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「漢達の和解」


その日、ルザリアの街はとても静かだった
昼下がりの住宅地区はたまにシーツを洗う音やご婦人方の談笑が聞こえるものの
それ以外は大きなざわめきもなく、穏やかな風が窓から入ってきている
「・・すぅ・・すぅ・・・」
そんな中、余り綺麗とは言えない一室の床に座りこみベットにもたれるようにして眠っている女性が一人
陽紅の軍女神と大国の王直々の称号を持ちこの街の護りの要ともいえる人物、タイム
しかしそんな彼女でも非番となれば歳相応の乙女であり愛しい男、クロムウェルの元で眠りこけている
室内着に相応しく質素な白シャツに紺のロングスカートといった姿だが
シャツ越しに母性の象徴がくっきりと浮き出ており清楚な姿ながらにしても男性をそそる魅力は全開・・
いつものスーツ姿や鎧姿では目立たないがその大きさはかなりのもの
少し寝位置を変えただけでフルフルと揺れている

午前中に軽く部屋の掃除をして昼食を作ってあげた彼女だが食後に急に睡魔に襲われこうして眠りこけているのだ
本当ならば彼とあちこち周りたいのだが日頃ピリピリしながら激務に取り組んでいる彼女なだけに
クロムウェルと会った瞬間嬉しく心が舞い上がりつつも溜め込んでいたドッと疲れが出てしまうのだ
その事は彼も承知の上、
心地よさそうに昼寝をむさぼっているタイムの頭を軽く撫でながら自身もウトウトしていた
「ふぉあ・・・、今日は随分と深く寝入ったもんだな・・相当疲れているのか?」
普段は前髪で隠している顔を右半分に手を入れて頬に添えるクロムウェル
過去に負った傷跡はまだ残っておりそこだけが少し浮いている・・
かつてはその不名誉な傷を見せることを嫌い、前髪を下ろしていた彼女
しかしいつしかそんな弱い心も克服し今では行事などでは堂々と髪を上げるようになった
それならいつも態々右目を見えにくくしてまでも下ろさなくていいのだが
そこか女性、他人には気にしなくてもクロムウェルには少し恥ずかしいらしい
「・・すぅ・・ううん・・クロ・・」
「・・寝言、か。まぁ・・・そっとしておいてやるか」
この陽気ともあれば誰でも眠たくなるもの、
心地よい風がもっと入るように窓を全開にしておきながらクロムウェルはそこから見える
殺風景を町並みを覗きながら大きく伸びをした
そこに

バタン!!

勢い良く開かれる扉、そして私服ながらも武装している男達が突入してくる!
「変態!かく・・ンゴッ!!」
大声を出す侵入者にクロムウェルは正しく一瞬で距離を殺し男の口を押さえる
「・・(てめぇら!タイムが昼寝中だ!!騒いで起こすとぶち殺すぞ!!!)」
本気モードで威嚇するクロムウェル、その形相に侵入者達の戦意は一気に消え去ってしまう
「・・貴様・・」
「・・(疲れて寝ているんだ!起こすなっていってんだろうが!!)」
またギロリと睨んだ後にタイムの様子を見るクロムウェル
しかし大きな音が出たのにタイムは完全に眠っており可愛らしい寝息を立てていた
「・・(ふぅ・・おい、お前ら・・俺に用があるんだろ?)」
「・・(あ・・・ああ・・)」
「・・(公園で話を聞く・・ついて来い)」
そう言うと十数人いる侵入者達を睨みつけてゆっくりと外に出るクロムウェル
侵入者達もそれに従うしかなく部屋に鍵をかけるのを確認しつつ彼についていった

・・・・・・

「それで、何の用なんだよ?そもそもお前ら全員非番か?」
ルザリア騎士団屋敷前の緑地公園、その片隅の芝生に座り込みクロムウェルが言い放つ
「当たり前だ!本来ならば貴様を追放させたい騎士達は他に何人もいる!」
・・そう、彼の部屋に侵入したのは現役の騎士・・それもすぐそこにある屋敷に勤務している・・・
そんな彼らが結集してクロムウェルに奇襲をかけたのだ
「なら別に好きにしたらいいんだけどよ・・あいつは日頃の仕事で疲れているんだ
せめて昼寝ぐらいゆっくりさせてやれよ」
「馴れ馴れしいぞ!変態!我らのタイム団長をなんと心得る!」
「彼女♪」

怨!

クロムウェルのその言葉と同時にすでに婚期を逃しかけている中堅騎士達からは凄まじい負のオーラ放出・・
「何怒っているんだよ」
「当然だ!我らがタイム団長をたぶらかして!」
「落ち着け!ちょうどいい・・この際はっきり言っておく!」
「・・ぬっ?」
「俺とタイムは相思相愛だ!貴様らが幾らわめこうがこれは不変の事実!
よってお前らの行為に正当性はなく、ただゆっくりと休日を過ごしている
カップルの元に押し込んだおこがましい愚行と言える!!!」
「「「「「なんだと!!!」」」」
一同武器を手に取り憤怒、しかしクロムウェルは胡坐をかきながら地べたに座りニヤニヤ笑っている
「大体、恋人でもなければなんで俺の部屋で気持ちよさそうに寝ているんだよ」
「・・・うぬ・・」
「それは・・貴様が・・」
「大体、タイムも不器用だ。
仕事ならば徹頭徹尾やっているが屋敷内に自室があるならプライベートの一面も見せるだろうし
そうともなれば俺との関係なんぞいくら仕事馬鹿なお前達でもちっとはわかろうが」
「くっ・・・」
「我々は認めん!貴様のようなふしだらな男がタイム団長のような可憐で高嶺の華とカップルだなんて!」

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!」

「「「「「!!!」」」」」

素晴らしいまでのクロムウェルの咆哮、それに一同すくみ上がる
そして調子にのった彼は立ち上がり・・叫び始める
「ふしだらが高嶺の華と似合わない?
ならなぜクソ真面目で従順なお前らはタイムから『男』として見向きもしないんだ!」
「「「「・・・」」」」
「教えてやろうか?あいつには頼りになる異性が必要なんだ!
いくら有能な騎士団長とはいえタイムは女!
女性の社会進出が完璧と言えない騎士の世界じゃ風当たりも強い!
そこをサポートする存在こそが俺なんだ!
だいたいお前らは有名で優秀なタイムという存在を慕うがあまりにあいつに重圧しか与えていないんだよ!!!」
クロムウェルの演説にぐぅの根も出ない騎士達
「・・ふん、これでわかったかな?では俺達の邪魔をするのはやめてもらおう♪」
「く・・待て!ならばお前とタイム団長は本当に恋愛関係なのか!?」
「当たり前だ♪良い機会だ、なんならこの際質問に答えてあげてもいいぜぇ・・」
ニヤリと笑うクロムウェル
その言葉に騎士達はざわめいたがやがて意を決したように静まり
一人の若手騎士が挙手をする
「・・よし、お前だ。俺とタイムの間で何が聞きたい?」
「・・タ・・タイム団長の胸は・・柔らかいのでありますか?」

・・シーン・・

思わず男の本音な質問をした漢(かれ)、
同志達は獅子心中の蟲がいたと静かに殺気立っている
「ああっ、なんだ。そんなことか・・」
対しクロムウェルは意外にもあっけらかんとそう言ってみせる
「「「「「そんなことだと!!!!」」」」」
それに騎士一同驚愕・・よもや彼が応えるとは思っていなかったらしい
「ふふふ・・タイムの胸はなぁ・・・」
「「「「「・・(ゴクゥ)」」」」」
「ぽよんぽよんだ♪」
「「「「「ぽ・・ぽよんぽよんだと!!!!」」」」
その擬音な説明に騎士達は興奮のルツボ、鼻血さえ出ている者もいる
「・・まぁ、俺が今まで手にした感覚の中で一番柔らかかったかなぁ・・♪(モミモミ)」
あらぬ空間に手を蠢かすクロムウェル
普段、仮想相手を作り出しシュミレーションして体を動かす「シャドー」という訓練をしているだけに
彼女の胸の大きさを正確に思い浮かべているらしい。
「う・・羨ましい・・」
・・果たして、彼らの目には蠢く手からその大きさが理解できたのか・・
「因みにあいつのは結構大きい。スーツや鎧からじゃわからんだろうけどな・・
これでいいか、お前?」
「・・ありがとう・・クロムウェルさん・・」
挙手した騎士、その説明に至極満足したのか恍惚とした表情で納得のご様子
「・・・んなことよりも普通の質問をしろ、煩悩独身騎士ども」
「うるさい、・・・そもそもいつの間にお前と団長が接近したんだ!?」
今度は別の騎士が真面目な質問、流石に白昼堂々に濃い内容を言うわけにもいかない・・
「おっ、良い質問だな。
まぁあいつの態度が変化しだしたのは〜、
以前タイムがしくじって貴族に捕まった時だな。
あの時俺が突っ込んで救い出したからな〜」
かつての一件で不覚にも捕虜となったことのあるタイム
その事が彼女を落ち込ませ、引退しようかとまで追いやったのだ
そこを説得したのがクロムェル・・密室での出来事だけに誰も知ろうはずもない
「ちっ・・規律に従わずに美味しいところをもっていっただけではないか!」
「じゃあお前は命令違反してまで単身敵だらけな屋敷に潜りこんで、タイムを無事に救出できる自信があるのかよ?」
「そ・・それは・・」
「まぁそんなこと普通の騎士にはできない芸当だ。
決められた配置以外で待機しているだけで始末書を書かされる世界だ
おまけにそれによる訓告は不名誉だって学校で刻まれているみたいだしなぁ・・」
「・・む・・う・・」
「まぁそれはわかる。指令役がいなくれはできないとはいえ
一指乱れぬ連携で包囲する団体行動を実現しているお前らは俺が言うのもなんだけど立派だ
だが、それだけじゃ事が回らないのも事実だ」
「・・・・」
「だから俺のような人間が『影』となって動いているんだよ。
お前らだって自分の影として情報屋とか雇っているんだろう?」
「くっ・・それは・・」
全員沈黙、ある程度地位があるならば個人専用の情報屋を雇うことなど暗黙の了解なのだ
「まぁあの事件で俺が役得とは言えども事実は事実。
大体仲良くなるきっかけにはなっただけでタイムの中では俺が気になっていた・・らしいからな」
勝ち誇った笑みを浮かべるクロムウェルに煩悩騎士達押し黙るしかなく・・
「これで俺とタイムの事はわかっただろう?
少なくともお前らが主張するように無理やり手篭めしたわけでもないしタイムはそれで満足している
あの寝顔が何よりの証拠だ」
「・・わかった。貴様とタイム団長の仲は認めよう・・不本意だがな」
「よろしい♪」
「だが、貴様はきちんと責任を取るのか?」
「・・ああっ?」
「だから!タイム団長にもしもの事があったら貴様はきちんと責任を取るのかと聞いている!」
もしもの事→タイム妊娠
具体的な事など口が裂けても言えない純情な騎士さん達である・・
「もちろん、この命に賭けても俺はタイムを幸せにしてみせる。
・・だが、孕む心配はないだろうなぁ」
「何故断言できる?まさか・・貴様、実は・・」
「漢に対して不名誉な事を言おうとするんじゃねぇ!
俺の愚息は連射可能なクレイモアさ♪
タイムもこれに至極満足しているよん♪」

轟!

それとともに一気に騎士達は獲物をクロムウェルに向けて投げつける
剣や槍の雨が一瞬でできたのだがクロムウェルは焦りもせずにヒラリヒラリとそれを回避・・・
「キレるぐらいなら聞くなや・・」
「うるさい!下品な奴め!」
心のアイドルが穢されている表現は彼らを狂気に駆り立てている
まぁそれ以上に嫉妬な炎が瞳を染めきっているのだが・・
「まぁ落ち着け。タイムにはやることがあるからな・・女としての幸せを掴むのはそれからってことだ」
「・・?」
「この街を住みよい場所にすることさ。
俺やお前達、それに何よりもタイムの活躍でハイデルベルク内の貿易都市じゃ
今や1,2を争うほどの治安の良さを維持している。
・・・しかし、貿易都市ならではの犯罪発生率の高さと難民問題などは解決されていない。
のうのうと好き勝手やっている貴族やらも何しでかすかわからんからな」
ルザリアの現状はここにいる全員がよく知っている。それだけに一概に
『ルザリアは治安に優れた安全な街だ!』とも言えないのだ
「タイムなら誰もが安全といえる街を造り上げるのも可能だろう。
だからこそ俺はこうして協力しているんだ
まぁ、それが終わったらどっぷり交わって子供を2人ほど・・」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!

「冗談だ。心の底から殺気をだすな」
「・・ふん、しかし・・タイム団長は何故にそこまでルザリアにこだわるのだろう・・」
「うむ・・ブレイブハーツにも加われるほどの実力をお持ちなのに・・」
「なんだよ、お前らそんなことも知らないのか?」
「変態・・貴様知っているのか?」
自分達も知らない事をクロムウェルはまたしてもあっけらかんと言い放つ
「もちろん、むしろ・・お前らそんなことも知らないのかよぉ・・」
「うるさい!どういう理由なんだ!?」
「・・あれだよ」
首をクイっと動かし公園内のとある場所を示す
公園の片隅、綺麗な円形の花壇に美しい天使の姿を刻んだ像が置かれている
周りの景色と比べたら少し場違いな感も漂っており騎士達も目を丸くしている
「・・いつも気にはなっていたのだが・・ただの公園のオブジェではないのか?」
「まっ、そう見えるわな。実は・・あれは墓らしい」
「・・・」
「タイムの後輩でな、貿易都市として発展する以前のルザリア出身だったそうだ。
その子はこの街の発展を夢見ながら騎士としての生活を送っていた」
「・・それで、団長の後輩が何故・・」
「とある一件で殉職した、明るい子でタイムも良く可愛がっていてな。
だからこそその意志を継いでここを生活の場として選んだってわけだ」
「・・そんなことが・・」
「お前ら知らないだろうが、あの花壇や像の手入れ・・タイムがやっているんだぜ?」
「なっ・・そんな事を・・」
「まぁ恥ずかしがってそんなこと言わないだろうけどな。たまに早朝に手入れをしているんだよ
だからあのことは放っておけ。
急にお前らが手を加えたら眠っている子も迷惑だろう」
「む・・わ・・わかった・・・」
自分達よりもタイムに関して詳しいクロムウェルにぐうの音もでない騎士達
腹立たしいが彼がタイムの騎士であることはまぎれもない事実と信じざるをえないかと思いはじめる
「ふむ、他に質問はないようだな・・
そんじゃあ俺は帰るぜ〜、
俺だってこんな心地良い日は昼寝したいし、タイムのぽよんぽよんな胸に甘えたいからなぁ♪
ぽよんぽよんな♪」

プチ・・

彼らの中で何かが切れ、かつての相打ち覚悟な魂の炎、再燃・・
しかし

”誰の胸がぽよんぽよんだって・・?”

「誰ってそりゃもちろんタイ・・お・・わ・・(ガタガタブルブル)」
上機嫌で応えるが途中でそれは止まり戦慄が走る。
何時の間にかそこにいたタイムさん。街娘な格好には不釣合いにレイピアをすでに抜刀している
「・・・・タイ・・?」
目つきからして相当なお怒りの様子・・、それにはクロムウェルのみならず騎士達も慌てふためいている
「・・なんでもないデス、タイムさん・・」
「何でもないことないだろう?
非番で疲労を癒している団員を呼びつけて何を演説していたのか・・じっくり聞かせてもらおう」
「ち・・違う!こいつらが勝手に俺の部屋に突入していきたんだ!」
「ほぅ・・・そうなのか?」
「「「「「「「いいえ、変態に呼び出されました」」」」」」」」
「貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「嘘もほどほどにしろ・・さぁこい・・」
首元にレイピアの刃を突き立たれた状態で屋敷内に連行されるクロムウェル

「貴様ら!覚えて置けよぉぉぉぉぉ!!!」

最後に彼はそう叫び屋敷の中に入っていった
・・それより数日、彼はこの街のクライブ診療所に厄介になったらしい・・


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