「ある日の来客 AFTER DAY」


「あひゃひゃひゃひゃひゃっ、そいつは、そいつはっ!!!」

 「それは・・・災難でしたね・・・(クックックッ・・・」

リオから語られたアレスの武勇伝に、王でもナンチャッテなライは拍手喝采で大爆笑し

冷徹な秘書であるはずのレイハですら笑いを堪えて俯き加減で身を震わせている。

まぁ、十分に予想範囲内の反応なので、リオは今はジト眼で睨むだけですませておく。

「・・・しっかし、あのセシルを圧倒するとは、アレスもやるようになったというか

その程度のストレスで伸びるとは、まだ未熟というか・・・」

と爆笑の余韻収まらず今だ涙目なライは黄金の仮面を空手間に玩ぶ。

男が涙目というのは中々キモイが、玩んでいる様は可也様になっていたり。

笑いが収まったレイハは眼鏡が白く反射して表情は見えないが唇尻がヒクヒクと

痙攣している事からして、仕事を妨害された事よりも無様な様を見せないためだろう。

姉分の態度はまだまだ許せるとしても、ライのすかした態度は毎度リオには気に喰わない。

それは、嘗て理想を木っ端微塵に爆破された恨みが未だにユラユラと燻っているから。

だから、

 「では、団長もつけてみたら如何ですか?」

きゃるん♪と満面な笑みで爆弾投下した今のリオには、背後に闇が見えるはず。

であるのに、そんな事を一片たりとも視界に入っていない てか、気にもしていないのか

ライはアッサリと

「おう、面白そうだな」

 「「・・・えっ?」」

止る時。そして、レイハの頭脳は普段の三倍で回転しシミレート。

『変身願望』,『成り切り』 → ライ、破壊魔王化 → 生贄はレイハ

→ 超々々々ハードプレイの妄想を実行

止る時。そして、リオの頭脳は普段の三倍で回転しシミレート。

『変身願望』,『成り切り』 → ライ、ヒーロー化

→普段、意外に服装に拘っているだけに、服を脱ぎ捨て全裸のヘンタイ仮面化

もしくは、黒皮のジャケット短パンを装着し、レザーでハードなガイ化。

→以降、処理しきれず想像不可ですた。

 「「だっ、だめぇぇぇぇっ!!!」」

一瞬にした予測に顔面蒼白になった二人が手を伸ばし制止する前、

テ・オ・ク・レ♪ と言わんばかりに

「ではっ、『変・神』!!(スチャ」

顔に装着される黄金のマスク。手遅れな事態に二人の身体から力が抜け、床に崩れ落ちる。

でも、どのような変身をするのかと興味半分恐怖半分で

装着した格好のまま動かないライから目を放せない。

「・・・・・・」
 
「「・・・・・・」」

「・・・・・・」
 
「「・・・・・・」」

「・・・・・・」
 
「「・・・・・・」」

「・・・・・・」

 「・・・、あの・・・」

沈黙に耐え切れなくなった娘ドチラかの声に反応して黄金仮面装着ライは首を傾げ、

それに二人は思わずビクッとしてしまう。しかし、激しい反応はない。

「・・・ふむ、意外に変らないな。まぁ、こんなものだろう」

 「エ゛!!? うそぉ・・・」

 「あの、何も変られていないように見えるのですが・・・」

「ああ、俺自身も全然変ってないと思うからな。それも当然だろう。

俺には元々変身したい偶像はないし、現状に満足・・・つっても望むのはダメ親父化。

それを自覚している以上は、こんなアイテムを使ってまでして変身するものじゃない。

それ以前に、この程度は幾らでもレシズト出来るからな。ヤバければいつでも止められる」

とライは言っているものの、その動きに普段にも増してキレがあり

後光が差しているように見える・・・後ろに窓があるからなんだけれど。

多分、今のライの姿をみれば黄金の仮面をつけていようと十人中十人が

良かれ悪かれ王と認めてしまうだろう。口元も中々ニヒルで格好いい・・・

「要は、自分の理想には自身の力でなれっという事だ。

ちょっくら、アレスに説教してきてやるかな・・・」

黄金の仮面をスチャッと外して机の上に置いたライは、それでも変らぬ機敏な動きなまま

王と崇めるに相応しく颯爽と執務室から出て行ってしまった。

 「うわぁ〜〜、パチモノ臭い・・・普段の団長の方が」

 「考えてみれば、あの人は普段から顔を使い分けていますから・・・」

 「・・・それって詐欺ですよ」

 「それでも首尾一貫しているので、差障りはないんですが」

 「うわぁ・・・。・・・団長行ってしまったんですけど良いんですか?」

 「って、逃げられたっ!!?」

色々と有耶無耶に、毎度のことながら踏んだり蹴ったりであった・・・


自身の装備を含めて様々な武具が壁に掛け飾られ、本棚には適度に色々な武芸書,

武具カタログ,魔導書やソレ等に偽装されたアヤしい本が並び、整然と片付いた

実に青年らしい個屋。そのベットに突っ伏し眠る一つの人影があった。

それ アレスはコンコンコンと三回ノックにムクリと起き上がると、

ウも言わず対応する。そのリズムから来訪者が分るので待たせる真似はしない。

「寝てる処悪いが、ちょっと邪魔するぞ〜〜」

「大丈夫です。どうぞ・・・」

開ける扉に入って来たのは、白濁黄金な液体がなみなみと入ったジョッキが二つ載った

盆を一流ウェイターみたく三本指で安定して支えたライ。

屋敷の主であるにも関らず、部屋の主の許可を得たから入ってくるのは彼の価値観ゆえ。

良くも悪くもアレスにとって良い兄貴分である。

「黄金の仮面の話は聞いた。

んで、話というのは、あの低落はなんなんだ・・・というのは建前で

・・・ククッ・・・災難だったな・・・」

ドツボに填ったか思い出し笑いをされ、アレスでも苦虫を潰した顔になってしまう。

それでもライが仕草で促したジョッキは蜂蜜とブランデーで味付けされたミルクシェーキ。

大変美味で、胃に優しい上に腹持ちもいい。今のアレスにはありがたい代物だった。

「・・・それで、本件は?」

「いやいや、熱血王道ヒーローとは随分とアレスらしくないなと思ってな」

「そのことはもう・・・自分でも何が何だか・・・」

「大方、前にロカルノから洗脳?でもされていたんだろうさ。

そんなアレスに相応しく、心から救ってくれるアイテムがある。

それは、これだっ(シャキーンッ!!!」

ライが懐から出したのは黄金の仮面とは対称的に、黒塗りトゲトゲで凶々しい仮面。

「いや・・・仮面はもういいです」

「そういうな。仮面はイイアイテムだぞ?

仮面は正体を隠してくれる事で、内に秘めた自分を解放し・・・(以下長いので省略」

「いや、その話はロカルノさんからも聞きました」

「・・・、逆を言えば仮面は正体を隠してくれる。

どんな悪事所業をしても仮面のせいに出来るのだっ!!!(ドーン」

「いやっ、それは・・・律を護る我々がしてはマズイでしょう(ふるふる」

「その辺りは言葉のあやだ。気にするな。俺は気にしないっ!!!」

「いや、気にしてください。マジで」

そこでっ、アレスに相応しいのは、

暴力には暴力を、イイ悪女には己の身体でもって愛を解け。

血で血を洗うようなダークヒーローっ!!!」

「・・・ダークヒーローっすか?」

「そうっ、悪と罵られようが己自身のため、己の正義の為に生きるっ!!

言うなら、捨てイヌを拾い可愛がる慈愛を見せても、悪・即・斬。

こんなこともあろうかと作ったこの仮面は、そんなアイテムなのだっ!!」

「お、おお・・・」

心の琴線に触れビンビン鳴り響かせているのか、

アレスの腕がワナワナと振るえ伸ばされていく・・・

「さぁ、アレスよっ、フヲ〜〜ス・・・じゃなくって、

仮面の暗黒面にその身を委ねるのだっ!!!」

「・・・いや、仮面は・・・もう・・・」

「男たるものっ、仮面(ペルソナ)の5や6つ備えているものだ」

「お、俺は・・・」

「心を・・・解き放てっ!!! 今この時こそ、その瞬間だっ!!!」

丸で熱病にでも魘されるかのように、それでも当然のように

アレスは漆黒の仮面を自分の顔をへ近づける。そして・・・

「・・・、『EXCHANGE』 っフヲオオォォオオオォオオオッ!!?」

部屋に満ちる漆黒の光・光・光。

それが収まった時、今、此処に、闇の中で血塗られて生きるヒーローが誕生した。

「・・・気分は如何だ?」

「・・・悪くない。寧ろ最高だ。今なら、黒化リオも こ わ く な い」

「そうだ、今、お前を止められる者は存在しない・・・かもしれない。

さぁっ、心が命ずるままに行くがいいっ、『マスク・ド・ダークネス』!!!」

「倒すべき悪が、俺を呼んでいるっ!!!」

アレス 否、マスク・ド・ダークネスは窓を開け放ち、其処から颯爽と行ってしまった。

何処へいったダークヒーローを満足げに見送ったライは、頷きつつも懐から

無骨ながら狂々しい鋼色の仮面を取り出す。そしてソレを自分の顔に当て

「では、俺の改めて・・・『変・神』」

男の身体から立ち昇るのは、禍々しい金色のオ〜〜ラ。

何か色々々絶好調なライ 否、マスター・オブ・ドラグーンは

何モノにも縛られる事無く闇夜の帳へと飛び出したっ!!!!

が、

 「まてぇーいっ!!! 貴様を解き放つわけにはいかないのよっ!!!

貴方は、私が、ここから、逃がさないっ!!!」

黒くてもフリフリな衣装・・・いうならアイドルなソレを黒くした

成人女性が着るのってブッチャけどうよ? な黄金の仮面のヒロインが其処にっ!!?

マスター・オブ・ドラグーンの前に立ちはだかったっ!!!

「・・・恥女?」

 「ちっがーうっ!! 私はっ、正義の金色仮面忍っ、・・・『葉影』ィッ!!!」

「・・・ぶっちゃけ、恥ずかしくない?」

 「恥ずかしくないっ!!!」

「・・・なるほど、諸悪の根源たる者の前に立ちはだかる正義のヒロインか。

よろしい、悪のっ、悪たるっ、悪の業の全てをもってっ御相手しようっ!!!

我が前に立ちはだかった事を、その身を女の快楽で泣かせて後悔するがいいっ!!!」

 「やってみろっ、ヘン・タイ・キ・チク」

「ふはははははははははっ!!!」

今、此処にっ、悪の仮面男と仮面ヒロインの戦いが勃発したっ!!!

・・・、傍迷惑な仮面プレイと言うなかれ。

その後、数日間アレスの姿は何処にも見当たらず、アレス分が足りないリオが

半狂乱に意気消沈し、始終ベットを涙で濡らしていたのは些細な問題である。

チャンチャンっ♪




次回予告

ダークヒーロー『マスク・ド・ダークネス』

諸悪?の根源『マスター・オブ・ドラグーン』

正義の陵辱ヒロインの金色仮面忍『葉影』に続き

新たなる仮面のヒロインが現れる。

それは、仮面の金髪淑女プリンセス・ウィドー

希望なる都市に、妖艶な華が咲く・・・

「えっっ、私じゃないんですかぁっ!!? そんなぁ・・・アレスくん(ぐすん」

・・・大嘘。





○漆黒仮面『マスク・ド・ダークネス』
ライが手渡した漆黒の仮面によりアレスが転生 もとい成り切ったヒーロー。
リミッター完全解除で当社比1.25倍の各種能力を誇るだけではなく
若いながら1.5倍のダンディを振り撒いて、どんな女性もメロメロ♪ 相手は選ぶけどね。
リオに常駐している『アレスレーダー』ですら捕捉不可能な存在。
尚、装着解除後は身体疲労の激しいものの、心が解き放たれているので気分爽快。

○鋼色仮面『マスター・オブ・ドラグーン』
ぶっちゃけ、ハッチャけてるライ。それ以上でもそれ以下でもないので省略。

○金色仮面忍(ゴールド・クノ一)『葉影』
愛と勇気の使者、忍にあるまじき正義の(ナンチャッテ)熱血ヒロイン。
その正体は言わずもかな、ロカルノ特製の黄金仮面を装着してしまった彼女である。
身体能力は変身前と全く変わらないものの、ドジッ娘を発動しウッカリばかり。
毎度ほぼ自滅的に敗北し、マスター・オブ・ドラグーンに陵辱されてしまう・・・
それでも、止めない、ヤ メ ラ レ ナ イ。
尚、装着解除後は身も心も爽快になるものの、何てことをしてしまったのだと
自責の念で orz 状態になってしまう。また、そんな彼女がプリチーで
彼はレベルMAXにケダモノ化し、以下おやくそく。


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