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「騎士団のメイド」


貿易都市ルザリア

大国ハイデルベルクの西部にある貿易拠点で物流が盛んな都市でもある

その分忙しいのなんのって・・

人が多い→犯罪が多いわけだから護りを任されている騎士団はそんだけ負担が大きい

まぁ〜・・全体的にハイデルベルクの騎士団は人手不足気味なんだってよ。

それは真面目な騎士団がいる街では志願者が多いんだけど不真面目なところは極端に志願者がおらず

バランスが取れていないというのがあるだらけているところはトコトンだしな・・。

まぁ戦争がなくて治安維持が専らなこのご時世、進んで危険な職に就く奴は早々いないもんなのかもしれないな




「ふぅ・・、疲れた・・」

「おつかれ、全く・・金ないから強盗ってのも極端なもんだぜ・・配給してやっているのによ」

今日も昼間っから強盗事件が起こり俺とタイムが現場に急行して処理してやった

余所から来た難民ではじめっからここで強盗行為をするつもりで来たらしい

テント郡でも住民簿を作り経歴を明らかにする事で

犯罪を未然に防ごうという試みをしていてもこうした突発的な事をする馬鹿には通じない

立て込もうとしていたのでタイムが陣頭指揮を執り俺が奇襲をかけてさっさと終わらせた

「やっぱり・・ローエンハイツ騎士団みたく街の出入り口に監視員を配備したほうがいいかしら?」

軽くぼやきながら団長専用の銀色に輝く板金鎧を脱ぐタイム、

中の黒いレオタード調戦闘服がしっとりと汗で濡れておりフェロモンをかもしだしている・・

これだけでご飯5杯はばっちこい!!

「いんや〜・・どうだろ?あそこは元々異能者集団なジャンヌ盗賊団の力あって成せるもんなんだぜ?

それに一日に行き交う人の量はすごいもんなんだし〜・・おおよそ効果があるとは思えないな」

「・・それもそうね・・。とにかく、少しは落ち着いてもらいたいものね」

「ははは・・そうだよなぁ・・。まぁそれでも深刻な事件が少ない分まだ良いほうなのかもな」

「ポジティブに考えたらそうね・・」

ため息一つ就いて汗を拭きながら手早くスーツに着替える

迅速な行動をするために戦闘服の上にスーツを羽織るんだ

だからかさ張らないように強度があって薄いレオタード調の特殊な戦闘服なんだけどな

現場出動の後ならば水を浴びて汗を落としたいところなんだが忙しいタイムはそれをやることも構わず

上がる時間まで仕事に追われているんだよ

まぁ・・フェロモン出てるから男性騎士とか悶えてるけど・・

「ネガティブなのはよくないさ、俺も手伝ってやるから・・がんばんな?」

「クロ・・うん♪」

ううん〜、女らしくなったもんだ



コンコン



ん・・?

”団長、戻られましたでしょうか?”

この声・・カチュアだ。

なんだ・・?まだ勤務中だろうに・・

「ああっ、入りたまえ」

瞬時にタイムという女性からルザリア騎士団長タイムへと変化する

いつもながらに名人芸

「失礼しま〜す」

入ってきたのはやっぱりカチュア、また髪型変えてボブカット調になっていら・・。

スラッとした雰囲気を出しているが中身は・・ね・・。

まぁ紺色の騎士制服をこうした場ではキチっと着ることになったのは成長した証拠なんでしょうなぁ・・

「それで、何用かな?君がここに来るのは珍しい事だ」

「ははは〜・・いや、団長じゃなくて・・実はお兄さんに用事があったの・・」

「俺に・・?」

「だって、お兄さんいつもここにいるからさ〜。団長室って入りがたいんだからね」

・・そんなこと俺が知るかよ・・

「・・勤務中に私用とは感心しないな・・」

「あ・・団長、今休憩中なんで・・勘弁してください」

片目を瞑り平謝り、ここまで砕けた騎士なんてそうはいない・・。

「む・・それならば何とも言えないな」

「ありがとうございます!」

「・・そんで、俺に何の用なんだよ?金ならねぇぞ?キース用のプロテインは自分の金で買え」

っと言っても、あいつはああいう物は好かないらしいんだけどな

「違うわよ!これ読んで!」

ポケットから封筒を取り出した・・、なんだ・・?

あ、これ・・

「ベイトからの手紙かぁ・・、そういや文通していたんだっけな?」


「ベイト・・?」


キランとタイムの目が輝く、浮気かと思ったんだろう・・

「実家のメイドさんさ。

どれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ふぅん・・」

ざっと目を通したが・・なるほどね

「・・何が書いてあるんだ?」

「実家であるヴァーゲンシュタイン家が没落して屋敷が取り壊されることになったんだって」

「・・大変なことじゃないか」

「まぁ、俺にとっちゃヴァーゲンシュタイン家がどうなろうと知ったこっちゃねぇな

そんで・・あのクソ女が財産を賭け事に使っていたってか・・」

「ええっ、お母様も私がいなくなってからあの腐った性格に磨きがかかったみたい。

お父様と一緒に行方不明、返せない負債は屋敷の売買と全てを支払って帳消し・・まぁそれはそれでいいんだけど・・

ベイト達の仕事がなくなって困っているの」

「無能な奴に仕えていたら災難だな、ベイトも・・。

でも・・あの4人以外はもう再就職が決まったって書いているぜ?」

「他のメイドは皆若いから・・、ベイト達みたいな万能なのよりも見た目が良い娘メイドのほうが受けが良いんだって」

・・世も末だ・・

「ふぅん・・とりあえずルザリアに来るってことだけど・・何か話したのか?」

「返事は出したけど・・再就職先探すのもね・・」

「ヴァーゲンシュタイン家のメイド・・か。貴族地区ならメイド募集もあるかもしれんが・・」

「いんや、タイム。あんな腐ったところに再就職させるわけにはいかないよ。

ある意味俺達の育ての親でもあるんだからなぁ・・」

「育ての・・親・・?」

「お兄さんのお母様はうちのお母様のイジメで体を壊したし私の方も・・教育できるほど立派な女でもなかったから・・

ベイト達にいつもお世話になってました」

・・そうだよなぁ・・思えば、仕える家の子に平気で殴っていたあたり・・本当の母親代わりにもなってくれたんだ

「・・そうだ、タイム。この屋敷の専属メイドさんとして雇ってくれないか?」

「こ・・この屋敷の・・か?」

「ああっ、これだけの規模なんだ。騎士寮の清掃や屋敷の掃除などをお願いするのもいいんじゃないか?
 
屋敷なんて総務以外は出払っている事が多いんだ。整理整頓は必要だし」

「・・ううむ・・、悪くはない提案だが・・騎士団屋敷はそれだけ機密情報の塊のようなところだ。

よほど信頼がおける人物でないと承諾されないぞ?」

「それもそうだよな・・、じゃあ、ルザリア来てから会ってみるか?

実際あの人達がどういう人なのかわかればお前の承認は下りるだろう?」

「・・わかった。確かに各部署の散らかり様は民には見せられない部分があるのだからな」

ははは・・・確かにな、商業地区とか工業地区はすごいし・・

「ありがとうございます!じゃあ早速そのように手紙で知らせますね!」

満面の笑みを浮かべたまま退室するカチュア、流石にあいつにとっても重大な問題らしい


「・・それで、メイドさんってどんな人達なの?」


「んっ?どれも長年貴族に仕えるだけあって仕事は一流さ。何でもこなすしプロだから完璧にしてくれる

もちろん、雇い主には忠誠を誓うから機密事項をもらすことはない」

「・・ふぅん・・、確かに、一流のメイドさんは万能だものね」

「それが四人だ。そうはいないぜぇ?お買い得だな♪」

「お買い得って・・もう、簡単な話じゃないのよ?」

「はははは・・、まぁ雇って損は絶対ないよ

そんじゃその件はまた連絡入れる。

俺がいなくてもカチュアの奴が報告するかもしれないけどな」

・・なんだかんだ言って、俺もカチュアも世話になったからな

ここらで恩返しが必要か



・・・・・・・・



そしていつもながら忙しく時は流れて・・

ついにベイト達がルザリアに到着した



「坊ちゃん!!」



「ぐえっ!?ベ・・ベイト!ギブ・・ギブ!!」



カチュアに連れられて団長室に入るや否や俺に抱きつく褐色肌のどっしりおばさんメイドのベイト・・

ほ・・骨がきしむ!

「あ・・ああ!すみません!坊ちゃんの顔を見たら嬉しくて・・」

「ははは・・俺も嬉しいぜ、でも大変だっただろ?」

「ええっ、そうですね・・。旦那様の行いには常日頃から言い申していたのですが・・」

「まっ、無能な親だから・・自業自得。ベイト達に非はないさ。

・・そんじゃ自己紹介かな

彼女がルザリア騎士団団長にしてこの屋敷の主であるタイム=ザン=ピョートルだ」

「タイムです。どうぞよろしく・・」

「この度は真にありがとうございます、私は元ヴァーゲンシュタイン家メイド長のベイト=ブッシュです」

礼儀正しく一礼するベイト、ここらが気の良いおばちゃんじゃなくてメイドである事を感じさせる一瞬だ

「同じくメイド長のアイヴォリーです。カチュアがいつもお世話になっております」

金髪巻き毛の美塾女メイドのアイヴォリーさん、カチュアの師匠でよく面倒を見ていたもんだ

「同じくメイド長のジョアンナです、このような機会を頂き嬉しく思います」

アイヴォリーとは対照的に軽く肩幅で切りそろえた黒髪が特徴のジョアンナ

パッと見スレンダーな奥さんに見えるが結構な歳だったよな

「同じく〜、ミーシャです。ありがとうございます〜」

間が抜けた声が特徴で一番若い蒼流し髪が綺麗なミーシャ、ああ見えて色々すごい

「・・さて、まぁ見た目でわかると思うが4人ともしっかりしている。一般的な仕事は全員プロだ・・

まぁ良い人材の上に良い雇い主がいるとは限らないってことだな」

「また坊ちゃんはお父様の悪口を言って・・」

「まぁまぁ、ジョアンナ・・今更だろう?それに家を潰した野郎だ、文句言われても仕方ない立場さ」

「・・クロムウェルの事情は置いておこう、貴方達が非常に優秀なメイドだと言う事は彼から聞いている

今見た限り信用もできようが・・ここは騎士団だ。有事の際には襲撃に会うこともある・・

そこらは・・」

「大丈夫ですよ、団長」

ニヤリと笑うカチュア、全くその通りだ

「・・カチュア君、それはどういうことかな?」

「ベイトをはじめとして皆は武芸の達人です、私の体術もアイヴォリー直伝なんですよ」

・・直伝ってわりにはまだまだ足元にも及んでいないんだがな

「・・そうなのか・・?クロムウェル」

「ああっ、ベイト達一人一人武芸の達人だ。彼女達の得意分野だと俺でも勝てないよ」

「クロムウェルが・・か?」

驚いている驚いている♪

「なんなら騎士団連中と組み手すればいい、顔合わせついでにな。ベイト達はそれでいいか?」

「雇ってもらう以上文句は言えませんが・・よろしいのですか?」

「う・・む、わかった。今いる面々で貴方達の実力を見せてもらおうか」

そうこなくっちゃ、これでベイト達の実力アピールにもなるってなもんだ


・・・・・・・・


とりあえず場所を移動して訓練場に到着

休憩中や事務をしていた騎士数名呼び出され何をするかと首をかしげている

お・・キースもいら・・

「急に呼び出してすまない。

今回屋敷と寮周辺の世話をするメイドを雇う事になった。

だが我らの職務からして彼女らにも身の危険はある・・

そこで彼女達の力量を知るために諸君らで彼女達4人の相手をしてほしいのだ」

タイムのその言葉に騎士達は呆然としている

まぁ・・おばちゃんの相手をしろってことだもんな・・

「まぁ普通ならばただの虐待だがここにいる四人は武芸の達人だ。

本気で取り掛からないと痛い目見るぜ?」

「クロムウェルさん・・本当ですか?」

「そうよ、キース♪私の師匠もいるんだから♪」

「カチュア・・そ・・そうか・・」

顔色が変わるキース、まぁそれでなくてもベイト達の力量はある程度伝わっているだろうがな

「そんじゃ、皆忙しいだろうしさっさとやろうぜ。まずはベイトからかな?

相手は〜・・・、工業地区担当のグルゴアさん。頼んます」

工業地区の切り込みおっさんグルゴアさん、威厳漂う燻銀顔にマッチョな体がセクスィーな独身貴族

「おう・・俺か・・。ご婦人、得物は・・?」

「私は素手さ、あんたは別に合わせなくてもいいよ。」

どっしりした体をほぐしながらニヤリと笑うベイト、何気に燃えているなぁ・・

「む・・いいだろう、では全力でいく!」

グルゴアさんの得物は訓練用斧槍(ハルバート)、スクイードが持っているのよりも

一回りもでかく刃を潰しているとはいえまともに当たったらただではすまない

因みに審判はタイムさんです


「では・・はじめ!」


高らかな声とともにグルゴアさんが飛びかかる!

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

本気で攻撃する気だ、女だろうと容赦しないその素敵さに敬礼もんだぜ

まぁ・・間違っていないんだがな

「熱いのは嫌いじゃないが気迫だけが先走っているよ?」

仁王立ちのベイト、襲い掛かるグルゴアさんの右腕を瞬時に掴んだかと思うと


「何!?ぐあ・・!」


次の瞬間にはグルゴアさんを蹴りながら押し倒して三角絞め、正に一瞬の神技だ・・

「仕事中だろ?折りはしないさ」

「ぐぅぅ・・・む・・無念!」

軽く締め上げて腕を解放させるベイト、まるで家事でもしているかのような涼しい顔をしている

「そ・・それまで・・!」

・・審判のタイムも呆然としている、まぁどこをどうやって決めたかはわからんだろう

『触れらば折られん』と称された腕前は未だ錆びちゃいねぇ・・

「はい、ご苦労さん。意外に丈夫な関節しているから少し強く絞めちゃったかね?」

「痛ぅ・・、い・・いや、これも俺の不覚だ。クロムウェルが言うだけある・・お見事・・」

潔く負けを認め握手するグルゴアさん、その実直な態度が未婚の30代を夢中にさせているとか・・


「それでは、次は私ですね・・カチュア、前に出なさい」


ゆっくりと前に出るはアイヴォリー・・、

以前までは『お嬢様』だったが弟子入りしてからは『カチュア』と普通に呼び捨てになっている

主従関係よりも師弟関係のほうが重要・・らしい

「え・・ええ!?私!?」

「当然です、久々に貴方の上達を確認しましょう」

「・・は〜い・・」

イヤイヤ前に出るカチュア、対しアイヴォリーは黒いロングスカートに白エプロンなメイド服のまま軽快にステップを踏み出す

確か・・マーシャルアーツだったかな?

それを取り入れた総合的な足技がアイヴォリーの武器になっている


「では・・はじめ!」


タイムの掛け声とともに先ずはカチュアが突っ込む!

アイヴォリーが準備が完全に整ったら懐に飛び込むのは至難の業だからな、開始と同時に仕掛けるのは間違っていない

「てやぁぁぁぁぁ!!」

紺の騎士制服のまま鋭く足払い、体勢を極力低くするのがアイヴォリー流。

「甘い・・」

流石に師弟、足払いなど最初の動作で見切っており素早く飛びあがる

そのまま華麗に宙返りしながら踵落とし、低空で行うが遠心力が掛かる分威力は十分

まともに入ったら悶絶もんだ

「うひゃぁぁぁぁ!」

咄嗟に横に転がり何とかアイヴォリーの踵から逃れる、

すかさず起き上がるがそれを読んでアイヴォリーが追撃に回し蹴り

ドンピシャで起き上がるカチュアを捉えるが腕を十字にしたカチュアがそれを何とか受け止める

・・そのまま少し飛ばされたりしているところを見ると、衝撃がかなり伝わっているな

「あたたた・・、師匠、手加減がない〜!」

「当たり前でしょう。ですが・・確実に気絶させるつもりで放ったのですが見事回避しました。

それは評価できます」

「へっへ〜ん!私だって訓練しているんだから!」

「では・・本気を出しましょうか!」

「・・お・・お手柔らかに〜・・」

「行きますよ!」

問答無用に踏み込みド鋭い右ハイキック!何とか見切りカチュアが腕でガードする・・

でもアイヴォリーの蹴りを防具なしで2回も受けたんだ、尋常じゃない痺れが起こっているだろう

現にカチュアの顔が苦痛に歪んでいるし・・

だがこれで終わるアイヴォリーではなく当たった瞬間に足を引っ込みすかさず左ハイキック、

動作に無駄がないのは相変わらずだぜ

「ひぇぇぇ・・!!」

流石に何度も受けていられないカチュア、咄嗟にしゃがみ鋭い左ハイキックから逃れる!

「反射神経は格段に上がりましたね・・ですが・・!」

派手に空振りするアイヴォリーだがそれも手の内、勢いそのまま足が弧を描きカチュアの頭上でピタリと止まる・・

「うそ・・」

コツン

踵落としではなくそのまま軽く足で小突く・・

「これまで・・でっ、いいでしょうか?タイム団長?」

「・・ああ、ここまでだ」

「ふぅ、成長しましたね、カチュア」

「師匠・・手加減しない〜!」

「それは貴方のためになりませんからね。

ともあれ、ここで採用が決まったならばもう少し相手もできるでしょう」

「は〜い・・もう、恥かいちゃった・・」

恥ずかしそうに起き上がり土を払う、どちらかというと照れくさいんだろうな

「ほらほら、制服が汚れていますよ?」

「し・・師匠!いいってば!」

・・この二人も複雑な関係なもんだ・・


「それでは・・次はジョアンナさんですね・・お願いします」


「はいよ、そんじゃ・・久々に動きましょうか」

軽快なステップを踏むジョアンナさん、アイヴォリーが蹴りならジョアンナは殴り

拳のみで戦うボクシングのプロだ。因みにこの二人、ライバル同士で数々の名試合をやっている

「そんじゃ・・住宅地区担当のサイ君、ジョアンナの相手をよろしく〜」

何気に俺が指名役になっているが〜・・二人連続で負けて召集された騎士達の中では戦いたくない空気全開だし

まっ・・相手が悪いんだがな

「承知です、未熟者ですが・・よろしくお願いします」

合掌しながら一礼するサイ、若いが髪は坊主頭で清潔感漂う男だ

ルザリア騎士団内でもめずらしく拳のみで職務に就き修行僧(モンク)になるべくここで修行しているんだそうだ

モンクになるのはハイデルベルク騎士団から神殿騎士へと選ばれその中で聖職者になるべく進んで厳しい修行をこなした者だけがなれる

三神教を護る僧として戦闘退魔士みたいな事をするんだがそれになれる者は極わずか

ち〜と知り合いの神殿騎士であるレスティーナに聞いたんだがモンクの志願者は修行前から丸坊主にされるらしいんだとよ

修行好きなのはいいし戦闘能力高そうだが・・つるっぱげって・・ねぇ・・

「いいよっ、貴方強そうだね・・。血が騒ぐわ!」

「お褒め頂ありがとうございます・・では・・」

拳を構えるサイ、それに合わせてジョアンナも構える・・。

サイは無造作に腕を前に出した構え・・対しジョアンナは一般的なファイティングポーズ

同じ拳を使う割には双方違うもんだ

「はじめ!」

タイムの勇ましい声とともは開始

だがサイはジッとステップを踏んでいるジョアンナを見つめている

「・・仕掛けてこないの?初手は肝要よ?」

「貴方がわざわざそうおっしゃる時点で初手を取ることは難しい、

それに・・うかつに飛び込めば忽ち打ち抜かれるでしょう」

「ちょっとはわかっているわね、でも・・守っているだけじゃ勝てないわよ?」

「勝に焦れば負が待つのみ、貴方様の実力をとくと拝見してから仕掛けます」

「・・上等!」

ニヤリと笑いながらステップイン、猛烈な踏み込みとともにワンツー!

正に一瞬で仕掛ける、これがボクシングテクニックの恐ろしさ

何てったってリーチが長くて懐に入り込ませないアイヴォリーと長年に渡って争っていたんだ

対しサイ君も負けておらず左を弾き右ストレートを咄嗟に飛びのく

瞬間ジョアンナはそのまま踏み込み左フック、サイは顔つきが変わりつつもそれを払いつつ突きで返す!

だがジョアンナはそれをすんなりと回避しつつさらにワンツー、ギリギリで回避しすぐさま反撃する技術に

サイは圧され、仕切りなおしに距離を開けようと飛びのく

「まだ射程内よ!」

さらに食らいつき尚も踏み込むジョアンナ、このしつこさに何度泣いたことか・・

足を使って攻撃しない分機動性を最大限活かすようにしているんだ、

リーチが短いんだがそれを補って余りある踏み込みをする・・

「ぬっ・・、でぇい!」

流石に懐に入られるのが嫌なのかサイがその場で足を踏ん張って渾身の力で拳を突き出す

正拳突きってやつだな、若いが中々鋭い一撃だ

だがジョアンナはそれを巧みに回避しながら尚も踏み込む・・あのウィーピングは伊達じゃない

「シッ!」

ドン!

ジョアンナが懐に入った瞬間、ほぼ零距離からのリバーブロー

まともに入れば加減していても骨は折れ、ゲロゲロしちゃうのは間違いなしだ

「・・な・・んて・・い・・りょ・・」

ジョアンナにもたれながらズルズル倒れるサイ君、吐いてないだけ見事だ

「そこまで・・」

タイムも騎士が連敗している様に唖然としているな・・

「う〜ん、一撃は中々いいよ、君?でも・・もう少し足を巧みに使うべきね」

悶えるサイ君に助言してやるが・・、聞こえてないと思うんだけど・・


「若者に手加減がないとは相変わらず乱暴ですね」


「ちょ・・ちょっと!アイヴォリー!貴方こそお嬢様を蹴り倒しているじゃないの!」


「私とカチュアは師弟関係、師匠が弟子を鍛えるのは当然じゃなくって?」


「貴方はやりすぎなのよ!遠慮なく蹴りまくっているからお嬢様の性格が歪んでしまったのよ!?」


・・あ〜・・はじまった

プライベートだと馬が合わないんだよなぁ・・ジョアンナとアイヴォリー

「ほらほら、まだ仕事中だよ!まったく・・いつまで経っても変わらないんだから」

ベイトも呆れ顔だぜ・・

この二人の争いだけは俺も加わらない、っていうか聞いてくれないから・・

「そんじゃ最後はミーシャさんだな、相手は・・キース、がんばれ♪」

「は〜い♪」「わかりました」

相対的な二人だなぁ・・、ほんと・・

「それでは、これで最後だな・・。

キース君、いくら特殊な経歴の人達とはいえ全敗となれば我らの立場もない

是非ともがんばってくれ」

「ははは・・タイム、キースにプレッシャー与えるなって・・」

「いえ・・ですが我らも日々訓練を行っている身、このまま負けるわけにもいきません」

おおっ、キースがマジだ・・

「あのぉ・・じゃあ、加減しましょうかぁ?」

ミーシャさん・・、それは相手のプライドを傷つけますぜ・・

「・・いやっ、それは結構。訓練にはなりません」

「そんじゃ、ミーシャのスタイルだけでも教えておこうか。それならフェアだ」

「・・む・・、わかりました・・」

しぶしぶですな、まぁこいつの性格からして真っ向勝負しか受け付けないんだろうけど・・

「私は〜・・連撃が得意なんですぅ。見た目よりかは素早いらしいので、気をつけてください〜」

「・・承知です」

「・・気をつけろ、キース。ああ見えて一撃の速さは4人で一番だ」

一撃は軽いが連続して叩き込まれると結構効く・・

「それでは最終戦・・はじめ!」

「はぁぁぁ!」

開始とともに全力で踏み込むキース、間髪入れずに仕掛ける・・か

相手の性質をある程度わかっている分妥当なところだ。

だが得物の訓練用ブレードが少々でかいゆえに一振りの威力は抜群だが出が少し遅いな


轟!


凄まじい横薙ぎの一撃、さらに鋭くなったがミーシャは刃が体に当たる刹那に姿を消す

「な・・に!?」

驚くキース、他の面々も同様だ

何故ならミーシャが一瞬で回避した上にキースのブレードの刃の上に立っているから・・

「すごいですねぇ・・。良い一撃ですぅ」

二コリと笑うミーシャだがこの状況だと逆に怖いよ・・

「くっ・・、はぁ!」

怯まずブレードを振り上げミーシャを吹き飛ばすキース、ここまで身のこなしが軽い奴と戦うのは初めてみたいだな

対しミーシャはひらりと体を捻って着地したかと思うとその瞬間爆発的な加速でキースに肉薄する!

「いきますよぉ〜!」

「やらせはしない!」

仕掛けるミーシャに牽制を行うキースだが、完全に彼女を捉えていない

ミーシャの綺麗な蒼髪を数本切り払ったのみだ

「危ないですぅ〜!」

間髪いれずミーシャの細く鋭い突きがキースの胸に当たる、

ダミーアーマーとは言え金属鎧を纏っているキースには衝撃ぐらいしか伝わらないだろう

が・・

次の瞬間には全く同じポイントに突きが入る!

「くっ!」

初撃よりも強めに入る突きにキースがよろめく、連続して全く同じ箇所に打ち込む・・超高度な技術で初めてできる技だ

ジョアンナのような腕力がないミーシャは速攻をかけることでその弱点を補う

その技術の高さで例え金属を纏った鎧でも全く同じポイントを叩くことで破壊してしまうほどだ

確か・・連続して同じ衝撃は与えると物質ってのは脆くなるんだって

「まだまだぁ〜!」

咄嗟に下がるキースに追い討ちをかけるミーシャ、彼女は手も使うし足も使う

何でもミーシャは東国の出身で『戦舞』という独特な拳法なんだそうだ

確かに、相手の動きを見切りつつ瞬速の連撃を放つ姿は舞にも見えるな

「そう当たってはやれない!」

だが、流石にキースもそのままなし崩しにやられるわけにも行かず魔法陣を展開しながらバックジャンプ!

特攻に使う身体強化法を離脱に使う、中々やりおるわ・・

これには流石のミーシャの蹴りも届かない

「はれ・・?すごいですぅ」

空振りした事に驚くミーシャ、・・・確実に捉えていたからな

「・・おっとりしていて・・油断できない相手だ」

冷や汗を一つ流し構えなおす・・、ダミーアーマーの胸部はほっそりした女性の拳2撃でそこだけ凹んでいる

これが東国の怖さだよな〜・・独特いうかバケモノじみた技術がたくさんあるんだから・・

「私の攻撃が外れたのは久々ですね〜・・ううん、歳ですかねぇ・・」

・・4人の中で一番若いくせに・・

「素手相手にこれほどまでの緊張感があるのはクロムウェルさん以来ですね・・」

「坊ちゃんは坊ちゃんで危ないですからねぇ・・」

「うるせー、奇天烈メイドに言われたくねぇ」

「・・ふん、こうなったら・・」

呼吸を整え目を閉じるキース、それとともに再び足場に魔法陣を展開したかと思うと体を周回する鏡のような物体を創り出した

「あれれ〜・・珍しい術ですねぇ・・」

「小型の防御壁『領域』です・・、いざ・・」

「ふふふ・・なるほどぉ・・鏡さんで私の一撃を防ごうというのですねぇ・・」

二コリと笑いながらゆっくりと構える、緩やかに腕を動かすその様はさながら舞を踊るようだ

「突撃するしか能がありませんので・・では・・参ります!」

身体強化&『領域』展開するキース・・、だがこれでも分が悪いな・・

対しミーシャは真っ向から迎撃するつもりでその場で構えている

「『領域』・・前面に集中!はぁぁぁぁぁ!!」

む・・

突撃しながら周回している鏡が前方に集まっている・・

一点集中して強固な障壁としようってか、不器用ながら機転が効くなぁ

「・・ふふっ、楽しめそうですぅ」

ミーシャの顔つきが変わった、本気だな・・



「はぁぁぁぁ!!」
「えぇ〜い!」



放つキースに迎え撃つミーシャ!

キィン!

次の瞬間、キースが持っていた訓練用ブレードは二つに割れて刃が宙を舞う

それでも折れた剣でミーシャの首寸前で止めていた、だが、ミーシャも負けていない

額スレスレで突きが止まっている、そのまま脳を破壊できるタイミングだ

「お見事ですぅ、いやぁ・・相打ちまでもってこられましたかぁ・・」

「一体・・何が・・?」

感心するミーシャに何が起こったか理解できないキース、まぁ・・周りはほとんどそうだろう

俺でもかすかにわかったほどなんだし

「説明してやろう、キースの一撃を放つその刹那にミーシャは『領域』を打ち破りつつブレードの刃を叩き折って額を貫こうとしたんだ」

「えへへ〜・・坊ちゃんにはわかりましたかぁ」

「そ・・そんな神業が・・」

「確か、東国に伝わる突きや足の速さを極限にまであげる『韋駄天法』って術のせいだよ。

まぁポイント絞りこんで威力を高めるのはミーシャの実力なんだがな」

「俺の知らない術の加護によるものか・・」

「まいな〜な術ですからねぇ・・。得るために失った物も多いですしぃ」

ああっ、確か・・習得のために筋肉のほとんど削がれたもんだからなぁ・・

おかげでミーシャは力仕事はできないんだよ


「・・ではっ、引き分けということでいいかな?」


「あっ、タイム団長〜、はい〜、残念ですが勝ちでもないですしねぇ」

「・・俺の方も異論はありません。良い勉強になりました、ミーシャさん」

「えへへ〜、褒めないでくださいよ〜・・照れちゃいますぅ」

・・おっ、隅で静かにカチュアが殺気立ってら

「皆ご苦労でした。確かに達人というだけあって一人一人素晴らしい腕前です。

これならば大丈夫でしょう・・

総団長に向けて連絡を取りますので数日、お待ちください」

「どうも、ありがとうございます・・。ではっ、それまで宿に滞在させていただきますので」

にこやかなベイト達・・まぁつかの間の滞在で休日を楽しんでくれたらいいや

結局、ここにいる全員もベイト達の雇用については反対できないだろうしな

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

数日後、ハイデルベルク総団長であるハゲハーゲ=ハゲリバンによる許可が下りて

ベイト達は晴れてルザリア騎士団専属メイドとして屋敷や寮で働くことになった

・・名前が違う?気にすんな、体は名を現す・・だ

住み込みということなので3階の倉庫部分を改築して4人の部屋を作ってやり多方面で活躍している

挙句食堂で料理まで作っており評判は非常にいい

うんうん、俺とカチュアの提案のおかげで騎士団屋敷も爽やかな空気が流れるようになったもんだぜ

「ベイト達が来てからはいつも屋敷が綺麗ね・・」

「ははは、お前の予想以上の仕事っぷりだろう?」

いつもの如くの団長室・・まっ、ここは普段からタイムが丁寧に扱っているからベイト達が掃除しようと変わらない

「ええっ、食堂の雇用シェフも助かっているって言っていたわ」

「ああっ、調理時間の短縮にレパートリーが増えたんだろう?

メニューも増えて食堂で飯を食う奴が増えたんだっけ」

「実際頂いたけど・・美味しかったわ。流石ね」

「ははは、まぁ一流なわけだからな。あんな働き者を捨てるなんてほんとバカだぜ・・」

まっ、まともな神経しているとは思えないけどな・・あのクソ女も親父も

「クロ・・」

「・・悪い。それで・・ベイト達に体術訓練に協力してもらう話が出ているそうだけど・・」

何でも、訓練している騎士達に色々アドバイスしているらしい

・・それは・・俺の仕事なんだけどな・・一応・・

「表立って承認できないわよ、戦闘能力が高いとは言え彼女達はメイドなんだから・・

騎士が世話になるなんて恥としか思われないわ」

「そりゃな・・まぁ何でも屋に負けている時点で恥かもしれないが・・」

「クロも特別よ、まぁ個人的にプライベートで訓練するなら構わないことにしたわ」

へへっ、禁止するだけじゃないところがタイムの仕事だ


コンコン


「どうぞ・・開いている」

いつもながらの『瞬間団長チェンジ』・・役者だね

「失礼します・・あぁ、坊ちゃん!ソファは寝転がる物じゃありませんよ!」

っと、噂をすればベイトだ・・

「あはは・・この姿勢、楽なんだけどなぁ・・」

「何を言っているのです、団長の前なんですよ?」

「へいへい、じゃあ行儀良くします〜」

ベイトには敵わないからなぁ・・

「よろしい、恋仲とは言えども礼儀は必要ですよ?」


「「なっ!」」


・・何故ベイトが俺達の事を知っている!?

「ベイト!どこからそれを聞いた!?」

「え・・ああっ、魔導教官のアンジェリカさんから大事な事があるって言われまして・・・公認ではないのですか?」

「あ・・いや・・まぁ・・あまり大げさに広まるのも嫌だから・・さ」

「坊ちゃんは普段はいい加減なのにそういうところは気になさいますからねぇ・・」

苦笑いしながら言うな!・・くそっ、アンジェリカめ・・

このままだと何かほかによからぬことを言われている可能性もあるな

この歳でベイトに関節ひんまげられるのも情けないから遠慮したいし・・

「そ・・それよりも、何の用事なのかな・・ベイトさん・・」

「ああっ、団長。ベットメイキングが終わったので報告にと思いまして・・それで、坊ちゃん!これ!」

懐から取り出す物・・・

ん・・げっ、これって・・避妊用具でお馴染みの・・ゴムさん?

「団長の寝室にはありませんでしたよ?ちゃんと避妊はしているんでしょうね!?

出来ちゃった婚だなんてベイトは許しませんよ!?」

「ま・・待てベイト!そんなことにまで気を回すな!」

「そんなこととはなんですか、大体、男と女が寝床を共にするのに枕が一つだけなのもいけません。

ちゃんと用意しておきましたので!」

・・・おいおいおい・・

「っというか、屋敷で交わらないんだからそんなことまで気にしなくていいって・・」

「え・・そうなのですか?」

「当たり前だろ!3階は倉庫や私室だけとはいえ騎士団屋敷なんだぞ!?」

まったく、まさかベイトに性の事で注意されるとはな・・

タイムなんて顔を真っ赤にしてどうしていいかわからん状態やし

「・・む・・そうですね、いくら坊ちゃんでも恋人の仕事場で求めはしないでしょうね」

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・時と場合によります・・

「そ・・それよりも、ベイトさん達は随分武芸に達者だが・・それもヴァーゲンシュタイン家に仕えるために身に着けた物なのかな?」

慌てて話題を変えるタイムさん、俺以上に恥ずかしいだろうな・・

「いいえっ、私達は元々ヴァーゲンシュタイン家には仕えていませんでしたから」

・・えっ、そうだったんだ・・

「てっきり・・おふくろみたいに代々仕えて来ている家系かと思ったぜ・・」

「坊ちゃんにも話していませんでしたね、そういえば・・」

「ああっ、余り疑問も持たなかったしな・・ベイト達の過去って・・」

まぁ進んであんなクソ家に仕えるメイドもそういないだろうからなぁ

「そうですねぇ・・・、少し、昔話になりますが・・よろしいでしょうか?」

「あ・・ああ、いいぜ。タイムもいいか?」

「時間に余裕はある・・かまわないさ」

タイムも興味津々だな・・それだけベイト達に思い入れがあるわけか

「では、お話しましょうか・・。昔、貴族や徳の高い家にはその資産を狙う盗賊というのがたくさんいました。

・・当時の世界は今のハイデルベルク騎士団みたく格街ごとに設置されているほどの状況ではありませんでしたから」

懐かしむように俺の前のソファに座り淡々と話すベイト・・

「当時は警備などに力を入れていましたが家の中まで警備員を入れることを貴族達は嫌いましてね

そこで家事を担当するメイドに武術を教えて警備もさせようという事が流行ったのです」

・・確かに、見た目がただのメイドならば盗賊どもも油断するだろうしな

「その動きは貴族社会に深く浸透していきました。

そんな中、港街ローエンハイツのヴェーゲンシュタイン公が主催して

一番強いメイドを決めようという『天下一メイド武道会』が行われました。

私達もその選抜に当たりましてローエンハイツの地で出会いました」

天下一のメイドを決める・・ねぇ・・。貴族道楽の極みだな・・

「その大会で私達は戦い、意気投合するうちに優勝者である坊ちゃんのお母様であるラムダの屋敷に仕えることになったんですよ」

・・えっ!?

「ベ・・ベイト!ちょっと待て!全盛期のベイト達が参加した武道会でお袋が優勝したのか!?」

そんなの全然知らねぇぞ!?

「ええっ、そうですよ。大会は私達5人勝ち残り激闘の末に見事決勝で私を破ったのがラムダなのです

・・それと、私は今でも全盛期ですよ?坊ちゃん」

「・・・あれだけの腕を持つ方々を打ち負かすとは・・お前の母親はすごい武芸者なのだな・・」

タイムも感心している・・が、俺が一番驚きだ

「いあ・・おぼろげながらしか記憶がないが・・気の弱そうな女だったけどなぁ・・」

「確かに、主催者である家に仕え、無理やり出さされたのかと皆思っていたのですがその強さは本物ですよ

・・最後は・・残念でしたが・・」

「ふぅん・・、でっ、お袋は何が得意だったんだよ?」

「気功術の達人でしてね。

ほんと・・坊ちゃんが気功を学ばれたと知った時は・・ラムダが導いてあげたのだと思ってしまったものです」

「・・お袋が・・な・・」

「まぁ、ラムダと違って坊ちゃんの気功術は無茶苦茶です。そんなことでは彼女を越えれませんよ?」

「・・お・・おい、お袋がどんな気功使いか知らないのに越えれるも越えれないもないだろう!」

「ご心配なく。その技を受けてきた私がいるのです。

これからはみっちりと坊ちゃんのトレーニングのお供をさせていただきますよ!」

・・・うそ〜ん・・

「・・ま・・まぁ、極端な気功は確かに問題だから・・時間があれば頼むよ」

「はい、おっと・・そろそろ総務室のお掃除の時間です。

お話が過ぎてしまいすみませんね・・ではっ、これで失礼します」

ニコリと笑うベイトだがどこか懐かしそうな表情だった
・・・・
「俺の知らない事を・・ベイトは色々知っているなぁ・・」

「ふふっ、そうね・・。私の知らないクロがいて・・少し驚いた」

羽ペンを置き俺の隣に座るタイム・・静かな微笑みがなんともいえない

「ははは、俺が一番驚いているよ・・」

「でも・・こんなのはいらないわ」

そう言うとテーブルに置かれたゴムさんを取り懐にしまっちゃった・・

「お・・おい・・、いいのか・・?」

「妊娠は困るけど・・クロを直で感じたいもの・・」

「それは、俺も同じさ・・」

そのまま静かに唇が重ねあう

ベイトの言うことは従うが〜・・これだけは譲れない・・かな


・・・、っうか団長室での交わりがしにくい環境になったな・・何か手を打っておくか・・



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