「看板娘決定協議会」


「さてぇ、皆さん集まってもらったのは他でもありません。昨日ここのサイトの新たな名前が決定しましたよね?」
貿易都市ルザリア、騎士団屋敷の中の大会議室の中でキルケが言う
黒いカーテンで室内は暗くテーブルに小さな錬金灯がある程度
因みに会議室の扉には関係者以外の立ち入り厳禁・・っと書かれた張り紙まである念の入り様・・
席に座るはクローディア、セシル、タイム、マリー、レイブン、フレイア、アンジェリカ、ミィとそうそうたる面々
「ええ〜、本編以外でのお呼びなんてどうしたのよ?」
肘を付きながらセシルが尋ねる・・一番不真面目な態度な彼女で拘束されるのが嫌いらしい
「そこで〜、この際このサイトでの『看板娘』が誰なのかはっきりさせておこうと思いまして」

ピシッ!!

鋭く空気が張り詰めるとともに面々の顔つきが変わった・・
「何言っているのよ〜キルケ♪看板娘ってそりゃインパクトがあり強くて美しい・・そう!このセシルに決まっているでしょう♪」
「・・どうですか?皆さん?」
「・・・セシルさんは前科が多いので・・前歴者があるものがそうした称号を持つのはいかがなものかと・・」
「何よ!クローディア!!?」
「私もクローディアに同意見だ。セシルは・・オイタが過ぎているし非難している人たちも多い」
「タイムまで!・・じゃあ誰がいいのよ!?」
隣だって非難され一人ヒートアップなセシル・・自業自得なのだが・・
「それはやはり・・『ヒロイン』という位置づけの女性がいいかと・・」
何故か照れながらクローディアが提案・・つまり自分も『ヒロイン』だぞ・・っと
「それでしたら・・私とマリー、タイムさん、クローディアさん、キルケさん・・になりますね」
ゆっくりと周りを見て言うはレイブン、隣ではマリーも同意見なのか首を縦に振り納得している
「ああっ♪そうなるとレイブンさんとマリーさんは却下です♪」
そんな二人にキルケ、明るく冷たく・・
「ええ〜!!?なんでよ!キルケちゃん!?」
これにはマリーも驚き反論する、レイブンも全く同意見
「だって貴方達、アルのハート射止めていないじゃない。」
セシルも援護攻撃、痛いところを突かれて二人は少し唸る・・が
「で・・ですがセシルさんもロカルノさんのハートを射止め切れていないじゃないですか?」
「な〜に言っているのよ♪本編で私を愛しているって言っていたわよん♪」
「・・それはあの時点では・・って事じゃ・・」

「なぬっ!!?」

「そうよ!私という存在が現れて以上お兄さんの気持ちは私に傾いているのよ!野蛮騎士!!」
いきり立つはフレイア嬢・・もはや仕事中の冷静沈着な仕事姿は微塵もなく・・
「やかましい!後から出てきたサブ要因が何言っているのよ!!」
「ふっふ〜ん♪私とお兄さんは『義理の妹』っていう男性が憧れまくってしょうがない関係なのよ!?
犯罪者で迷惑かけっぱなしな貴方なんてすぐに見捨てられるわ♪」
「下手になって聞いていれば・・こうなったら力ずくよ!!まずはフレイアを血祭りに上げて私が看板娘になるわ!!」
席を立ち跳びかかろうとするセシルさん、実力行使はお手の物・・なのだが
「はい♪セシルさん違反で〜す♪退場願いますね♪」
「・・な・・何上機嫌なのよ?キルケ・・」
「今回は『話し合い』を目的としていますので実力行為を働いた人には退場願うことにしているのですよ♪」
某汎用人型決戦兵器を扱う組織の指令が如く手を前で重ね笑うキルケ
陰謀色120%
「それが何!?今の私を止められると思わないことね!」
「そうですか、では警備隊のソシエさんお願いしま〜す♪」

バン!!!

「はいよ・・やっぱりあんたが違反者かい・・」
「ま!!?ママママママママママママママ・・・ママぁ!!?」
途端に怯えるセシル・・天敵もいいところのソシエさん登場にクローディアの後ろに隠れるが
「さっ、連行するよ。ウィンク・・」
隣にいる女性執事ウィンクに声をかけ実力行使
「かしこまりました。ソシエ様」
「ごめんなさい!ごめなさい!!もう手なんか出さないからぁぁぁぁぁ・・・・」
動揺しまくるセシルをウィンクは軽く掴みそのまま会議室外へ・・
「でっ、キルケちゃん。他にはいるのかい?」
ソシエの言葉にキルケは少し笑いフレイアの方を見る・・既に彼女は固まっている
情報関係の職ゆえにソシエの腕は良く知っているのだ
「え〜っと、フレイアさんが席を立ち迎え撃ちかけましたが・・中腰の状態で固まっているでセーフです」
「了解・・そんじゃあの馬鹿に罰を与えてくるよ」
ニヤリと笑いジョーカーが外に出る・・その瞬間に

ゴリュ!!
「あいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

室内に聞こえるほど大きな鈍い音とさらに大きなセシルの絶叫・・それが終わると外からは何も聞こえなくなった
「・・・生きているの?あれ?」
医療の知識も持っているアンジェリカさんがドアの方を指さして尋ねる
「さぁ?まぁセシルさんなら大丈夫でしょう♪さて・・マリーさんとレイブンさんの話でしたね。うう〜ん、肉体的な関係はあるにしても
アルさんから「好き」と言ってもらわないといけないとは思いますよ?そこらはどうなんですか?」
「「・・・・・」」
無言で首を振るマリーとレイブン・・・それだけで二人の悩みが一目瞭然・・
「ご愁傷様・・ですね。まぁがんばってください・・。では、どうします?」
「ちょっと待って。看板娘というからにはそれなりの知識や教養などは必要じゃないかしら?」
「アンジェリカさん・・ではどういうことですか?」
「つまり、ヒロインである以上に才女であることが必要という事よ。そう考えればクローディアさんは相応しくないんじゃないかしら?」
「わ・・私・・ですか?」
まさか自分にくるとは・・っと驚くクローディア、彼女もおしとやかながらも内心では自分こそが相応しいっと
思っていたり・・
「そう、殿方を喜ばせる知識をキルケさんに教わっているなんて愚の骨頂、さらに自分からあまり求めずクラークさんからの
誘いを待っているという姿勢なんていうのはいけないんじゃないかしら?」
「・・・そ・・そんな事・・」
「うう〜ん、確かに。クローディアさんは周りの意見に従う事が多くて自発的に行動することは少ないですからね。
そうした点では残念です!」
「キルケまで・・そんな・・」
うな垂れて落ち込むクローディア・・、何もそこまで凹まなくても・・っというぐらいで顔をみせない
多分涙目なのだろう
「それとタイムさん、クロムウェルとの激しい淫行からして不似合いよ」
「な!?・・そ・・そんな事などしてない!!」
「ふふっ、彼の部屋の下に住んでいる私に隠しきれると思って?何なら今度録音しましょうか?」
「ぐぅ・・卑怯よ!アンジェリカ!」
激情するタイム・・彼女にとっては日ごろ心を引き締めて仕事をしている分本当の素顔を見られるのはとても恥ずかしいこと・・
それが想いの人との交わりで感情の赴くままに叫んでいるのであるならばなお更・・
もう顔が真っ赤になっている
「でもアンジェリカさんも不純な目的で薬作って失敗して蟲に嬲られていましたよね?じゃあ・・」
「ちょっと待って、キルケさん。貴方もしょっちゅうスプラッタな戦闘をして興奮している危ない女性じゃなくって?」
「う゛っ!!・・そ・・そんなこと・・ありますけど・・・」
自分でも認めるキルケ・・、まぁ年頃の娘が敵の喉にレイピア刺し貫いたり血の魔法で片っ端から食い散らかしたりしているのであるから
それはそれで仕方ない・・のかもしれない
「じゃあ・・どうするの?」
「こうなったらやはり・・」
一同の視線が端の椅子に座り露店で買ってもらった飴を夢中で舐めているミィに向く
「ミィ?」
「ミィちゃんが・・一番かしら?」
「そうですね・・穢れてませんし・・」
「頭はどうなのよ?」
「ミィ!ミィはべんきょうがんばっている!」
何かわからないが自慢するミィ・・
「例えば?」
「セシル!ケダモノ!!」
「「「おおお〜」」」

パチパチパチパチパチ

感動して拍手する皆々さん・・ハイデルベルク国の大多数が見破れない金獅子の本性を幼くして見切っているのだ
・・・本人が「ケダモノ」の意味を解せばの話なのだが・・
「まぁ・・可愛いから仕方ないわね」
「ええ・・ミィちゃん。貴方はここの看板娘よ」
タイムとアンジェリカが認めミィの頭を撫でる・・が
「かんばんむすめ?」
「まぁ・・ミィちゃんの事だからマスコットキャラクターみたいなもんですね。ですが・・改めて考えて見ると・・
私達、穢れてますねぇ」
「しょうがないわよ・・っと、フレイアさんは処女だった・・かしら?」
「!?・・・秘密よ・・」
危うくソシエの残虐制裁を食らう羽目になるところだったフレイア、それゆえに後の会話には参加していなかった・・というか
できなかったのだがその問いにあやふやな答えを・・
「そう・・ならば仕方ないわね、ミィちゃん。がんばって」

「ミィ〜!!!」

良くわからないが皆に撫でられて大喜びのミィ
だが結局は肩書きが決まったのみでミィが実質的な看板娘になるには遠い日の話になりそうだった・・

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