「断罪の爆鎚「メタトロン」を揮う少女」


断罪の爆鎚「メタトロン」
 「神の代理人」の大天使の名を冠し武器は、
その武具もしくは自身の一部の欠片から造り鍛上げられたと言われ
触れるモノありとあらゆる悪を焼き払う。
逆を言えば、この武器を用いても対象が「悪」でなければ普通の武器でしかないという。 
そして、主が「悪」を有すれば、焼き払われるのは・・・人は完全で足りえない
故に真の「聖人」で無い限り火傷は必至。
「教会」で誰も触れること適わず保管されていたが、それほどのモノを眠らせて
置くのは惜しいと、ある聖職者がコレを揮う完全な人間、「真の聖人」
すなわち『人造人間(ホムンクルス)』の作成をある魔導師に依頼した。
「メタトロン」は一見、鋼の塊な円柱の頭に鋼の柄がついた土木用大型鎚であり
大凡、断罪の爆鎚の字を持つようには見えない。


 貧しい村が貧しい訳は、土地が貧しい,新興である,不作が続いた等がある。
そして、村の側に野盗が居座り搾取する 等も・・・
その村の側に聳える山、その中腹に一つの洞窟があった。
天然の洞窟に人の手が加えられたソレは、もはやちょっとした要塞であり
今まで何度も傭兵達を退けていた。その要塞へ普通に近づく少女が一人。
蒼銀な長髪をポニテでまとめ白い絹肌に大人に成り始めたばかりの肢体を包むのは
要所を革で強化された無骨な戦闘用の貫頭衣、
御褒言抜きでも美少女が肩に担ぐのは冗談のような大型鎚。
不意にその少女の足を止めるのは、警告とばかりに地に刺さる矢。
そして、パラパラと岩陰から顕れる正しく野盗な男達。当然、顔には下卑た笑み。
「お嬢ちゃん、こんなところで何をしてるのかな〜〜」
「こんな所で一人歩きはアブナイよ〜〜。おっかないオジちゃん達にイタズラされるから」
「もう、手遅れだけどね〜〜」
と自身の台詞に大ウケで爆笑する一同。しかし、少女は顔色一つ変える事無く一言。
 「・・・お前達、悪人か?」
・・・、間を流れる冷たい風。
男達の風貌は如何みても野盗のそれであり、態々聞かずとも分かるはずなのだが。
思わず男達は頭をつき合わせ暫し相談を・・・。
結論。この少女は頭が少々哀れであり、持っている鎚は何かの冗談である と。
折角の美少女なのに勿体無い・・・
「お嬢ちゃん・・・俺たちがイイ思いさせてやるからなぁ。 先ずはココで」
と、リーダー格の男は人形のように微動だにしない少女の股間を

ガシッ!!!

と鷲掴み、下着の股布の上から少女の柔肉を弄る。
一方で、服の上からでもわかる少女の胸の膨らみを揉みしだき・・・
されるがままの少女、一考に出た間を置いて出た結論は
 「お前達、悪人。 これより目標を殲滅する。」
爆っ!!?
「ぐぼぁっ!!?」
と、男達が少女の言葉を理解する前に、打って変わって眼光鋭い少女によって
揮われた鎚に撃たれた男が爆炎に包まれ吹っ飛ぶ。
炎を散らしつつ空を舞った男は地に堕ち、黒焦げに。
ゲフッと煙を吐きつつ痙攣している処をみれば辛うじて
生きているが、一撃で戦闘不能になった事には違いない。
それを他の男達は理解する前に、服裾翻し生脚を付根まで曝し駆け抜けた少女に
よって揮われた鎚に撃たれていた。
 そして、同様に・・・
「何だ、騒がしいぞっ!!!」
と、騒動に略取した娘を犯しつつ洞窟の最奥から出て来た大男な野盗首領に応えたのは
炎に包まれ吹っ飛んできた部下の男。
地に転がり鎮火したが・・・もはや、戦闘不能。
そして、その後から場に似合わず優々と鎚を肩担ぎに歩いてくる当の少女。
 「・・・最終目標確認。」
「て、手前、何者っ!!!」
 「・・・・・・、・・・名乗る必要はない。」
抑揚なく一歩踏み出す少女に、野盗首領は圧され一歩下がる。と、物陰から
「チェストぉー――っ!!!」
と己省みず剣腰溜めに飛び出す部下の男。
体格差からして必殺に、刺さらずとも少女など吹っ飛ばされるのは必至。
しかし

轟っ!! 爆っ!!!

「っ!!?」
少女が片手でも揮う鎚が部下の男の横胴を必中。
そのまま爆炎に包まれ吹っ飛ばされ・・・
黒焦げ体、更に一体追加。
大男、野盗でも首領を勤めるくらいである。それだけで少女が素手で適わぬ
・・・否、得物があったとしても勝てない相手であるくらいなのは察せる。
ましてや今、この男は全裸で何も・・・あった。
 起死回生の切札。
いつの間にか捨てていたソレに飛びつき、コレが目に入らぬかとばかりにつき付ける。
陵辱に壊れた娘の首を持って。
「抵抗するな。武器を捨てろ。でなければ・・・」
普通で考えれば、素人相手で無い限り人質を取るなど愚行でしかない。
そんな事をしたところで、己の命優先に人質諸共斬り捨てるのが常であるから。
しかし
 「・・・、・・・。」
ぽいっ
と、男の目の前に投げ捨てられるのは、少女の得物である鎚。
そして、少女は素手。素手同士なら如何見ても大男圧勝。
 ましてや、目の前には得物が
「・・・くっ、くっ、くっ、くっ。
手ぇ足砕いて部下を可愛がってくれた分まで可愛がってやるぜ」
娘を少女に投げつけ、素早くその得物 少女が主である鎚を手に持ち振り被る。
瞬間

爆っ!!!

「っ!!?」
大男を包む爆炎に、その手から鎚が毀れ落ちた時には手遅れに消炭と化していた。
そして受け止めた娘を地に寝かした少女は己の得物を手に取ると一言呟いた。
 「・・・目標殲滅を確認。」

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