・・その銃声が響いた時ドラクロワは2Fから伸びる長い階段を登り詰め
王の間の前にたどり着いたところだった・・
「!?ミュンさん・・・、逝ったのですね。せめて、安らかに・・」
ホールの方を向き手を合わせるドラクロワ、
それも一瞬で再び王の間を向き重く黒い扉を蹴り破った・・!

「ようこそ、ドラクロワ君・・」

王の間の向こう、それこそ舞踏会ができそうなくらいの広さの先にブラド公は優々と座っていた
そこまで伸びる赤い絨毯は普通の赤ではなく血で染まっている。
そして玉座の後ろやそこら中に投げ捨てられた女性達・・
人形のように動かなくなった姿は不気味としかいいようがなく
かつて所見が行われた優雅な空間は血の臭いと瘴気が渦巻く異空間となっていた。
「ようやく辿り着いたよ、下りてきたらどうだい・・?」
革の鎧を来た白髪の吸血鬼ドラクロワ・・斬首剣を持ち臆することなく構えた
「ほほう・・、この俺に対してそのような口を利くか。このブラド公に対して!」
笑いながら玉座から飛び起きるブラド公、
漆黒の貴族服そしてマントは生贄にされた女性の血により赤い斑点が無数についている。
「・・・・、いい加減下手な芝居は止めなよ・・姉さん・・」
悲しそうに呟くドラクロワ・・、その言葉にブラド公は驚いた顔つきになり面白そうににやける
「気付いていて当然・・・ね。ずいぶんと成長したじゃない?」
ブラド公から放たれる声は女性の物
・・そして彼の背中に透けて現れる金髪の女性・・目は真紅にて魔性さを出している
「・・マリアさんのおかげさ。ブラド公を操ってこの国を滅亡を追い込む気かい・・」
「ふふっ、これは復讐よ。人間どもに対する・・ね」
「そのために国を救うために戦おうとしたブラド公や従者を魔に染めたのか」
「違うわ、彼らは人や世に対する憎しみがあり自らその身を捧げた。
特にこの子はその念が強かったからこそこうしてこの吸血妃セシルと同化ができたんじゃない。」
女性の姿が消えたかと思うとブラド公が心底楽しそうにそう言う
「同化・・?彼の意識はもうない、それは支配だよ・・姉さん。
そんなに・・人間が許せないのかい・・一時はあれだけ人を・・」
「黙りなさい!・・人を愛した事自体私にとっての間違いだった・・。
そのために体をなくしたのだからね。
・・だからこそこの世の全てに思い知らせるのよ、人間がその上を行く存在を陥れた罰をね!」
「例え種が違おうとも・・理解しあえる!」
「違う!貴方だってその存在を知られたら討伐されるわよ
・・だからこそ闇に隠れてこそこそ生きていたのでしょう」
「それも事実だ、しかし僕達をわかってくれる人だっていたはずだ!
姉さんを愛してくれた人だって・・」
「何時の間にか感化されたのかしら?いいわ・・私の眷属として生まれ変わらせてあげる。
そして人間狩りの最前線に立たせてあげるわ・・」
ブラド公・・もとい吸血妃セシルは目をカッと見開いたかと思うと
その体は見る見る変異をしだし内側から何かが覚醒するように姿を変えていった
その姿は正しく黒い血の竜・・、竜燐には赤い血が滴り翼からは
おびただしい量の瘴気が放出し王の間をさらに異形の空間へと変えている
「例えか弱き存在でも生きる権利はある、それを無慈悲に奪っても憎悪が増えるだけだ!
姉さん・・貴方は僕が葬る!!」
そう言い放ち斬首剣を地面に突き刺し足幅を広げ力を溜める・・

ズズズズ・・!!!

ドラクロワの背より生えてくる翼竜の翼・・闇の力より具現化したそれは黒い稲妻を帯びている
そして彼の体も黒い稲妻が護るように駆けている
”本性を表したようね、でもそれだけで私を止められる?
この国全ての怨念を身につけたこの私を・・”
「止めてみせる・・、例え一国の怨念だろうと一人の人を想う気持ちには勝てない!」
”愚か・・!”

轟!!

黒血竜の口から放たれる紅蓮の炎・・
それは人の悲鳴を木霊しながらも高速でドラクロワに向かって走る・・
「貴方も!愚かだ!」

ドォン!

それをまともに受けるドラクロワ、漆黒の翼をはばたかせ炎を跡形もなくかき消した
「悲劇は繰り返してはいけない・・、姉さんはそれでもいいのか!」
”人の世に繰り返さない悲劇はないわ、だって・・人の本性にその言葉は刻まれているもの・・”
「姉さん、くそぉ!」
ドラクロワは叫びながら腕を振るう!
そこからは黒い稲妻が幾つも放たれ意思を持つが如く黒血竜に突き刺さる!
”ぐわっ・・、このぉ!”
黒血竜は大きく仰け反ったがそれを反動に勢い良く飛び掛り巨大な爪でドラクロワを襲う!
「!?」
巨体ながらにして異常な速さにドラクロワは回避が遅れ・・

ザシュ!!

深深とドラクロワの体を切り裂いた!
翼も切り落とされ肩から胸あたりまでザックリと裂かれドラクロワも口から血を吐き、唸る・・
”終わりね・・!ドラクロワ!”

ドス!!

「ぐああっ!」
尚も巨大な爪で攻撃する黒血竜、強烈な突きがドラクロアの腹を貫通し彼を持ち上げる・・
”可哀相・・、苦しいでしょう?早く自由になりなさい・・”
「自・・由?僕は自由さ・・、姉さん!」

ドォン!ドォン!!ドォン!!ドォン!!!

胸を裂かれ、腹を貫かれながらもドラクロアは黒い稲妻は放つ!
その一つ一つは巨大で黒血竜の両目を直撃させ流れ弾は巨大な竜の体を燃え上がらせる!
”ああっ・・!このぉ!”
これには流石に応えたのかドラクロアを投げ飛ばし暴れまわりだす
どうやら両目ともやられたようだ
「ぐっ、はぁ・・はぁ・・!」
対しドラクロアも満身創痍の状態で壁にぶつかりそのまま座り込んでしまった・・
お互い次の手が打てない状態・・、
一撃一撃が強力ゆえだがこうなっては先に起き上がったほうが勝ちとなる
そこへ・・

「ドラクロワさん!」

王の間へマリアが走ってきた・・、彼女もずいぶんと息が上がっている・・
「マリアさん・・・、無事だったんだね」
「私は大丈夫です!それよりも貴方は・・・」
見るも無残なドラクロワの姿・・手当てしようにもどこから手をつけていいのかわからない
「僕は・・まだ大丈夫。でも同族同士だと体は回復はしないんだ・・、直に倒れるよ」
傷口を抑えながら少し微笑むドラクロワ
「そんな・・」
「だが、あの竜を・・僕の姉を倒さなければならない。
だからマリアさん・・もう少し僕に付き合ってくれ・・」
「そ・・そんな体で何を・・」
「捨て身であいつに切りかかる・・その瞬間に僕を銀弾で撃ってくれ。
僕の魔力に銀弾を反応させて超爆発を起こさせる!」
そう言いゆっくりと立ち上がるドラクロワ、座っていた地面には血の池ができている
「私に・・貴方を・・」
「そうだ、それしかあの竜を倒す方法がない。
あいつだってやろうと思えば城ごと消滅させるだけの力は残っているはずだ・・」
「・・できません・・」
重く静かに伝えるマリア・・
「マリアさん・・」
「貴方を撃つなんて・・できませんよ・・」
目に涙を浮かべるマリア、それでもドラクロワは静かに微笑み首を横に振る
「こうしないと・・駄目なんだ。僕の命の炎ももう尽きる・・
それで死んでしまったら僕は君を人外の者にしただけだ。」
「・・・・」
「頼む・・マリアさん。僕を・・そしてこの国を解放してくれ」
「・・・・・わかり・・ました・・」
深く頷き、最後の銀弾を装弾する
”!?・・そこね!!”
そこでようやく二人に位置に気付いたのか紅蓮の炎を飛ばす黒血竜・・!
「まだ・・!!」

ドォン!

「・・死ねない!!」
残った翼で何とか炎の弾を防ぐ、しかしその衝撃で彼の体からまた血が吹き出てきた
「ドラクロワさん!」
”この声・・ふふっ、あの修道士の娘ね。
ドラクロワ、貴方もなんだかんだ奇麗事を言っても結局はその子の血を吸ったじゃないの・・。
所詮、貴方も私と一緒よ”
「違う!僕は・・彼女に生きて欲しかった!それだけだ!」
そう言い最後の力を振り絞り彼は駆け出した・・!
”それが綺麗事なのよ!いい加減気付きなさい!”

轟!!

迫り来る気配を頼りに黒血竜は炎を吐く!
ドラクロワは捨て身でそれを受け火達磨になりながら竜の背中に飛び掛り腕を突き刺した!
「いまだぁ!!銀弾を打ち込めぇ!!!」
”貴方・・自爆する気!?”
必死に振りほどこうとする黒血竜・・しかしドラクロワはそれを許さず耐えている
そして彼にゆっくりと狙いを定めるマリア・・
「ドラクロアさん・・・」
「そうだ・・、それでいいんだ!」
”やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!”
「ありがとう・・、ドラクロアさん・・」

ドォン!!!

放たれる運命の弾・・、それが彼に当たった瞬間視界は白く包まれた・・
音はない・・、ただ白い光の中で消えていく竜の影と
ドラクロワの微笑みだけが彼女の瞳に焼きついた・・・



・・・・・
・・・・・

彼女が眼が醒めた時、そこは一面瓦礫が敷き詰められていた
ドラクロアの自爆は都全体に及んだらしく建物は全て崩壊している。
彼女も半身が柱に挟まれており身動きがとれない・・
しかし無事だったのはそのすぐ隣に刺さっていた斬首剣・・、
すでにそれは折れていたのだが彼女を護るように刺さっており
瓦礫で埋もれるのを防いでくれたようだ
「私・・・」
瓦礫に埋もれながらマリアは呟く、体はもう動かなく服もボロボロだ・・。
周辺からは瘴気は欠片もなくそらは白みかけてきている

それは彼女に残された最後の時、そして最後の安らぎ・・

「先生・・ドラクロアさん・・全て終わったみたいです・・」
うわ言のように呟くマリア・・目はうつろになっている
「私は・・間違っていたのでしょうか?これでよかったのでしょうか・・?
救うためとはいえ・・先生や・・あの人を撃ってしまった・・。
この国が救われた・・ですがあのまま・・あの人とともに暮らしたほうがよかったのかもしれない・・」
そう言いながら手を空にかざす・・
その手に触れるものはないが

・・・・・

風が静かに流れた、周囲に音はないのだが彼女にはそれが確かに聞こえ、静かに微笑んだ
「・・ありがとう・・神よ・・。貴方に・・感謝・・しま・・す」
その頬に涙が伝う・・、そして静かに夜が明け彼女にも日の光が照らされた


・・数日後、大爆発に気付いた聖教会によりトランシルバニア壊滅が明らかとなる。
住民は全て行方不明で以前より吸血鬼の仕業と考えていた聖教会は
住民達がその餌食になったと断定、
それを元に瓦礫の撤去を行い土地を清め新たな街を造りだした
撤去の最中、彼らは一つの石像を見つける。天に向かい手を伸ばし少し微笑む女性像・・
それは生々しくも美しく傷もついていないということからその像は復興した街の教会に置かれた。
・・それはいつしか聖母像と呼ばれるようになり今も悩める人のより所となっている
時折世に悲劇が起こると聖母像はそれを嘆くかのように涙を流す・・
血のように赤い涙を・・
・・その真実は誰にもわからない・・





FIN



マリア:レイブン(sword and bow)

ドラクロワ:フェイト=ラインフォード=ドラクロワ(闇の領主)

ブラド=ツェペッシュ(ドラキュラ)伯爵:クロムウェル=ハット(スタンピード!!)

吸血妃セシル:セシル=ローズ(ユトレヒト隊)

ロイヤルハウンド:サブノック(sword and bow)

デュラハン:ロカルノ(ユトレヒト隊)

ミュン:ミュン=クレイトス(最強の夫婦)

後書きのコーナー

ク:一万HITおめでとうございま〜す!!!!!

レ:クロムウェルさん、主役は私ですしその台詞は私専用です

ロ:そんなことよりも終わりからのテンション上がりすぎだぞ

ク:暗い話なんだからここで盛り上がらなければいけないだろ?

ミ:まぁメデタイことはあるんだけれどもねぇ。

ク:暗いぞ!やろうども!少しは明るくせい!

セ:そうそう!一万よ!一万!すごいじゃない♪

ロ:全く、金髪の連中は騒がしい。まぁ終わった以上気持ちを切り替える必要はあるな

サ:うむ、左様だ。この作品で何らかの事を感じ取ってくれれば小生は満足だ!

セ:ちゅうか、サブちゃんが黒幕のほうがらしかったじゃないの?

サ:うむ、小生こそ主役にふさわしいと思ったのだが・・フェイト殿と兄弟という設定だと・・

フ:悪魔と吸血鬼の兄弟〜・・濃いね〜・・

ク:アダム○ファミリーみたいになりそうだな・・

ミ:俗っぽいこと言うんじゃないわよ!クロ公!

ロ:まっ、魔性の女でミュンさん以外ならばセシルしかいまい・・

一同(セシル除く):納得・・

セ:こらぁ!化け物演出は御免よ!

レ:しかし・・私、本編でも芝居でも妙な死に方をしてるような・・

ク:本編はまだ死んどらんだろう、死にかけだ。まぁそういうキャラ?

レ:・・アルが喜ぶならばそれでもいいんですが・・

フ:喜ぶ人、いるかな〜?

ク:いるわけあるかい・・

サ:それはそうとしてクロムウェル殿の言う通りの壱萬HIT!真にめでたい!!

ロ:これも日々ここに来てくれる人たちのおかげだな。全くに頭が上がらん

セ:大方私目当てでしょ♪サービスに18歳未満ご遠慮な事しちゃおうかしら♪

レ:・・描写はありませんが普段から皆さんなさっているのでは・・?

ロ、セ、ク:・・・・・・

ミ:若いわねぇ♪まぁ人間そんな行為があってこそがんばるもんよ、イケナイと思うのは18歳まで。
後は朝から晩まで下ネタを言ってこその本当の大人!!

ク:その論に賛同する人間はいないだろうな・・。サブノックは?

サ:小生は露骨に求めん、妻がねだればくれてやる

ミ:おっとこらしい。まぁこれが大人の世界よ♪皆、わかった?

フ:わからないと思うよ〜、ともかく〜、みんなありがと〜!

ク:これからもよろしく頼むぜ!

ロ:またのご来店、心より待っている

セ:そんじゃあね〜!!

・・・thank you for your reading・・


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