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 一章 「事の発端」


暗雲立ち込める田舎村、その日久しぶりにやって来た者達は
傭兵スタイルの碧眼金髪少年と銀髪・・・銀狼の緋眼獣少女。
普通、人間と獣人のカップルなら獣人の方が立場が弱くなりがちなのだが、この二人は逆。
否、少年の方が一歩退いて銀狼少女の好きにさせていると言うべきか。 兎も角
 
「がぅ。ココ、臭い。」
「・・・全く、これはもう確実ですね」

何が臭く、何が確実なのかは普通の者には分りようがなかった
それでも二人が着いた先は田舎村にも関らずある宿屋。 入ってきた二人に顔色悪い主の
「・・・いらっしゃいませ。お二人お泊りで一室お借りですね」
愛想悪い無感情な対応に、一人一室づつすら言えない。それでも
「・・・夕食は結構です。」
 「・・・・・・(クアアアアア」
勝手にしろと言わんばかりに欠伸する銀狼少女を背に、少年は前金を渡し鍵を受け取り
二人揃ってその部屋へ・・・部屋は暫し使われていなかったのか埃が溜り
 「クシュンっ!!? 何とかしろ」
「はいはい。 これでアノ値段とは・・・如何出るでしょうかね」
窓を大きく開け放ち、少年が揮う魔導一発にその窓からボフっと噴出す煙の如き埃。
その直後、連発する少女のクシャミと少年の悲鳴が響いたりしたが
それを気に留めるような村人もまた、いなかった・・・・・・

その夜、村を支配するのは静寂。 田舎なだけにそれでも当然なのだが
そして、宵が深けるにしたがって村を満ちていく霧。
それは恰も生きているかのように地を張って進み、家屋 宿屋に侵入。
階段を這いすすみ・・・立て付けの悪い扉の隙間からその部屋の中へ
唯一あるベットの上にある一つの塊と床の上で寝る毛布の塊を包囲。
そして、霧は怪奇に二人を覆い尽くした。 が、

!!?

「単純ですねぇ。こんな処ですんなり寝るはずがないのに・・・って
まさか、天敵がやってくるとも思いませんか・・・」
 「・・・喋りすぎ」
空より響く二人の声に、霧は怯えるが如く退き逃げていく。
空から降るように現れた二人
村へ来た時とは打って変わり
煌びやかな蒼に白銀飾縁取の法衣姿で法杖を携える少年と
来た時の姿そのままに紅に黒飾縁取の服姿で大太刀を携える少女はそれを追い
宿を出て村を駆け抜け・・・着いた先は、村外れ山の麓にある洞窟。
そして其処に集っていたのは村人達。大人に、女,子供に老人・・・恐らくは全員。
「おやおや皆さん、こんな夜更けに何の集まりですか?」
少年の言葉に皆振り向き、向ける瞳はどんよりと鈍く意志を感じさせない。
それに、銀狼少女は一歩前へ
 「呀っ!!!」
破魔咆哮に一体の怪奇な魔力は散らされるが、村人達がその意志を取り戻す感はなく
それどころか銀狼少女の行動を攻撃と読み取り操り人形 幽鬼が如く迫り始める。
「これはもう・・・ダメですね。 生屍ですよ」
代わり一歩前に出た少年は手を一閃。
空に零れ舞うのは宝石の如き魔石。
それを格に、簡易な身体と四肢,頭に剣と盾を携えた魔導機兵(レギオン)、発動。
本当に牙と爪を剥出して襲い掛かる生屍に、魔導機兵は迎撃に洞窟までの道を作る。
二人はその道を駆け抜け洞窟に突入した。
中は、ただ掘り出した外側と異なり完全に古代遺跡。壁には古代文字が刻まれ
「・・・そのモノ、纏わらぬ無形にて生けとし生けるモノの命を喰らう。
退治すること適わず、数多の犠牲を揮いココに封印せし・・・
あ〜〜、後は綺麗に削り取られてますね。 後は・・・その名はヴァリゴラ」
と読みきった処で奥から溢れ出す禍々しいまでの気配。
大太刀抜き放ち構える銀狼少女と法杖に魔法の刃を生む少年の
前に姿を現したのは腐った肉の塊の如き躯喰鬼。
「これが・・・ヴァリゴラ?」
そうだと言わんばかりに豪腕ふるって襲い来る躯喰鬼を 瞬間
斬っ!! 斬っ!!!
と二人の×字斬りの上、少年の魔導により生まれた魔法の矢が強襲で撃破。
そのまま躯喰鬼はアッサリと燃え尽きてしまった。
「・・・・・・」
 「・・・・・・」
「こんなものが、態々封印までを必要とした化物のはずがない。
・・・まさかっ!!!」
慌て駆け出した少年に、銀狼も慌て追う。
外に出てみれば待機状態の魔導機兵のみで、
あるはずの遺体の破片が一切無く。
 「・・・、如何する?」
「都市に戻って応援を頼む余裕なんてありません。僕らだけで何としても・・・」
追跡するために少しでも情報を集めるため踵返す少年に、銀狼少女も黙ってついていく。
普段はケツの下にしいてはいるが、実際頭の回りは全く及ばず
有事の際には、その剣となるのが己の役目と心得ているから。

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