「発情犬との馴れ初め」




鍛冶工房HOLY ORDERS

大国ハイデルベルクの中にある小さな町プラハにある有名な鍛冶屋

若き主人が造り出す武器はもはや大国中に知れ渡っている

彼の造り出す武器や防具を求め連日沢山の人が訪れるのだが、

その日は店が開かれる事はなく通りは一転静けさを取り戻していた

 

「わざわざお茶を持ってきてくれてごめんね、キルケちゃん」

 

「いえいえ、いいんですよ。

シャンさんって毎日忙しいんですからお茶をゆっくり飲むのも久しぶりなんじゃないですか?」

 

店の二階、住居スペースとなっている客間にて・・

長い黒髪で町娘風の出で立ちの女性と質素なブラウスとスカートを着た上品そうな

金髪の少女が会話をしている

黒髪の女性の名はシャン、このHOLY ORDERSの看板娘であり店で造られる武器の試し切りも行う万能娘

金髪の少女の名はキルケ、この町でもう一つ有名である冒険者チーム「ユトレヒト隊」の一人で所謂常連客

っとは言えプライベートスペースまで上がり込むほどの関係でもないのだが今日は特別・・

 

「それで〜、新しい炉を入れるって事だけど・・キルケちゃんどんな物なのかわかる?」

 

「いえ・・、でもロカルノさんとクラークさんの合作で魔術を応用した小型の高性能炉・・らしいですので

すごい事はすごいと思います」

 

あははは・・っと苦笑いを浮かべるキルケとシャン

今日は店のプチ改装、扱いやすい炉を設置するために一日休業となり手伝う事がない2人は

2階にてのんびりとティータイム。

キルケ持参のハーブティーにはハンナリと一日を過ごしている

因みに一階では店主のリュートと本職顔負けなサブビジネススキルを持つロカルノとクラークにより

新型炉の設置に奮闘していた

・・っとは言えどもプロフェッショナルの集まりなので設置自体には全く問題はないので

後はどうレイアウトするのかとそれに伴って備品を充実させようという議論が専らだったりする

 

「でも、すごい素敵にお家ですねぇ・・これもクラークさんが造ったんですよね?」

 

付近をキョロキョロ見渡すキルケ

元々は裕福な家庭の出なのだが機能的な家にときめきを覚えているようである

それが最愛の男の作品ならば尚更か・・

因みにこの家の構造は1階が鍛冶工房スペースで2階が住居スペース

店の規模からして住居スペースは決して広い訳でもないのだが客間まで完備されており住み心地は良い

「ええっ、そうよ。私とリュートが暮らす分にはそれほど広いスペースは必要ないからね。

ほんと、ちょうど良い大きさに造ってくれたわ」

「へぇ〜♪いいなぁ・・♪

あっ、そう言えば・・リュートさんとシャンさんって・・結婚しているんですか?」

「──えっ?結婚・・ねぇ。忙しくてあんまりそう言う事は考えていなかったかなぁ」

っとバツの悪そうに頭を掻く

そんな事を気にする間柄でもない2人、心はすでに契りを交わしているそれと同じなのだ

「ええっ!?そうなんですかぁ!?」

「うん、でも・・結婚しなくてもお互いにパートナーってわかり合えているから・・それでもいいと思うの」

「へぇ・・何だかいいなぁ・・。あっ・・じゃあ・・夜の方も・・ですか?」

口に手を当てて尋ねるキルケさん

眼が爛々と輝いているところ、前々から知りたかったようである

清楚そのものな少女もすっかりと腐女子属性が身についてしまったようだ

「キルケちゃんもオマセねぇ。・・まぁリュートって犬人でしょう?

だから凄いのよ・・発情期が来るともう毎晩毎晩・・お腹タプタプで何もできなくなっちゃうの」

苦笑いでスッキリとくびれたお腹をさするシャンなのだが

それにキルケはさらに眼を輝かしている

「・・すごい精力ですね・・」

「獣人の特徴らしいけどね。そういえば・・最初の時もすごかったし・・ね」

「な、何かあったのですか!?」

「──ん〜・・聞きたい?」

「是非♪」

ニッコリと笑うキルケ、夜の話を聞くというのにまるで軽い世間話をするかのような軽さである

対しシャンも只の看板娘ではない。

元暗殺者として数々の修羅場を越えてきた経験を持っているが故にキルケからの突然の提案にも涼しい顔をしている

「わかったわ。ん〜っと、私達の関係はどこまで知っているの?」

「ええっと、詳しい事は聞いた事がないので仕事のパートナー・・ってところですか」

彼女もそこまで詳しい事情を知っている訳でもない

本来は清楚な少女故にプライベート云々での質問など普通はやらないのである

「ふふっ・・まぁそんなところかしら。

実はね、私は元アサシンなの。それも性奴としての扱いを受けていた・・ね」

スッと眼を細めるシャンなのだがその瞳は暗い過去を思い出すものではなく

まるで昔を懐かしむかのようにも見えた

「そうだったのですか・・」

「まぁ、別に珍しくないんだけどね。でも・・その生活が嫌で逃げ出したのよ・・その逃亡中に出逢ったのが

リュートなの・・。

あの子はあの子で武者修行中で私の得物に興味を持ってね・・それでストーカーみたいに付きまとうようになったのよ」

その頃から鉱石馬鹿だったリュート、当時のシャンとしては

かなり厄介な男だったのは間違いない

「・・リュートさんが・・ですか?意外ですねぇ」

「そうかしら?・・まぁキルケちゃんはお客さんだから見たことないんだけど、

リュートったら珍しい鉱石とか見つけると目の色変わっちゃうのよ。

私の武器も少々特殊だったから瞳を爛々と輝かせていたわ」

「へぇ、じゃ、じゃあそれがお二人の・・?」

「そうよ・・今にして思えば・・あの子とこうして暮らすなんてあの頃じゃ夢にも思わなかったわねぇ」

思い出される過去、当然そのような出会いとなると彼女としてはリュートの事を快く思うはずがない

だがそれは過去、人間先のことなど誰にもわからない

「なるほどぉ・・、それでリュートさんとシャンさんが力を合わせて逃亡生活にピリオドを打った・・って事ですか?」

「ええっ、その通りよ。まぁ私達だけの力で解決できたんじゃないんだけど・・まぁ大筋じゃそんな感じかな。

その間あっちこっちを旅している間に・・私達は結ばれたの」

「そ、その間に・・ですかぁ」

「意外かしら?まぁ・・成り行き、かな。リュートって人畜無害そうに見えるでしょう?

だから自分の発情期なんてほとんど気にしなかったのよ。

だから無意識のうちにストレスが溜まっちゃってね・・体調を崩した事があったの」

「・・発情期に・・気付かない・・」

呆然とするキルケ、それもそのはず。

獣人に発情期は付きものでありその周期を当人達は意識している・・

それは子孫繁栄のためであり言わば当然の事なのだ

「そっ、リュートらしいでしょう?一人なら気付かなかったでしょうけど・・私と一緒だったからね。

それが原因だったみたいなの・・だから宿を取って・・そこでね♪」

爽やかに笑ってみせるシャン、自分の本当の初体験を話している割には恥ずかしさというものは微塵もない

それだけリュートとの絆に誇りを持っているのであろう

「じゃあ〜・・シャンさんが主導で・・」

「そうなるの・・かな。でも私はその時はまだ男の人のアレを見る事が怖かったから・・優しくお願いしたの。

彼なりに優しくしたつもりなんだけど・・正直、激しかったかな。

あの時は、リュートも獣だなって思ったし」

唇に手を当てながらその時の光景を思い出す

人畜無害と言えども興奮している獣にお願いなど通じるわけもない・・っと

当時の自分に苦笑いを浮かべる

「具体的には!?」

「う〜んとね、発情期だから・・アレはもうビンビンだったんですぐにでも入れられるんだけど・・私が、ね。

だから自分のを濡らそうとしたんだけど・・リュートったら興奮しながら私のを舐めだしたの

強引な愛撫は慣れていたけど〜・・リュートはそれでも抑えていてくれたからね。ジュンってきたの♪」

「へぇ・・でも荒々しいのは一緒・・じゃないんですか?」

「そこは・・やはりリュートに気があったって事かしら・・。

私もすごく興奮してきて・・舌が這う度に頭が痺れてね

そのままリュートを迎え入れたの。

後はもう・・それこそ交尾に近かったかしら。

後ろから硬くて熱いのが入ってきて、頭の中が真っ白になる感じなんだけどすごく良くて・・

それで私の膣で暴れ回るの。

乱暴だけどそんなの気にならないぐらい気持ちよかった・・」

未だその余韻に浸るかのようにうっとりとした表情で呟くシャン

それにキルケも思わず股間に手を添えた

「そんなにすごかったんですかぁ・・」

「そうね、強姦に近い体勢だったけど全然嫌じゃなかったし・・

本当、膣が抉られるような感覚に夢中になったわ。

そしてぇ・・射精もすごかったの!

リュートったら自慰した事なかったのかもう量がすごくてねぇ・・

おまけにアレの根元が膨らんで全然抜けないからお腹が熱くて熱くて・・

でっ、出し終わる頃にはもう元気になってそのまま私を犯すの。

それが夜明けまで続いて・・今度は私が立てなくなっちゃって大変だったわ。

それは今もそうなんだけど・・」

「あはは・・わかります。私もクラークさんにたっぷりもらったら立てませんですし・・」

「クラークさんもすごそうだものねぇ・・。まぁそんな感じね、私とリュートの馴れ初めは・・。

後は、この店が出来て、発情期が来る度に・・ね。

お腹たぷたぷで仕事している時もあるんだけど・・まぁ幸せかな」

ニコリと笑うシャンに対してキルケは尚も股間を押さえる

「すごいです・・。そういうの、羨ましいです!」

「そう?なら今日はクラークさんにおねだりね?」

「はい!滅茶苦茶にしてもらいます!」

拳を握り締めるキルケ、強姦経験はない物の同意の上では経験をしたいらしく

熱っぽい瞳で鼻息が荒い

今宵は激しく燃え上がろうとやる気を見せたその時・・

 

『そいつはリクエストに応えないといけないけど〜・・昼間っから話が激しくないかぁ?』

 

そんなキルケの言葉に軽く返す男の声が・・、見れば部屋の入り口に呆れた顔の優男が・・

「「クラークさん!」」

「一息ついたからお茶にしようって来たんだけど、後にした方がいいか?」

軽く頭を掻きながらそう言うクラーク、話を邪魔するつもりは毛頭ないのが彼らしい・・

「いっ、いえ!それよりも・・いつからそこに!?」

「おねだり云々ってところからだな。でっ、後にした方がいいか〜?何かおじゃまっぽいし・・」

「いえっ!いいです!すぐに行きましょう!」

大慌てなキルケにクラークに意地が悪そうにニヤリと笑ってみせる

そこに

「シャン〜、炉は上手くいっているから後で見にきなよ」

フラリとやってくる犬亭主リュート、顔は煤だらけなのだが笑顔は眩しく正に純情な少年

「ええっ、わかったわ。その前に休憩ね?お茶を淹れるから行きましょう」

「そうですそうです!ささ・・クラークさん!」「お、おう」

そう言いキルケはクラークの腕を取り颯爽と部屋を後にする

妙な様子にリュートも何事かと見つめていると、その後ろからシャンが近づきリュートの顔についた煤を取ってやる

「ねぇ、リュート・・アレ・・まだ?」

「えっ?ああ・・まだその期間じゃないけど・・」

「そう・・、でも・・たまには発情期じゃなくても頑張りましょう?」

爽やかに笑いながらもその手はリュートの股間を優しくなで回す

その瞳は正しくアサシンが持つ獲物を捉える狩人のモノ・・

どうやら彼女にも火が付いたらしい

「あ・・ああ・・うん、シャンがいいのなら・・」

「ふふふっ、獣みたいに犯してね」

でなきゃ承知しない・・っと、その手はリュートのモノをギュっと掴み

彼を誘惑する

「・・え!?・・あ・・うん」

「じゃ!行きましょう!ロカルノさんの事だから立派な炉でしょうしね♪」

妖艶な笑みから一転して爽やかな物に変わるシャン

「そりゃ・・ロカルノさんだからね。説明もしてくれるから一緒に聞こうか」

その様子に呆気を取られながら同行するリュート

 

その日も、HOLY ORDERSは賑やかであった



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