・貴方が・・ウィロウ」
「正解だ。今回の一件をセイレーズに報告に来てな・・、まったくに・・面倒事を起こしてすまないと思っているよ」
素直に礼をするウィロウ、それにロカルノも軽く微笑む
「お気になさらずに。・・それにしても、貴方のお弟子さんは相当な金持ちのご様子で・・」
個人の因縁に一トーナメントを開催する、その費用は相当な物には間違いない
「いや、私からの皆伝の証欲しさに泣きつきながら財団の資金を使っただけだよ」
「財団・・?」
「ふっ、流石のロカルノも昔の事はわからんか・・。名探偵ウィロウは突如として表舞台から姿を消した事だしな。
シャムロック財団は知っておろう?」
ボーンの駒を片手間代わりに持ちながら静かに笑うセイレーズ
「・・あ・・ああ、もう随分歴史がある財団だったか・・。孤児の支援をしている珍しい処でその全貌は謎に包まれているとか・・」
「そう、その設立者がウィロウじゃよ・・。まぁ、今はシャムロックと名乗っているんだがな」
「そうでしたか・・」
「ははは・・、まぁ道化だよ。セイレーズが引退した処で探偵をしている事の面白みはなくなったからな。
適度に稼いで偽善行為に手を染めたわけだ。
しかし・・良い男だ。セイレーズを継いだ者としての風格がある」
目を細めてロカルノを見るウィロウ、それにロカルノは何だか気恥ずかしそうに頭を掻く
冷静な彼を揺さぶらせる何かをこの老人は持っている
「褒めても何もでません、それよりも何故貴方の弟子はこのような大会を・・?」
「まっ、ウィロウの名を継がすには少し青さがあったからな。それでも余りにしつこいから「セイレーズを継ぐ者」を倒せたら・・っと
条件を出したんだ・・。それがここまで大事になるとは思わなかったのでな・・迷惑かけてすまない」
「・・・いえっ、そういう理由ならば構いません。
降りかかる火の粉があるならば振り払うのみ・・です。それに、優勝品にも興味がありますのでね」
「ふっ、お前にしては拘るな。まぁ・・戯事ついでに付き合ってくれ」
「・・・、わかりました。ではっ、ウィロウ二世の事には敢えて聞かない事にしましょう・・。
相手も私については詳しく知らない事でしょうしね」
自らの信念のままそう言うロカルノ、それこそが彼が義父の心を受け継いだ証・・
「・・・は・・ははは!流石はセイレーズの子、アンフェアを嫌うところは瓜二つだ!」
ロカルノの行動に愉快でたまらないウィロウ、きっと昔を思い起こしているのだろう
「ふっ、では・・、大会を楽しみにしておいてください。私は用意がありますので・・」
一礼をして出て行くロカルノ、それを静かに見送るセイレーズとウィロウは彼の後姿に笑みが零れる・・
「・・良き男だ。気品を持ちながら冷静さを兼ね備え常に一歩先を読んでいる・・二代目泥棒の名を持つには惜しいな」
「ふんっ、あいつは・・・、まぁわしが言うのも何なのだが天才肌という奴でな。欠点はしがらみを嫌う事とあの仮面愛好癖ぐらいさ
・・おっと・・女性の趣味が悪いところもあったかの・・」
最後の欠点が一番深刻だと思う人は多々いる事であろう・・
「しがらみ・・か、王位継承権を放棄して冒険者・・確かにな。だが・・仮面愛好癖・・とな?」
「身分を隠し過去との決別のため・・、じゃが結局はミュンの奴が植えつけたモノだな」
「・・・・ふふふ・・まぁ、どの道彼には仮面というのは大切な物らしいな」
「違いない・・さて、久々に気になる出来事が起きたものじゃ」
「若い事を思い出すな・・、金は掛かったが・・当日は観覧するか?」
「・ふふっ・・無論だ・・」
かつて世を騒がせた義賊と名探偵、しかし犯した罪も時効を迎え双方引退した身となれば
宿敵は親友へと豹変していったようだ・・。
・・・・・・・
ロカルノがルザリアを訪れたのはセイレーズに挨拶するだけではなくもう一つ用事があった
そのためにセイレーズ達と別れた後は真っ直ぐにルザリア騎士団屋敷へと向かい団長であるタイムとの面会を受付に言う
何も知らない者ならば突然仮面をつけた不審人物が何を言っているんだ、っと歯牙にもかけぬ扱いをして当然なのだが
彼が所属する冒険者チーム『ユトレヒト隊』の存在はハイデルベルク騎士団の中でも広く知れ渡っており
特にルザリア騎士団とはそれなりに面識もあるが故に意外にすんなりと中に通してもらえた
それも通常外部からの人間ならば応接室に通される物だが直接団長室へと通される・・
「失礼する、・・むっ?」
一礼して団長室に入るロカルノ、だがそこにいるのは見目麗しき赤髪女団長タイム以外にソファにだらしなく寝転ぶ金髪男と
どっしりとした体格がどこか安心感を与える褐色肌の年配メイド
「ようこそ、ロカルノさん」
礼儀正しく礼をするタイム
「よっ、ロカルノ。どしたんだ?」
そしてそれとは対照的に寝転びながら挨拶するはルザリア一の腕を持つ男、ことクロムウェル
「クロムウェル・・、ここはルザリア騎士団の団長室かと思ったのだが・・何時の間にかお前達の愛の巣になったのか?」
「「なっ!!?」」
珍しく茶化すロカルノに面白いくらい反応をするタイムとクロムウェル
そう言われても仕方がない生活なのだが誰も文句は言わない。それにより具合の悪い事は何も発生しておらず
寧ろクロムウェルの働きにより重大事件の検挙率100%と言う名誉な記録まで打ち出している
・・それでも両人にとっては恥ずかしいらしい
「申し訳ありません、お客様。まだ用意ができていませんので・・」
その中、メイドが丁寧に挨拶をする。その身のこなし一つで彼女がその筋のプロである事に気付きロカルノは静かに微笑み返す
「いやっ、お気になさらず。突然訪問したのは私の方ですので」
「まぁ、それはどうも・・ほらっ!坊ちゃん!お客さんの手前ですよ!シャキっとしなさい!」
「ったくベイトは固いんだからよ〜。そんで、どしたの?」
「うむっ、少々面倒事が起こってな」
軽くソファに座りながらクロムウェルと向かい合うロカルノ、タイムも今手にした書類を片付けクロムウェルの隣に座り彼の話に耳を傾けた
・・・・・・・
しばらくして
事の成り行きを軽く説明したロカルノ、タイムは興味深そうに唸りクロムウェルは全くに興味なさそう
「シャムロック財団が絡んだ余興・・ですか。孤児救済に力を入れている処と耳に挟んでいましたがそのようなところだったのですね」
いつもより丁寧口調なタイム、クロムウェルだとデレデレ、騎士関係だとビシッと話す彼女なのだが
ロカルノとなるとなんとも微妙な立場、セシルからの情報により彼がダンケルクの王子である事を知っているがために余計に気を使っている
「まぁ財団はどうでもいいんだけどさ・・、仮面つけての武闘会ってなんか怪しくないか?」
「何を言う、仮面と戦いの見事なコラボレーション。さらにキング オブ バウト・・そうは思わんのか?」
何気にロカルノは仮面武闘会を気に入っているらしい
「思わん」
「坊ちゃん、そんなにつっけんどんに言ってはいけません!」
興味なさそうなクロムウェルを叱るどっしりメイドのベイトさん。お茶の用意をしながらもなぜか退室しない
「いあ・・だって戦いにくそうじゃないか?」
「慣れですよ、坊ちゃん。それよりもロカルノ様・・本当にロカルノ様があのセイレーズのお弟子さんなのですか?」
「あ・・ああ、そうですよ。本人もテント郡にて元気です」
何気にときめいている瞳のベイトさんに流石のロカルノもやや引いている・・
「ま・・まぁ!!坊ちゃん!何故そんな大切な事を今まで隠していたのです!!?」
「え・・っ!?何怒ってんだよ!ベイト!」
「私がセイレーズの大ファンだった事はご承知でしたでしょう!」
そう言うと鮮やかな身のこなしでクロムウェルにネックブリーカー、瞬時にして完全に決まっている
その動き一つでロカルノは彼女がただのメイドではない事に気付く
「うぐぇ!ギブ・・ギブギブ!!ってか俺はベイトの趣味なんて知らないって!!」
「あら・・そうでしたか。まぁ坊ちゃんの事はどうでもいいです。団長、休憩が未だなので今からとってきます。
ではごきげんよう」
一礼しながら団長室より走り去るベイト・・、嵐が・・去って逝った・・
「・・どうやら・・、熱烈なファンだったようね・・」
「・・全然知らなかった・・。アイヴォリー達ならわかっただろうけど・・」
「まぁ、彼女の事は放っておこう・・。そこで、その仮面武闘会に使用するがためにセイレーズの愛剣『ネェルブライト』を拝借したい」
怪盗セイレーズが使用していた黄金のレイピア、陽鋭剣『ネェルブライト』
紆余曲折あって現在はタイムが所有しておりその黄金に輝く剣身は彼女の美しさと強さを際立たせている
「ああっ、なるほど・・どうぞ。お貸しします」
「・・むっ、意外とすんなりだな・・」
「正直あれは私には少々手に余る得物ですしね、それに・・ネェルブライトが必要なほどの重大事件が起きても、クロムウェルが奮闘してくれるので・・」
「俺がいるんだ、あんな物騒な物持っていかなくても余裕ってわけさ」
「ふっ・・違いない。」
なんだかんだあるが二人は相思相愛以上に名コンビである
「で、では・・お貸しします。返却はいつでもよろしいので・・」
少し照れ頬に朱を乗せながらタイムは壁にかけてあるネェルブライトを手に取りロカルノに差し出す
試しに抜かれた刃は曇り一つない黄金の刃・・
「手入れが行き届いているな・・」
「貰い物ですので、大事に扱わないと・・」
「殊勝な心がけだ・・。クロムウェルも少しは見習ったらどうだ?」
「うるせっ、しかし・・ローエンハイツでの武闘会なぁ・・。
中々面白そうだけど仮面が必要だからな」
暴れるのが好きなクロムウェルだが流石に仮面着用は遠慮したいらしい
「言ってくれればお前に合う仮面のコーディネイトをしてやるぞ?」
「・・そんなのできるのか?」
「これでも第一種A級仮面コーディネーターの資格はある」
「「・・・((何それ?))」」
「仮面のデザインから販売まで自由にできる資格だ。宮廷用仮面の製造も認められる」
「「・・・はぁ・・・」」
海溝ばりにディープ過ぎる資格にクロ&タイム硬直・・
「ふっ、まぁ出場するならば一声かけてくれ・・。さてっ、来たばかりだが色々と準備があるのでな・・失礼させてもらう」
「え・・あ・・はい、がんばって・・ください」
歯切れの悪いタイムに一礼しながらロカルノは優雅にその場を後にした
そして二人っきりになった団長室では・・
「・・コ・・コーディネイト・・してもらうの?」
「・・・・、いあ、出場しないよ。関わったら危険な気がする・・」
「うっ、うん、それがいいよ」
完璧と言える彼の唯一奇妙な性癖に二人はしばし呆気に取られるのであった・・・
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