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クリスマス記念  「ナイトメアクリスマス」


「もうすぐ聖夜祭ですね♪」
町外れの教会、その隣に建てられた館の談話室・・。
最近いつもニコニコしているキルケが明るくそう言う
「ああっ、そういやそうだな。寒くなったと思ったらそんな時期か・・」
応えるのはキルケの前で新聞を読んでいるクラークだ
「聖夜・・祭?何なのですか?それは?」
椅子に正座してお茶をすするクローディアが訪ねる・・
「ああっ、クローディアは東国以外の風習は旅していたからわからないか。
聖夜祭ってのはここいらで信仰している神さんが誕生したとされた日に行う祭りなんだ・・。っといっても教会で聖歌を歌ったりするだけなんだがな」
「でも子供にはサンタさんがくるじゃないですか?」
「サタン・・?悪魔か何かですか?」
「サタンじゃなくて、サンタですよ。赤と白の衣装を着たおおひげの
おじいさんがプレゼントを配りにくるんです♪」
目を輝かせながら嬉しそうに話すキルケ・・、この手の話が
好きそうだ。
「ふむっ、ダンケルクにも聖夜祭があったな・・。サンタの存在まであるとは・・、随分広範囲に普及したもんだ」
窓側で静かに珈琲を飲んでいたロカルノが会話に加わる
「へぇ、私のとこにもあったな〜。サンタさんに色々お願いしたっけ?
でもサンタなんていなかったのよね〜」
ロカルノの隣で髪をいじっているセシルが笑いながら言う
「お前がサンタにお願い・・・?毒薬かナイフか・・、何頼んでいたんだよ?」
「しっつれいね!!私は妹が欲しいってお願いしたの・・、でも翌日になると知らない女の子が気を失って倒れていただけだったわ・・」
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
「・・・どしたの?」
「いやっ、なんでもない・・。だがキルケ、ここにも教会があるんだ。聖夜祭で聖歌でも歌うのか?」
「いっ、いえ・・、私・・、歌うのが苦手なので・・。だから聞くのが好きなんです♪
クラークさんも一緒に聞きましょうよ♪」
「そうだな、ちょうど聖夜祭の日には仕事も入ってないし・・」
愛する女性のお誘いだ。例え興味がなくても「NO」と言えないのが
かなしいサガ・・
「・・ところがその日、聖夜祭にちなんだ依頼がきているんだ」
懐からメモを取り出すロカルノ
「聖夜祭にちなんだ〜?何?歌えっての?」
「まっ、似たようなもんだ。とりあえず説明するぞ?」
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
「・・・つまり、サンタの衣装をして町の子供にプレゼントを配れ・・っと」
「そんなとこだ。どうやら最近の子供はサンタの存在を信じていないからな・・、大方親が変装していると思っているそうだ」
「・・・マセてますね・・」
「キルケは夢見がちなんだよ」
頭をポンポン叩いてあやすクラーク
「それで・・、どうするのですか?兄上・・?」
「まっ、面白そうだし受けようか。キルケのサンタ姿も拝みたいしな♪」
「もう、クラークさんったら♪」
「へーへー、勝手にやってくんさい・・。ロカルノは私のサンタ姿見たいでしょ♪」
「クローディアはどうする?まだあまり町の詳細をつかめていないだろう?」
「無視しないでよ!!」
「そうですね・・、わからないですが・・、一人で留守番というのも退屈ですし、お手伝いします」
「わかった。じゃあ依頼主に連絡しておこう・・、それとクラーク」
「何だ?」
「ちょっと、話がある・・」
「・・・わかった」
男二人が奥へ行く・・・
窓の外には雪が降り始め、冬のはじまりを物語っていた・・







「じゃーん♪どうですか♪」
赤と白のサンタ衣装を着たキルケが服をひらひらさせながらクラークに見せる
黒いタイツが大人っぽく怪しい感じが漂う・・
「おおっ、良い感じじゃないか?」
同じくサンタ姿・・、小さな丸眼鏡が違和感なくつけられている
「・・まっ、わざわざ仕立てただけのことはあるな」
こちらは仮面のサンタことロカルノ、違和感がバリバリ出ておりまともにみると変質者・・
「そうよね〜、まっ、意外に動きやすいのはありがたいか♪」
サンタセシル、キルケとは違いスカートにきわどいスリットが入っておりこれでは
娼婦・・・
別に色気を出しているわけでもなく、ただ動きやすいからそうしたと・・
「話を聞いただけで仕立てましたが・・、これであっていますか?」
こちらは世にも珍しい眼帯サンタ・・、洋服を着たことのないクローディアは少し動きにくそうだ
「ああっ、違和感ないぜ?がんばったな、クローディア」
「兄上・・・」
これらの服はこの数日でキルケとクローディアで仕立てた。
異国の服装に戸惑っていた彼女だが一旦コツをつかむと後は自然とできるようになったようだ

その間にクラークとロカルノはプレゼントの案や依頼主との相談・・
因みに依頼主は町長さんで町の子供に夢を見させて欲しい・・っということらしい・・

「各々方!ガキンチョにあげるプレゼントの用意はよろしいか!?」
「おっけいです♪」
「こっちもよ♪」
「いつでも動ける・・」
「夜も更けました・・・頃合いです」
「よし!では!出陣!!!」
5人のサンタが各自馬に乗り込み町に向けて駆け出した・・・。
ただ一つ、「セシル」と書かれた袋が館の入り口に置かれているのが気になるのだが・・・




(なんてこったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)
町の一軒、子供が寝ている部屋の真上で嘆くセシル・・
最も起こしてはいけないので心の中での絶叫なのだが・・
「ゴミ袋と間違えるなんて・・・、私の馬鹿・・」
袋を開いたらそこにはゴミのみ・・・、こんなもの子供に渡すわけにはいかない・・・
「落ちつけ・・、落ちつくのよ、セシル・・、よし!こうなったら自前で身体を張るしかないわ!!」
こんな発想、彼女ならでは・・か
「でもサンタって、煙突から入るのにこの家煙突ないじゃない・・」
煙突がある家自体かなり裕福なのでそうそうないわけで・・
そんなこと知らないセシルはかなりお悩み・・
「♪、穴がなければ作れば良いんじゃない♪」
これも彼女ならでは・・か
おもむろに隠し持っていた氷狼刹をとりだし、巨大な氷の杭を作り出す・・・
「メリークリスマス!!(くいっ)」
親指をくいっと下げると同時に巨大な氷杭が突き刺さる・・・!!

ドォォォォォン!

大きな破壊音と共に天上が崩壊する!

そしてセシルが指を鳴らすと同時に巨大な杭が粉々に砕け
その穴に飛び降りる・・
・・・・・・・・
子供部屋で寝ていた少年が氷杭の貫いた音で起きたようで我を忘れている・・
さらには突如月明かりのもと入ってきた金髪のサンタにもはや錯乱状態・・・
「よう?」
「ひっ、うわぁぁぁぁん!!」
いきなり泣き出す少年・・、これで泣かなければ異常だ・・

「何があったの?ハンスちゃん!」
「何か爆発音ががしたぞ・・!」
階段を上がる音が聞こえる・・

「ちっ、サンタは大人に見られるわけにはいかないわ!!」
そう言うと子供部屋の扉を凍り付けして固定・・

ドン!!

「・・なんだ!開かない・・?ハンス!無事か!?」
「よう、坊や・・、パパやママじゃなくてほんとのサンタがプレゼントに来たわよ♪」
・・・悪夢を?
「うっ、うわぁぁ・・」
「おおっと!泣けばすむと思わないでね?」
瞬時で少年ハンスの隣へ移動し、軽く短剣で首を叩く・・
「・・・・・!」
「いいっ?私うっかりとプレゼント忘れちゃったのよ・・。でも精一杯子供に夢を与えたいのね?
わかる?」
「・・はい」
「っというわけで次の3つの中から好きなものを選びなさい♪」
「・・・・」
「返事は?」
「はっ、はい!」
「1・媚薬2・即効性の睡眠薬、3・この短剣」
「・・・・・・」
・・・・子供用のプレゼントではない模様・・
「さぁさぁ!答えてちょうだい!」
脅迫まがいのプレゼントにもはや茫然自失・・
「・・あ・・あの・・・」
「ちっ、早く答え・・(ガン!!!)あう!」
突如後頭部を殴打・・・
「誰!?・・・ってロカルノ・・・」
「・・・何をやっているんだ、お前は・・・」
仮面のサンタが袋と槍を持って立っている・・・。
口調は静かだがもはや呆れかえっているご様子・・
「あん・・・、プレゼントを・・ね♪」
「・・・・ともかく、こい・・・。少年、迷惑かけたな。これはプレゼントだ・・」
不意に袋から取り出したのは仮面・・ロカルノさんがつけている仮面と同じもの・・・
「・・・・・・・」
もはや少年、言葉も出ないご様子・・
「ではっ、これにて失礼・・・。こい、暴力女」
「ああん、許してぇぇぇ!!」
首をむんずと掴まれそのまま退散するサンタ二人・・

氷付けされた扉とぽっかりと空いた天上、
そして手にサンタからもらった目元を覆う仮面を持ち、
少年は夜が明けるまで放心状態のままだった・・・



同時刻
「メリークリスマス♪」
サンタなキルケが微笑みながら子供部屋にプレゼントを置く・・
中身はクラークが作成した木彫りの小さなサンタ人形、意外に手が込んであり鼻が赤く
塗られている・・
小さなプレゼントだが、サンタの存在を胸に刻ませるのには十分効果はあるだろう・・
「こういうのもいいわね♪」
子供に夢を与えている気がしてものすごい上機嫌なキルケ嬢・・
夜も更け、人気のない通りを鼻歌まじりで行進する・・

「おい、聖夜祭にこんな格好のお嬢さんが歩いているぜ?」
「ああっ、こいつはめでてぇな・・」

不意に現れたのは季節ネタ関係ナッシングなゴロツキさん達・・
「あっ、メリークリスマス♪」
そんな輩にも関係なく明るく挨拶するキルケ
「よおねーちゃん・・、せっかくなんだ・・、プレゼントくれよ・・?」
「もちろん、ガキの玩具なんかじゃなくてねーちゃん自身がいいんだがよ」
「「げっひゃっひゃっひゃ!!」」
お下品に笑うお方々・・、それでもキルケは上機嫌で
「あ〜、私ですか?残念ですけど・・、私はあの人のモノなんです♪身も心も・・・、きゃっ♪」
「おうおう、じゃあ無理やりってことになるな〜♪」

「めりいくりすます・・・」

いきなり背後から男の声がしたと思うと頭をガシッと掴まれるゴロツキ二人・・
「だっ、だれだてめぇ・・」
「先ほどご紹介にあずかった『あの人』だ。人の女に手を出すとな・・・。
良い度胸だ。うんうん、実に良い度胸だ・・」
腕を振り払おうとするもものすごい握力で絞めつけておりどうにもならない・・
「では、そんな度胸のある君達にプレゼントをやろう・・」
「ああん?その、ねーちゃんくれるのか?」

バキィィィィィィィィィィィ!!!!!

瞬間ゴロツキの前に周りこみおもっきり蹴り上げるサンタクラーク・・
魔力で体力強化したのかゴロツキは見事に吹っ飛び上空に舞った・・
「鳥さんの視点が味わえるだろう?素敵なプレゼントに感謝しな♪」
手をパンパンしながらあごひげを正す・・
「クラークさん♪・・素敵です♪」
「全く、こんなとこ歩いちゃ駄目だぜ?」
「ダイジョブですよ♪ちゃんと剣を忍ばせてますし」
「だ〜め。返り血まみれのサンタなんか子供が恐がるでしょうに」
「あっ、それもそうですね。えへへ♪」
和やか〜な雰囲気・・・、さっきまでの怒り様と正反対だ
「でっ、もうあらかた配り終わったのか?」
「はいっ、クラークさんは?」
「もう終わりさ。後は例の一件だけ・・」
「じゃあそれはクローディアさんがやりますから・・、このまま帰りますか?」
「まっ、せっかくこんな衣装着ているんだ。サンタが二人で月見ってのもいいんじゃないか?」
「クラークさん・・」
「じゃ、行こうぜ?寒かったら暖めてやる」
そっとキルケの手を握るクラーク
「・・はい♪」
キルケもそれに答え握り返し、歩き出す
彼女にとっての何よりのプレゼントだろう・・・





一方クラーク達の教会とは反対側にある町外れの孤児院・・
・・っと言ってもあちこち痛んでおり、孤児院というより廃墟に近い
お腹をすかせた子供が静かに寝息を立てている中シスターがため息まじりで話し合っている
「・・せめて、聖夜ぐらいは満足に食事させてあげたいと思っていたのですが・・」
「それもままなりませんか・・・」
「これで我等の財産は底をつき子供達は・・」
「院長・・」
「・・・・・神よ、我等に御慈悲よ・・・」
一同静かに祈祷する・・・が

コンコン

玄関から静かにノックする音が・・
「?、こんな時間に・・?」
「私が出ます・・、どなたですか?」

「・サタ・・・・サンタ・・・です」

扉ごしに聞こえるのは落ちついた女性の声・・
「サンタ・・・?院長・・?」
「・・・開けて下さい・・」
「はい・・」
緊張した面持ちで扉を開ける・・

そこにいたのは眼帯をつけた女性サンタ・・。
大きな袋を持っているのはいいが腰に刀をさしているのが違和感を感じる
「・・・め、メリー・・・???・・・・クリス・・マス・・?」
やはり慣れていない様子でぎこちない・・
「あの・・、貴方は?」
「町長よりの頼みで町の子供達にプレゼントを配っている者です。ここの子供達、さらには
貴方達に贈り物です」
そう言うと袋をドサッと入り口に置く・・
「・・・これが・・ですか?」
「ええ・・・、では・・・・鋭!!」
サッと刀を抜き一閃・・
袋はバラバラに破れ、
そこから出てきたのは金貨の山・・
「こ、これは・・・」
あまりの驚愕に声も出ないシスター達
「ですからプレゼントです・・。確かに渡しましたよ・・では・・」
そう言うとさっさと帰っていくサンタクローディア・・
「・・・院長・・」
「神は・・我等を見捨ててはいなかったのですね・・。誰か、これで子供達に食べるものを・・」
唖然としながらもプレゼントを受け取ることにした院長・・
孤児院の経営もこれで救われるだろう・・






「・・・これで、いいんですよね?」
孤児院から少し離れた木の下でクローディアが待っていたロカルノに話しかける
「ああっ、ご苦労だな・・。こいつも少しはまともに仕事をしてもらいたいもんだ」
サンタ姿のロカルノが叩くのは袋づめされたセシル・・、軽々担げるのは
彼の素晴らしく鍛えられた体のおかげ・・
「でも、あんな大金・・」
「以前、王からもらった謝礼金が残っていてな。ここの孤児院の状況がかねてから聞いている
良い機会だと思ったのだよ・・」
「兄上はこの事を・・?」
「ああっ、二つ返事で答えたよ。何にせよ、あいつなら断ることもないか・・」
「それもそうですね・・」
「さっ、これで私達の仕事は終わりだ・・。館に帰って一息つけよう・・」
「・・・兄上とキルケさんは・・?」
「・・二人で星を見るそうだ・・・、気になるか・・?」
「・・・いえっ、ではっ、帰りましょう・・」
「そう落ちこむな。酒を用意してある、今夜は付き合ってやるぞ?」
途端に担いだ袋が大きく暴れ出す・・、嫉妬か・・
「・・では、お願いします・・」


雪が降る街・・

この日この街は幸福に包まれた・・・、若干例外はいるのはお約束・・・・


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