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外伝  「ある日の彼ら」


世も空けきらぬ早朝・・、
冒険者チーム『ユトレヒト隊』の朝は極めて早い・・
午前4時頃・・
「・・・、ん・・・。朝か・・」
クラーク起床。体内時計が鳴ったのか何の前振れもなく目を醒ます
隣には自分の腕にしがみつき静かに寝ているキルケが・・
「・・・よしよし・・」
可愛らしい寝顔に頭を撫でるクラーク
「ううん・・、クラークさん・・、もう食べれませんよ・・」
「・・何の夢を見ているんだか・・」
変な寝言にほっぺを軽くつつき、そのまま彼女に布団をかぶせ起き上がる
そして動きやすい訓練用のスーツに着替えそのまま外へ・・


同時刻
「・・・・・んん・・・」
少し唸り目を覚ますはロカルノ・・
仮面を取った素顔で頭を軽く掻く
隣にはセシルがベットの大部分を占めぐぅぐぅ寝ている・・。
「ロ゛・・・ロ゛カ゛ル゛ノ゛〜!!!」
歯切りししながら寝言で彼の名前を・・
「・・・寝ていても騒がしい奴だ・・」
朝から呆れつつ枕元に置いてある仮面ケースから今日つける仮面を取る
因みに計5つの仮面があり、どれも外見は一緒で完璧に磨かれている・・
そのまま寝ているセシルを無視し、動きやすい服装へ・・
壁にかけている愛用の槍『戦女』を持ち万全の体勢になるまで2分もかからない
「・・・よし」
「ロ゛カ゛ル゛ノ゛〜!!・・キスしなさい〜!!」
何の夢を見ているのか・・、ともあれ、未だ熟睡中のセシルの口を軽く塞がせそのまま
外へ出ようとする・・が
「・・・よろしい・・・」
「!!!」
驚いて振り向くが寝息を立てている・・
「・・寝言・・・か。寝ていても人騒がせだな・・」
寝相の悪い相方を放って、彼も外へ・・


それより30分ほど後・・
「・・・・・・・・」
無言のまま起床するは女剣士クローディア
彼女の部屋だけ畳がひかれており純和風・・
部屋の真ん中に叱れた布団を片付け手早く眼帯を装着
「・・・・眠い・・」
白い寝装束から道着に着替えつつ普段周りに決して言わないぼやきをつぶやく・・
ともあれ、咳をするも一人。
そんなこと言っても仕方ないのでさっさと外に出る



外の庭ではすでにクラークとロカルノが軽く運動をしていた
「おはようございます、兄上・・」
「おう、おはよう。目が醒めたか。いや〜、朝の空気は新鮮だね〜」
「・・ふっ、朝から元気なやつだ」
「朝だからな。でも・・、騎士のクセにアイツは朝遅いな〜」
未だ夢の中のセシルについて・・だ
「まっ、昨日は遅かったからな・・」
「・・おやおや、お盛んだな。」
小馬鹿にした口調でクラーク
「私はそのつもりがないが・・・、あいつが相手にしないと寝ている間に何するかわかったものではない・・」
「・・・大変だな・・」
「そっ、それよりも、訓練を開始しましょう・・」
大人の会話にタジタジなクローディア、適度に
切り上げてそのまま軽い乱取りへ・・。
3人というのは中途半端な数だが一人が審判役にもなり、限られた時間内でどれだけ相手に
有効打を与えられたかカウントをする。

何本か乱取りをしている間にキルケ起床・・。
クラークがいないのに毎度の事ながら少し残念そうにするがすぐさま髪を整え自室へ戻る
彼女は朝練に出てもついていけるレベルではない。
しかしもう一つの顔、シスターとしての朝の祈祷があるために目を醒ましたのだ
「もう、クラークさんったら・・・、たまには私が起こしてあげたいな〜」
そんなこと言いつつ館を出て3人に挨拶し隣の教会へ・・。
教会ではすでに神父が祈祷の準備をしている。
彼が目が醒めるのはクラークとほぼ同じ位でその体内時計の正確さから
以前武術に心得があったとクラークは睨んでいる。
因みにこの時点でもセシルは夢の中・・・


乱取りが終わったら同じ流派『アイゼン流剣術』のクラークとクローディアのその型に。
20を越える型を全て終わる頃にはすでに日は昇っている頃だ。
その間ロカルノは木の枝にぶら下がり懸垂、主に筋肉トレに精を出す
そのまま日が昇るまで各自汗を流し、キルケの祈祷が終わるとともに朝の訓練終了
「みなさん!祈祷終わりました〜!」
教会の扉から元気良く出てくるキルケ
「よしっ、じゃあおつかれさん。軽く汗を流して朝飯にしようぜ」
「・・・では、先に行っておけ」
槍を構えロカルノ、いつもこのタイミングで彼のみのトレーニングがある・・
それは・・
「とう!!!」
2階の窓から勢い良く飛び出してくるセシル
そのまま『氷狼刹』を振りかざしロカルノに斬りかかる・・。
ほんとに寝起きのようで寝巻きのままだ
「・・・まっ、程ほどにな。俺とクローディアは飯の準備をしておく」
「ああっ・・」
そうこう言いつつ落下してくるセシルを迎撃!
「何で起こしてくれなかったのよ!!」
「お前は起こしても起きん」
「やってみなければわかんないじゃない!!」
「今まで私が何回お前を起こそうとしたか・・、わからん訳でもないだろう」
「あれはあの時のみ!今日は起きる気満々だったのに!!」
そんな口論をしながらセシルが攻め、ロカルノが流す
これが彼らの朝の挨拶・・・・


ロカルノ&セシルが汗を流している間に
クラーク、キルケ、クローディア、神父が朝飯の用意・・
っと言ってもクラークは配膳中心なのだが
そうこうしているうちに食堂のテーブルに並ぶパンだのサラダだの・・
でも東の国出身のクラーク&クローディアはパンではなくライス
さらに豆を腐らせた得体の知れない食品
配膳が終了したころにはロカルノ、セシルが食堂にやってきて
朝飯開始〜。
「「「「「「いただきます」」」」」」
同時に手を合わせてお行儀良く・・
「ロカルノさん、珈琲は濃い目に入れておきました」
「ありがとう、すまないな。私の好みに合わせてもらって・・」
「いえっ、食べるものの好みに合わせるのも厨房に立つ者の責任です」
「ふっ、全く・・、誰かとは大違いだな」
「何よ〜!何なら私が朝ご飯作ってあげましょうか♪」
「断る!」
強く否定、朝から殺人料理は彼にも辛いのだろう・・
「・・ちっ、でも私の料理よりその豆の方が変よ?ねぇ、キルケ?」
「ええっ、なんか・・・、臭いますし・・糸引いてますし・・」
クラーク&クローディアがこねている『納豆』といわれる豆食品に引く二人
「そうか?(コネコネ)これって身体に良いし骨にもいいんだぜ?(コネコネ)
美味いし飯にも合うんだ。キルケ・・食べてみる?」
「・・いえっ、遠慮しておきます・・」
「そんなこと言わずに(コネコネコネコネ)はい、あ〜んして♪」
「いっ、いや〜・・・」
粘つく豆にイヤイヤと逃げるキルケ
「ふっ、いやがるキルケもかわいいのぅ・・」
「もう、クラークさんったら!」

「あっついわね〜・・」
「ふっ、朝からお盛んだな」
「・・・兄上・・」
「まぁまぁ、幸せそうなのですから・・」
バカップルもほどほどに・・・


朝食が終わり、食器の片づけをすると
依頼がある場合はそのまま出発、何もなければ後は自由行動となり
この日も仕事がなく一行は各々の行動へ・・
ロカルノはいつもの日課にもなりつつある街への情報収集

セシルも同じく街へ、街の住民の一部には熱心に彼女を崇拝する女性がいるので
彼女達の面倒を見に・・。
因みに街のゴロツキ達にも戦神扱いで逆らう者はいないとか・・

クラークは日曜大工の続きをしたり読書をしたりと趣味に浸っている。
この日は可愛い妹のための部屋のプレートを・・。
伊達眼鏡を光らせぶつぶつつぶやきながら匠の世界に入る彼はどこか怖い

キルケは庭先のテラスで読書、読んでいる本の内容自体はおだやかではないものばかりだが
本人は穏やか〜に・・
彼の趣味が一段落したら剣の稽古。
熱心な彼女はぐんぐんと腕を上げており、非力な点を除けば並みの騎士以上の腕前となった・・。それゆえ、クラーク自身も彼女の成長ぶりを見るのが楽しみになっているとか・・

そしてクローディア。趣味と言えるもの自体がないので空いている時間で館の掃除をしたり
瞑想して精神統一したり・・。

面々はこうして晩までの時間をそれぞれの為に使う。昼食は館にいる面々のみで・・。
厳しい決まりごとがないのも彼らの生活の特徴か・・


「セシルさん!おはようございます!!!」
「おはよう〜、っうかそんなにかしこまらなくてもさぁ〜・・」
通りを歩くセシルにそれまで肩で風を切らせながら歩いていたゴロツキが急に頭を下げて
挨拶をする。
まぁ、彼女が気に入らなければおぞましいことになるのだから仕方ない
「いえっ、セシルさんには・・・」
「まっ、よっぽどの事がない限り私も怒らないから・・(ポンポン)」
「ひっ・・・ひぃ・・・!!」
軽く肩を叩かれただけでも全身に戦慄が走る・・。
幸い彼女はそれっきり立ち去ったがゴロツキはどっと汗が噴き出し
膝が笑っていた
見た目は長い金髪に白シャツ、デニムの短パンとボーイッシュな女に見えるが中身は・・・

セシルはそのまま何気に街の表通りの散歩する・・
「金髪騎士さん、ほらっ、リンゴ!」
 「サンキュー、おばちゃん♪」
「お姉ちゃん、僕も大きくなったら騎士になる!!」
 「・・まぁ、私は今は違うんだけど・・、がんばって」
「セシルさん、私の家に下着泥棒が・・」
 「正式にロカに依頼して?そうすれば犯人見つけ出して二度と下着がはけない
 身体にしてあげる♪」
っとまぁ行き交う人々に声をかけられる彼女。
裏の顔を見せていないだけに街の住民にとっては街外れに住む気さくな騎士だとしか思っていない・・。

しかし・・
一旦裏通りに入り一般住民の姿が見えなくなると・・
「「「セシルさん、おはようございます!!!」」」
裏通りに住む全ての住民が恐怖に膝を震わせながら挨拶する・・
「おはよう・・、あらっ、貴方どうして膝が笑っているのかしら?」
「・・・すっ、すみません!!」
必死で震えを止まらせようとする男・・
「まっ、いいわ・・。じゃあ、ま・た・ね・・・」
表通りでもらったリンゴをかじりながら奥へ進む・・。
その姿が消えると共に腰を抜かす男
「大丈夫か・・?」
「あっ、ああ・・。危うく漏らすところだったぜ・・」
「それは恥じゃない。なんたって相手があのセシルだからな・・」
ともあれ、セシルが去った後は各々元の生活に戻る彼らであった

裏通りの一角、周りを建物に囲まれた街の住人さえ知らない空間
そこには小屋が建てられている・・
にやけながらその小屋に入るセシル
「「「セシル様〜♪♪」」」
中には数人の獣人女性が・・、どれもまだ若く街の住民らしいが同じ首輪を装着している・・
「お待たせ♪私の可愛い仔猫ちゃん達♪」
彼女達はこの街の裏社会で『喜ばせ組』と呼ばれる住民。
因みに全員既婚で旦那に相手をしてもらえず一人悶々としているところをセシルに出会って
・・・まぁ、充実した生活をしているようだ。
しかもセシルが可愛がっている女性だけに裏の人間でも指一本触る事ができなく、
彼女達にとって何も害になることはない
「今日もた〜っぷり可愛がってあげるわね〜♪」
欲望の眼差しで手をワキャワキャするセシル・・、
彼女の一日のお楽しみタイムがはじまった・・



一方館では・・
クローディア調理の昼食を平らげ昼下がりの一時
クラークも朝の内やる事やったので昼からはのんびりと・・
「は〜、やっぱ畳っていいよな〜」
クローディアの部屋でゴロゴロする・・。
唯一の畳張りの部屋なので彼がクローディアの部屋に入り浸ることは多い
「兄上も畳張りにしたらいいのでは・・」
「う〜ん、イグサもないしな・・。それに俺、ベットで寝る生活が長かったから・・」
部屋で正座するクローディアに寝転びながらクラーク
そこへ・・
「クラークさん!ついに出来ましたよ♪」
入ってきたのは着物姿のキルケ、自分で作ったようで
薄桜の可愛らしい着物、そしてオサゲを解き、おだんご頭にしている
「おおっ!!着物まで作るなんてな、色からしてクローディアのを参考にか?」
「ええっ、私が着ている物をキルケさんに見せましたが・・、こうも見事に出来るとは・・」
「へへっ、裁縫は得意なんですよ〜♪」
えっへんと胸を張るキルケ、いつもと違う雰囲気でちょっと大人っぽい
「一回クローディアの隣で正座してくれよ?」
「あっ、はい」
見よう見真似でクローディアの隣に座る
「ふむっ、姉妹みたいだな」
「ええっ?そうですか〜?でも私、クローディアさんみたいなお姉さんが欲しかったんですよ♪」
「わ、私みたいな・・ですか?」
「ええっ、なんだか頼り甲斐が合って優しいじゃないですか!」
「・・そうです・・ねぇ・・」
自分の姉を思い出すクローディア。騒がしくともお節介で優しかった姉・・。
数々の迷惑沙汰に少し困惑しながらも・・
「そうですね、姉というのもいいものですね・・」
微笑みキルケの頭を撫でる
「えへへ・・」
「和やかだね〜、じゃあ今度はクローディアがこっちの服を着たらどうだ?」
「私が・・ですか?」
「それいいですね!採寸して今度作ってあげますよ♪」
「・・わかりました。お願いします、キルケさん」
「ああっ、私のことはキルケでいいですよ。だって、姉妹でしょ?」
「・・・・・・わかりました、キルケ・・」
照れながら言うクローディア、可愛い妹ができたことに嬉しく思うのであった




「ふむっ、収穫はなし・・か」
薄くらい酒場でカウンターに座るロカルノ
そこは普通の酒場ではなく『冒険』の看板が上がったギルドの支部。
酒場兼冒険者のサポートをする組合だ
ロカルノはいつもここで情報収集をする
「いいんじゃないかい?のんびりするのも・・」
髭つらのマスターが明るく声をかける
「ふっ、たまにはそれもいいがあまり仕事をしていないと食べるのに困るのでな」
「ですが、ほんとユトレヒト隊のみなさんには助かりますよ、我々の面目丸つぶれですが・・」
ロカルノの隣で苦笑いの中年男性、服装からして冒険者というよりかは騎士に近い
「自衛団団長がそういうもんじゃない。それに・・、貴方達だけでもやろうと思えばこの街を守ることはできるさ」

ユトレヒト隊がこの街に住むようになって、表社会と裏社会のいざこざがプツっとなくなった。
メンバーの一人(セ○ル)が強烈な抑止力となり裏の動きを封じこめているのだ。
他にもクラークは街の補修工事云々、ロカルノは自衛ポイントの助言など少なからず
貢献している
「ほんっと、ロカルノさん達がいなかったらもっとここって住みにくいとこでしたので感謝しますよ
私もロカルノさんみたいな彼氏が欲しいな〜♪」
トレー抱き締めウェイトレスがロカルノを熱っぽい目で見る
「私か?・・止めておけ、私のような人間はそうそういない。それに、こういう男に限って
女の趣味は変わっているもんだ」
「・・・セシルさん・・、ですね」
「・・・・・ふっ」
毎度の事ながら暴走するセシルを止めているのは住民もよく見ている・・っということで
セシル&ロカルノのペアは街でも有名に・・、それ故彼も否定できない様子・・
因みに、セシルが裏社会から脅威として見られている一方ロカルノは彼女の唯一の対抗手段として神のように崇めているとか・・
「でも、ロカルノさんならもっとおしとやかな女性のほうが合うのではないかい?」
「・・まっ、家系の影響もあるのかもな。私の弟も気の強い女を嫁にもらったからな・・」
「へぇ、ロカルノさんに弟がいたんですか〜、弟さんも冒険者ですか?」
「・・・・まっ、似たようなものだ」
実際は『王』なのだが・・、国を良い方向へ導くために未知の世界へと思いを巡らすのは
冒険に値する事なのかもしれない
「まぁ、自衛団としては今後も貴方達を頼りにさせてもらいますよ。」
「相応の報酬があるならそれもいいだろう。さて、そろそろ時間だ、邪魔したな・・」
「ああっ、ありがとう、また何かあったら連絡入れるよ」
「ありがとうございました〜♪」
軽く手を振り店を出るロカルノ、最後まで渋い男だ

「・・・・マスター、ロカルノさんの弟さんも仮面しているのでしょうかね?」
「う〜ん、兄がああなら弟もしているのじゃないか?女の趣味も似ているらしいし・・」
それから彼らの話題はロカルノの弟の話で盛り上がった・・。
話が終わる頃にはかなりの奇人になっていたとか・・・・・


ロカルノがギルド支部を出た時にはすでに夕日が差していた
「・・、もうこんな時間か。」
仕事以外にも調べ物があったせいか時間の経過がどうも早く感じてしまうようだ
街では夕飯の支度をしようと家路を急ぐ主婦達がちらほら紙袋を抱えて帰宅するのが見える
その中で・・
「あら?ロカルノ〜、こんな時間までギルドにいたの?好きね〜」
ホクホク顔のセシルが手を振って近づく
「好きも何も仕事だろう。お前こそこんな時間まで何していたんだ?」
「ま〜、可愛い妹達の人生相談ってとこかしら♪」
「・・・・・・どの道、ロクでもない事だろうな」
「失礼な!でっ、今日はみんなで外食するんだったよね?もうすぐ来るかしら?」
今朝方、夕飯の支度のローテーションを見たらセシルだったので
クラークが慌てて外食にしようと提案したのだ・・。
無論、全員一致で可決。
「そうだな、広場で待つとしよう・・・いくぞ?」
珍しくセシルの肩を抱いて歩き出す
「ええっ!?何?この手は?」
「・・・不満か?」
「いやっ、そうじゃないけど、いつもはお願いしてもやってくれないじゃない?」
「ふっ、これでも気まぐれなんでな」
「やな男・・」
「嫌ならいいんだぞ?何も・・」
「我慢してあげるわよ!行きましょう!」
照れながら狼狽、しばし二人の世界に入りつつも
通りを歩く人々は有名カップルのいちゃつきにみんな振り向いていた


広場には小さい街ながらも噴水があり何やら女神の像が中央に建っている
そして噴水を囲むようにベンチが設置されている
っと言っても夕暮れ時にベンチに座ってのんびりしているような人は
マトモではなくゴロツキが一組、そしてクラーク達がノンビリと・・
ゴロツキ達もクラークがどういう人間か以前から身をもって知っているので肩身狭そうに
目をつけられずにいつ席を立とうか迷っている模様だ
「おっ、来た来た。どうしたんだ?仲良く歩いちゃって♪」
早速二人を茶化すクラーク
「なっ、何見ているの・・!!」
「まっ、好きな女を連れ歩くのは罪にはならないだろう?」
セシルの狼狽を遮ってロカルノ、
「あ〜、セシルさん顔真っ赤ですよ♪」
未だ着物姿のキルケがさらに茶化す。
ゴロツキ達はセシルの言葉に顔面真っ青、この街で決して逆らってはいけない面々に出くわし
身を縮めこむしかない
「うっ、うるさいわね!でもキルケ・・、またコスプレ?『着物女性着乱れ淫獄の巻き』って訳?」
キルケに服装に即興で変なコスプレ題を名付ける。そもそも乱れた服装ではないのだが・・
「怪しい題をつけるな!ともかく、全員揃ったみたいだし食いに行くか・・」
「?神父はどうしたんだ?」
面々に神父がいない事に気がつくロカルノ。
大人しく常識人で影が極めて薄いので彼らでさえたまに存在を忘れてしまうこともあるとか・・
「3日後に王都で合同祈祷があるので昼過ぎに教会を出ましたよ?」
「ふむっ、意外に忙しいようだな。では・・、行くか。誰か良い店を知っているか?」
「私が以前街で見かけた店がよかったので・・、そこに行こうかと」
「クローディアの・・、ふぅん、おもしろそうじゃない。じゃあ早速いきましょいきましょ♪」
ノンビリとその場を立ち去るユトレヒト隊


それを見てゴロツキ達はやっと胸をなでおろす
「ふぅ・・、行ったか」
「ああっ・・、全く、セシルとクラークだぜ?目をつけられたら酷い目にあう・・」
「まぁ、クラークの野郎はあの女に手を出さなければ問題ないが、セシルだ・・」
「全く、モメ事がなくなって裏の社会も安定したのはいいが・・、とんだ戦神が舞い降りたもんだぜ」
「全くだ・・」
女一人に太刀打ちできないと落ちこむゴロツキ達・・・。
無理もない話なのだがついつい落ちこんでしまう



クローディアの案内で一同は裏通りに程近い一軒屋
出来て間がないようだがなんだか繁盛していなさそう・・
「こんばんわ〜、5名ね」
入ってとりあえずクラークがカウンターの女性に声をかける
「はい、ありがとうございます。シェリー、お客様に水を・・」
「うん、お母さん・・」
何やら少し元気が無さそうな中年女性がウェイトレスに声をかける
「・・・親子で切り盛りしているようだな」
「大変そうですね、でも元気がなさそう・・」
テーブルに腰掛けながらキルケとロカルノ。
稼ぎ時なのに彼ら以外はいない・・
「ほんとにここなのか?クローディア?」
「えっ、ええ・・。以前はこんな感じでもなかったのですが・・」

「お客様、水とおしぼりです・・」
少女が5人分の水とおしぼりを置きメニューを聞こうとする
「・・いやっ、少し待ってくれないか?決まったらまた呼ぼう」
「はい・・」
そういうと少女は浮かない顔のまま厨房付近へ
「・・・見たか?」
「ええっ、あの子、腕があざだらけだったわ・・」
「母親が自分の子供に対して暴力を振るう事などあり得ない。っということは・・・・」

ギィ!!

「おう、邪魔するぜ!!!」
突如乱暴に扉を開けて入ってきたヤクザ風の男
「い・・いらっしゃいませ・・」
これにカウンターの女性は震えあがっている
「けっ!!!なんだ?小さな声で!!不愉快だなぁ!!」
そう言うとテーブルの一つを蹴り飛ばした

「・・・なるほどね。見たところ、この街のゴロツキじゃないわね」
「余所のとこからここに来たんだろうな。まっ、力のない女いじめて嬉しいようじゃ、ゴミもいいところだな。」
呆れて見ているクラーク&セシル
そんなことはさておき女亭主は気が気でない様子
「お客様、他のお客様もいらっしゃるので乱暴事は・・」
必至でヤクザを止めようとするが
「おおっ、こんな腐った店にも客が来るのかぁ?おい、お前ら!!」
クラーク達に向かってにやけながら歩み寄る・・
「はぁ、大した訓練もせずに、なんでこういうのって自信満々なんだろね?」
「ふっ、それは、数にモノを言わせてるからだろう。一人では何もできん輩ばかりさ」
「ほんとっ、みんなで仲良しこよしは成人する時に卒業しろっての・・」
息巻くヤクザに呆れる一行
「なっ、なんだと!!良い度胸じゃねぇか!!!そこの変な格好の女!!」
挑発した3人ではなく一番体格の小さいキルケに因縁をつける
しかし、それは最も引いてはいけないジョーカー

ピシッ

「おい、誰が変な格好だって・・・」
ゆらりと席を立つクラーク

「最近のクラークって、ほんとキルケの事になると短気ねぇ・・」
「それだけ愛があるんですよ♪」

「おう、なんだ!?やるってのか!??ひ弱そうな兄ちゃんよ!!!!」
「ふぅん、俺を知らないってことはやっぱり余所者か・・。とりあえず表に出ろよ。
食べ物扱う店を血で汚すのは気が引ける」
「上等だァ!!ケツから腕突っ込んで奥歯ガタガタいわしてやる!!!」
血気盛んに表に出ていく二人・・・
「あっ、あの、お客さん。あの方は・・」
「ああっ、気にしなくていいわ。それよりも私、お酒お願いね〜♪」
「じゃあ私は食後に紅茶を一つお願いします」
誰一人出ていったひ弱な男の心配をしない一行
それにさらにオロオロする女亭主だが・・

ゴン!!!!!

少し地響きがしたと思いきや再び店に入ってきたクラーク
「随分キツイ一発をお見舞いしたんだな?クラーク」
「ああっ、死なない程度にな。ここの人達もそれで迷惑していたんだろう?」
「でも変な格好だなんて・・、私も懲らしめてやりたかったですよ・・」
「キルケがやったらほんとに殺しかねないから駄目、さっ、これで仕事の邪魔はいなくなったぜ。うまい料理を頼むよ、おかみさん」
「はっ、はぁ・・・」
事も無げなクラークに唖然とする女亭主、ともあれ、
迷惑客を撃退してくれたので腕によりをかけて料理に取り組むことにした
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
「は〜、ごちそうさま、うまかったな?」
爪楊枝をくわえながら満足そうなクラーク
「ほんと、クローディアが進めるのもわかるわ」
「しかし、少し薄味なのが・・な」
「ロカルノさんは濃い味付けが好みですからね・・」
「それでも美味しかったですよ、ゴロツキもいなくなったし繁盛するんじゃないですか?」
「まっ、それは間違いないな。おかみさん、オアイソお願い〜!」
クラークが勘定求めるのに慌てて女亭主が手を振る
「あっ、いえっ、助けていただいたのに御代なんて・・」
「ふっ、あれは私達に因縁をつけたからそうやっただけだ。きちんと払う義務はある・・」
「そっ、そうですか・・」
「そうそう、じゃ、置いておくぜ?さっ、帰って風呂にしようか」
「ああ・・、まだ焚いていないので館につきしだい用意します」
「すまないな、クローディア」
そんなことを言いながら一行は退店、親子は呆然としながらその光景を見ていた・・

店を出た頃にはすでに真っ暗になっており行き交う人はそういない・・。
日の光を吸収し、夜間発光する外灯のぼやけた明かりが道を照らしていた
「もうこんな時間か・・、館につくころにはもう良い時間だな」
「・・その前に、就寝前の運動がありそうだ・・な」
「・・そうね、食後の運動には最適かしら・・・?」
暗い通りに誰かが待ち伏せしているのがわかる
「よう、さっきはよくもやってくれたな・・・」
店で会ったゴロツキが包帯巻きながら見下した様にタンカを切る
「・・・はぁ、数で押し切ろうっていうのか・・。」
ゴキゴキと指を鳴らすクラーク
「あさはかね〜、っていうか、私に任せてよ?最近暴れてないし〜」
「じゃあ俺が左の肩関節を破壊する、セシルは右だ。破壊した数が多かったほうが
勝ち・・ってのはどうだ?」
「いいわね〜、でっ、制限時間は・・?」
「5分」
「・・・・3分よ」
「・・・まっ、いいだろう。じゃあクローディア、家で風呂を沸かしておいてくれ」
「・・・わかりました。まぁほどほどに・・」
のんびりとその場を後にする3人・・
ゴロツキ達は20数人できているのに余裕面の二人にいきり立つ
「てめぇら・・、良い度胸だ!!さっきは不意打ちあって(ゴス!!)・・!!!!」
台詞の途中で吹っ飛ばされるゴロツキ
やったのは・・、裏社会の女帝セシル
「ごちゃごちゃうるさい!!さあさあ!!私の前に立った不幸を呪いなさい!!」
「おいおい、抜け駆けは許さないぞ?」
一気に襲いかかる二人・・・・・・
それは彼らにとって悪魔が舞い降りた瞬間だった




・・・しばらくして偶然その現場を目撃した住民が自衛団に通報
彼らが駆けつけてきた時にはすでにゴロツキ達は全員気絶しており
苦悶の表情を見せていた。
不思議な事に全員の右肩関節が砕けており、その大部分は両方の肩関節が破壊されていた
自衛団はその巧みな手加減とゴロツキ達の悪魔を見たような顔でそれをやったのが
誰なのか瞬時に理解し、以後の処理を始めた・・







「あっ、クラークさんおかえりなさい♪どうでしたか?」
のんびりと帰ってきたクラークに居間で待っていたキルケが聞く
「まっ、軽い軽い。結局数で言えば俺の勝ちだけど・・、セシルが全員の肩を破壊してな・・」
「だってほんっとつまんない奴らだったのよ?大口叩いておいて何なの?あの低レベル・・」
居間に入り呆れる二人、傷一つついていなく、ほんとに軽い運動をした後のようだ
「ちょうどいい時間になりましたね。お風呂が沸いています。お先にどうぞ」
「ああっ、まずはクローディアが入れよ?自分で入れたんだし・・」
「いえっ、一番風呂は館の主が入るべきですので」
「じゃあ私ね♪」
早速脱ぎだすセシル・・、っと言っても薄着なのですぐにでもすっぽんぽんになりかねない・・
「お前は主ではなく恥さらしだろうが・・・。」
すばやくロカルノがつっこみセシルをホールド、そのままどこかへ連れて行った・・
「じゃあ・・先に入ろうかな?」
「あっ、私も・・・いいですか?」
モジモジしながらキルケ
「ええっ!!いやっ、そういうのは道徳的に・・」
「兄上・・・、そんなに焦らなくても・・」
「そうですよ、背中洗ってあげます♪」
「いやっ、俺もこれでも男なんだしさ・・突然キルケを襲っちゃうことだって・・」
「大歓迎です♪」
「えっ?」
「いっ、いえ!何でもないです。さっ、行きましょう♪」
「おっ、おい、引っ張るなよ。クローディアも何とか言えよ!」
「まぁ、ほどほどに・・・、上せないように気をつけて・・」
呆れ顔のクローディア、止めもせずどこかしら羨ましそうに見つめるのみだ・・
・・・・、
結局1時間ほどして上せているクラーク&キルケを脱衣所でクローディアが発見したそうな・・・


そんなこんなでどたばたしながらも午後9時頃には全員就寝準備
っと言っても女性陣3人の内2人は相方の部屋に入るのだが・・
「ロカルノ〜、お・ま・た・せ♪」
飾り気のない部屋、そのベットで就寝前の仮面磨きをしているロカルノにセシルが・・
ネグリジェ姿でいつもよりかは女っぽい
「またここで寝るのか・・・、自室があるのだからたまにはそこで寝ろ」
「もう!冷たいわね!石にかじりついても一緒に寝てやるんだから!!」
「・・・ふぅ、仕方あるまい。ほらっ・・」
スペースを空けてやるロカルノ、仮面磨きもどうやら終わりのようだ
「よし!行くわよ!!」
ロカルノめがけてダイブするセシル・・。
勢い良く突っ込んできたのでロカルノも本気で構えて受けとめる
「・・お前な・・・。私の前だと何でそうも・・」
「だって・・貴方の前では女でいたいの・・」
ロカルノの胸にスリスリしながら甘えるセシル。こんな姿、街のゴロツキが見たら信じられない顔をするだろう
「・・・・ふっ、仕方ない女だな・・」
そのままロウソクの明かりを消し二人は愛を語らいつつ眠りについた

一方クラークの部屋・・
「クラークさん〜♪」
「おいおい、今日も俺のところで寝るのか?ここんところ毎日だぞ?」
「だって〜、一緒にいたいじゃないですか?」
「・・まっ、それはそうだけどさ・・。!、そうだ・・、たまにはクローディアと一緒に寝たらどうだ?
あいつも一人で寝て寂しいだろう」
「クローディアさんと・・ですか?」
「そっ、昼間姉さんって言っていたじゃないか?」
「う〜ん・・そうですね・・、たまには女同士でもいいですね♪わかりました。
じゃあクローディアさん襲ってきます!おやすみなさい〜♪」
「おう、おやすみ、また明日な、キルケ」
軽く口付けをし、キルケが出ていく・・
「ううむ、なんか・・・・、勿体無いことしたような・・・。明日はまた一緒に寝るか・・」
そうぼやきつつクラーク就寝・・。
っと言っても隣の部屋から聞こえる嬌声に少し寝つけなかったのだが・・


「さてっ、そろそろ・・・」
畳部屋に布団をしき、寝装束姿のクローディアが明かりを消そうとしている

コンコン

「?どうぞ・・」
「クローディアさん・・」
照れくさそうにキルケが入ってくる・・
「キルケ・・、どうしたんですか?」
「いやっ、一緒に寝たいな・・・って思いまして・・・」
「私と・・ですか?」
「はい・・、嫌・・ですか?」
「・・・いえ、どうぞ」
少し微笑み部屋に招くクローディア
「やった、断られたらどうしようって思いましたよ♪」
「断りませんよ。妹のお願いなのですか・・」
「クローディアさん・・」
優しく接するクローディアを嬉しく思うキルケ
「さっ、明かりを消しますよ・・」
「あっ、はい・・」
ふっと明かりが消える・・
それとともにキルケを優しく抱き締めるクローディア
「おやすみなさい・・、キルケ」
「おやすみ・・姉さん・・」
女二人、幸せそうに就寝・・。翌日目が醒めるまで二人は手をつないでいた・・・



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