「アイリーンのレポート2」


どこに存在するかもわからない地下都市、そこに私はいる。

スパイとして潜入したものの今ではどうする事もできない事態に陥り打開策も思いつかない・・

言うなれば出口がない巨大な石牢に閉じ込められたような生活。日の光が差し込まず圧迫感に包まれる空間・・

だがそれだけではない、あの女に陵辱されてから自分の体が自分の物ではない感覚に襲われる。

否、事実・・私の下腹部は違う物に作りかえられてしまった。

これが私の見えない鎖・・もはや逃げる事も・・



「どうかしら・・?もう馴染んでいるかと思うのだけども・・?」


アレを植えつけられてからというものの私は常に全裸にされそれに似つかわしくない洋室で軟禁されている。

服を着る事は許されないのだがそれ以外不自由はしない

もっとも、この両家のお嬢様のような内装など不可解な点は多いのだが・・

そして目の前で質問するは私の体を改造した女、この地下空間の支配者でありターゲットであった組織レイアード幹部のミヒャエル

血のような真紅のウェーブ髪をし痴女としか思えない黒ボンテージと白衣を着込んだ学者魔術師

ホムンクルスや生物兵器の製造をする凶行を行っているだけではなく自分の子宮に正体不明の生物を飼っている。

そして・・その生物と同じ物が私の胎内にも埋め込まれた・・

「冗談じゃ・・ないわよ・・」

精一杯強がってみる、それでなければこの凶行を楽しんでいるミヒャエルに飲まれかねない

「あらあら〜、痛くしなかったのにねぇ・・やっぱり馴染めなかったら?この仔は・・」

「こんな事をして何になるの!?」

「偽りとは言えここでアシスタントをしていた貴女が言う台詞とは思えないわねぇ・・。

戦闘に適した生物の出産は人間の女の子宮に負担が多い。

・・貴女も見たでしょう?使い物にならなくなった子宮達を」

『子宮達』・・被害者達をこの女はそう言う。人としての尊厳などあるはずもなくただ生産プラントの一部品としてしか見ていない。

それほどまでにこの女は狂っている・・

「だ・・か・・ら?」

「人の子宮で耐えられなければ人の子宮を改造すればいいわけ・・。

だけど普通の出産で精神や肉体が崩壊しているあの子達にそれを試す訳にもいかないじゃない?」

「それで、私を選んだわけ・・」

「そっ、まぁそれだけじゃなくて実際相手の自由を奪うのにも使えると思ってね・・。

これを世界中のVIPな女性に植え付けてこちらの意のままに動かす・・なんて面白そうじゃない?」

こんなのを・・世界中に・・!?

冗談じゃない・・

「そんな事・・」

「そんな事しなくても脅しの材料なんていくらでもあるんだけどねぇ・・。まっ、せいぜいがんばってね・・サンプル002♪」

「ふざけるな!お前の思い通り・・っ!!」

殴りかかろうとした瞬間に下腹部が裂けるような痛みが・・!

どうしようもない痛みに思わずうずくまってしまう・・こんな感覚・・味わった事がない・・

「乱暴はよしてよね・・。もう貴女の体の一部は私の思うがままなのよ・・?例えば・・」

軽く指を鳴らすミヒャエル・・

「う・・ぐぅぅぅ!!」

それとともに痛みは増して行き脂汗が吹き出る・・。

子宮が震える・・・・何かが子宮内から出て膣道を下っていく・・!

・・・ブシャ!

「な・・・に、これ・・?」

秘部から紫の液体が滴りそれに塗れて黒い肉塊が床に落ちた。

薬のような鼻につく異臭を放ちながら小刻みに震えるそれは不気味としか言い様が無く

こんな物が私の体から出てきた事に戦慄を覚える・・

「貴女の初めての仔ね・・。ふふふ・・『種』を作り出せるならもう馴染んでいると見て問題ないわねぇ・・これからがんばってね♪」

種・・?これが・・

「こ・・これを取り除く方法はないの!?」

「取り除くって・・自分の子宮を取り除きたいの?」

「こんなの私の子宮じゃない!」

「ふふふ・・認めなくないでしょうけど・・すぐ慣れるわよ・・変わったって事にね・・・」

部屋を出て行くミヒャエルに苛立ちを覚えるのだがどうする事もできない。

私は力なく座り込み自分の秘部から滴る奇妙な液体を見つめ続けた




・・・翌日よりミヒャエルの凶行がついに私に向けて牙を剥いた・・


抵抗をする素振りを見せればすかさず下腹部に激痛が走るためにもはや成すがままにされる私・・

拘束はされなく連れられたのは他の被害者達と同じく異形との交わりを強制される牢獄「交配室」

そして私の相手はブヨブヨとした巨大な肉のなめくじ・・

成人男性ほどの大きさのソレは赤黒く、所々に穴が空いておりそこから小さな触手が出たり入ったりしているのが見えた。

同行したミヒャエルの命令により私は肉のなめくじに全裸のまま自分の意志で馬乗りをする。

肉なめくじは柔らかくクッションに座るように沈んでいく・・

だが・・瞬時に体に衝撃が走る・・

「んんん・・・ぐぅっ!!」

なめくじの表面から触手が生え、密着していた私の前と後ろの穴に猛烈な勢いで侵入する・・

特に後ろの触手の勢いは凄まじくあっという間に腸内を貫通し胃を突き上げ私の口からそれが覗かせる

触手に体を貫通されたのだが苦痛は一切ない・・寧ろ異常な快感で体が痙攣する

私は・・本当に壊されているようだ

対し前の穴に侵入した触手は子宮内に侵入した処で熱湯のような液体を噴出しだしあっという間に子宮を満たしていく・・

だが射精は一向に治まらず私の子宮を破裂させんとばかりに液体を出していく

すると次第に腹は風船のように膨れていき臨月の妊婦のような腹になってしまう

それでも射精は治まらない・・


「ふふふ・・気持ち良いでしょう?性拷問用のなめくじよ・・?お腹は破裂しないから安心して・・。

これでた〜っぷり楽しんでね♪」


「んぐ・・・んんん・・!」

反論したいが口を占拠する触手により喋る事もできない・・そうこうしているうちになめくじの体は起き上がり私にへばり付いてくる

柔らかいその体は私の胸は膨れ上がった腹を包みこみ、口まで貫通した触手がなめくじの体に埋め込まれる

私はなめくじに座位状態のまま体の半分を取り込まれたかのような格好で犯されている

体に力は入らず全身を触手で貫通させられている状態、これでは身動きも碌に取れない

意志とは無関係に涙がこぼれ落ちる・・

その時・・

ズブ・・

「!!?」

なめくじの肉にとりこまれた胸と腹に違和感が伝わる・・

そして・・・

「んああああああ!!」

胸と臍に何かが入ってくる・・!それはまるで木が大地に根を張るように何本も入ってきて広がっていく・・

特に胸の方は酷く圧迫されているのがよくわかる

それでも苦痛はない・・・あるのは快感のみ・・

子宮の中に入り込む触手は私の子宮内をかき回すかのように暴れ回り何度も絶頂を迎える。

それに脳がついていけず猛烈な快感に襲われながら私の意識は闇に消え去った・・



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・



それからどのくらい時間が経ったのかわからない・・

私の体の中に入り込む触手は休む事を知らないかのように常時動きそれに対して体は感じてしまう。

絶頂を迎え気絶し、激しい刺激に目を醒まし絶頂を迎え気絶する

それの繰り返しだ。

時間の感覚などわからなくなる、・・快楽地獄と言ってもいい。

時間が経つに連れて私は何も考えられなくなってしまう・・、こんな状況になってしまってはもはや自我などなくした方が楽なのかもしれない。

スパイとしてのプライドに傷がつくのかもしれないが・・いや・・もはや・・私は人間ではないのかもしれない。


「んんっ!!・・んん・・!」


私の口から生える触手が前後運動を繰り返し自分の意志とは無関係にうめき声を上げる。

すでに腹は人間の物とは思えないほど膨れ上がりそれを肉のなめくじは大事そうに包み込んでいる。

触手の動きは未だ活発、それもそのはずだ。

胸に根を下ろした微細触手が刺激を促し母乳を分泌させる・・それがこの肉塊の栄養となっているらしい。

そして私の体を貫通させている触手からは同じように何か液体を噴出しているのがわかる。

どれだけ気絶しても衰弱しないところを考えると・・栄養を分け与えているらしい。

私と肉のなめくじとで栄養の循環ができている

いや、胸と腹を気味の悪い肉に包まれ馬乗りになった格好で全身を貫かれている私は、もはやこの肉なめくじの一部なのかもしれない

ドクッドクッドクッドクッ・・

そんな中でも子宮の動きは活発だ。あの女が第二の心臓と言った事に納得できるほど動き、成長をしている。

鼓動は正しく私の仔・・、だがそれが人の姿である事などありえない。

私の腹はすでに人の子がいるとは思えないほど変異していた



「楽しんでいるようね・・」


不意に耳元で声が聞こえた・・ミヒャエルだ・・

いつからそこにいたのかはわからない

もう、そんな感覚もおぼろげだ

「んん・・」

「ふふふ、すごいわねぇ・・。ここまで膨らむなんて・・♪綺麗よ・・002」

「・・・」

「まぁ、本能的にわかっているかもしれないけど、もう出産よ。一旦解放してあげるわ」

そう言うとミヒャエルの言葉が理解できるかのように肉なめくじは一斉に私の中から撤退する。

解放された体は液体に塗れきっていた・・それは私の母乳、汗だけではない

喉を解放された感覚は逆に違和感を覚えさせ胸は肥大化、乳首に大きな穴が空いた。

乳腺が目で見えそうなほどほじくられたのか・・外気すら感じてしまう

やがて肉なめくじは独りでに動き出し力なく馬乗りをしていた私を振り落とす。

異常に膨らんだ腹のせいで身動きがとれなくなった私はまるで解剖前の蛙のように仰向けに倒れて動けなくなった

「あら・・すごい・・。とっくに産んでもおかしくないのにまだお腹に留まっている・・。

貴方の子宮がよほどいいのかしらねぇ」

「・・あ・・う・・・」

何か言いたいのだが・・しゃべる事ができない。

口が麻痺しているのか、喉を壊されたのか・・

「まぁそのままだと苦しいでしょう?手伝ってあげる♪」

そう言うとミヒャエルはおもむろに足を上げ・・私の腹を踏みつける・・

「ぐ・・ぇ!!」

ピンヒールが膨れ上がった腹に食い込み衝撃が走る・・!

それと共に私の腹がボコボコと動き回りだす・・。今ので腹の中にいるナニカが暴れ出したようだ

「うぐぐぅぅ・・う・・おあああああああああ!!!」

獣のように悲鳴が上がる。限界まで膨れ上がった腹でさらに暴れるのだ

だが脳に伝わるは痛みではなく快感・・恐ろしいほど気持ち良く秘部からは透明な愛液が噴出しているのがわかる

「ほらほら!早く出てこないとママがイき死んじゃうわよぉ!」

尚も腹を踏みつけるミヒャエル、ナニカは敏感に反応し出口を求め、産道を見つける

ギチ・・ギチギチ!!

肉が軋み、裂かれるような感覚に襲われる。腹の中にいるモノは大きくなりすぎ、私の膣はそれに対して狭すぎる

だがミヒャエルの蹴りを恐れるナニカは遠慮なく私の膣を押し広げ外へと向い出す


「ひぎぃぃぃ!!!!いああああああああ!!!」


裂ける・・裂ける・・裂ける・・!

嫌な音が体を駆け巡る、感覚が正常ならばショックで死んでいたに違いない

・・ブジャアアアアア!!

体が壊れ、それとともに凄まじい排泄音を奏で私の子宮に居座ったモノは外に出た。

それはやはり、私を犯していたあの肉塊に良く似ていた・・・

「元気な赤ちゃんよ♪002、ほらっ、まだお腹に沢山いるみたいよ!いきみなさい!」

楽しむようにそう言うミヒャエル。

それに反論する事もできず、私は獣のように咆哮を上げ最初に産み落としたのと全く同じ化け物をひり出していく。

最初ほど衝撃がなかったのがせめてもの救いであった・・。



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・


次に目を醒ました時、ミヒャエルの姿はなかった・・。

場所は交配室のまま私は気を失っていたようだ。

これほどの陵辱を与えられていても狂わせてくれない、あの女が植えつけたモノがそうしているのか・・。

力なく体を起き上がらせて体を確認する。

それに笑いがこみ上げた・・

体は粘液塗れ、それも私の中からもれてくる紫色の不気味なモノ。

大きく広がった乳首からは未だ母乳が垂れ腹は元通りに戻ったものの秘部は悲惨なほどに広がりきっている。

奥の方まで外気を感じる事ができ閉じる事もできない

「・・・う・・お・・」

もうしゃべる事ができない・・

しかしこの地獄に終わりが見えない。

・・何故ならまるでツガイのようにあの肉なめくじが未だに部屋におりこちらの様子を伺っているから。

再び同じ事が繰り返させる。

しかし指一本動かす事もできず接近してくるぶよぶよした肉の塊を見つめる事しかできない

果たして今の私の瞳に意志の光はあるのだろうか?

身動きできずにそれを見つめる瞬間・・


グジャ!


不意に肉なめくじの体が潰れる。何か硬い物に引き裂かれたような感じだ。

そして・・

「・・・・・・・、座標確認・・。行動、開始・・」

何時の間にかそこには1人の女性が立っていた。

スラッと長い蒼髪をした女性、袖丈の長い黒いチュニックに同じく黒い長ズボン。

服装からしてメイドのようにも見えるのだが私がここに来て見たことがない顔だ。

整った顔つき、だが・・人形のように完璧過ぎ瞳に感情はない

「あ・・・あ・・」

何かしゃべろうにもうまく話せない

だが目は何とか合った

「・・協力者と確認、任務遂行を優先」

機械的な声、だが敵意はない。

何ともなしにわかる・・この女は人間ではない事が・・

それに先ほどから子宮がキリキリと痛みを発している、まるで目の前の女を恐れるかのように・・


バァン!


呆然と彼女を見つめているうちに交配室の扉が勢い良く開かれMVが数体入ってきた。

全員武装をしており前置きもなく彼女に襲い掛かる。

「・・MVと認識。・・捕食開始・・」

対し蒼髪の女性は感情無き声を呟きMVが仕掛けるよりも速くその五指をMVの首に深く突き刺す。

「・・・!!」

突き刺された赤髪のMVは目を見開きカクカクと痙攣をするのだが数秒で力なくうな垂れ動力の切れた人形のように倒れこんだ。

それに他のMVは警戒するも蒼髪の女性は何の遠慮もなく次の獲物に対し行動を開始する。

狙うは全て首、頚動脈・・屈強にして素早いMVの動きを完全に見切っておりかすりもせずに次々と仕留めていく

・・あれだけ脅威と思われてきたMVの惨敗に私の思考回路は完全に麻痺状態にあった

だが、それでも蒼髪の女性の異常は理解できた。

MVに突き刺した彼女の手はその血に塗れていたのだがそれが蒸発するかのように消えていくのだ

それも数秒で・・

「・・・・目標、接近・・・」

うわ言のように呟く女性、そしてすぐさま交配室にミヒャエルが駆け込んでくる。

それは狂行を楽しんでいた彼女とは思えないほど険しい表情になっている

「・・MV・・!?いや・・その顔・・真坂、捕食者(イーター)・・!!」

捕食者・・?女性が・・MVを食った・・?

「・・目標、ミヒャエルと確認・・」

「どこの差し金かしら・・・・?私の居城にいとも簡単に侵入するなんて・・!」

「・・、質問に応える許可は与えられていません。

任務遂行、目標への伝言・・『大好きな弱い者いじめが尻尾を掴ませる羽目になったようだね〜』」

感情の篭らない声とは裏腹に伝言の言葉は陽気なモノ、それが違和感を与える

「・・なっ!!?その口調・・まさか・・!?」

ミヒャエルの顔色が真っ青になった瞬間・・

ドォ・・ン!!

大きな振動が伝わる・・部屋全体が揺れている・・

「『挨拶変わりだよ〜ん、とっておいてね〜ん』以上・・主よりの伝言です」

「くっ!ならばお前を捕まえてあいつの居場所を・・!!」

鬼気迫る表情で蒼髪の女性に襲い掛かるミヒャエル、だが女性はその動きを無視して瞬時にして私の目の前に姿を見せる

「協力者の保護・・完了・・帰還転移シーケンス・・」

軽々と私の体を持ち上げ独り言を呟く女性、何をしているのか・・状況がわからない・・

「待て!ここから逃げれると・・!(ドォン!)・・っ!!?」

「第二爆撃開始、施設崩壊率50%到達・・」

「・・貴様・・!?」

焦げた臭いが周囲に漂う・・。爆撃・・っと言う事は何者かが爆薬を仕掛けた・・?

わからない・・わからない・・


「転移システム起動、ジャンプ・・」

耳元で無機質に呟く女性の声、それとともに周囲は白一色に光り私の意識は消え去った



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



周辺には草木がほとんどない荒野、夜も深まった時刻1人の女性はそのど真ん中で呆然と月を見つめていた

蒼くボサボサな髪、グルグルな眼鏡をつけて染みついた白衣を夜風になびかせている

周囲は静寂そのもの・・だが・・周期的に地面が小刻みに震えておりそれに女性は静かに笑う

「・・地下空間での火災は大変だよ〜・・」

愉快そのものに笑う、次の瞬間に閃光が走り彼女の隣に蒼髪の女性が姿を見せた

背には長いブロンド髪をした全裸の女性を背負っている

「・・任務終了です、御館様・・」

「おう!ファミリアたん!おっつかれぇ!」

女性の明るい問いかけに蒼髪のメイド、ファミリアは無表情のままで一礼をする

その途端再び閃光が走り今度は紅髪の女性が姿を見せる。

髪の色以外は着ている物から何からファミリアと呼ばれたメイドと全く同じだ

「・・爆破任務終了しました。都市の87%崩落、目標および研究員、生体被験者は転移装置にて別都市に移動した模様です」

「うむ!ご苦労!流石はスレイブたんだ!」

紅髪のメイド、スレイブを褒め称える女性、心底な明るさを見せているのだがメイド二人とテンションがまるで違う

「MVの体は美味だったかい〜?」

「今回は任務優先です。血液のみを捕食しました・・。

・・・御館様の仰る通り大変美味でした」

「そうかいそうかい♪今度は肉も食べれるように時間配分してあげるよ♪」

「ご主人様、任務はこれでよろしかったのでしょうか・・?」

「んん〜?ああっ、制圧してあの女を切り裂かなかった事に対して疑問に持っているのかえ?」

「そこまでの事は・・。ただ、敵地に潜入しておきながら相手を逃がす事を前提に破壊工作をする理由が理解できません」

「ん〜・・・まぁ、あの女は私と同じ・・って事さね♪

今殺しても直に代わりが出てくるしねぇ・・まっ、動揺を与えて追いつめたほうが面白い事もあるしねぇ♪」

ヘラヘラと笑う女性だが冗談で言っている様子ではない

「それよりも・・協力者をどうしましょうか・・?」

背負っている女性を降ろしながらファミリアが言う。先ほどまでとは違いまだ人間味がある口調だ

「彼女の生体反応のおかげで居場所が突き止めたモノだからねぇ〜、お礼がしたいんだけど・・ファミリアたん、容態はどうなんだね?」

「生体改造が末期まで進んでいます。植えつけられた『種』が侵食して体細胞を変化し続けているようです。

このままでは・・」

「・・おぞまし〜化物になっちゃうねぇ・・。

様子からして、子宮に『種』を植えつけられて異種姦に遭ったってところだね。・・身元は?」

「西国の工作員、通称”アイリーン”です。ご主人様、いかがなさいますか?」

「まっ、相手を考えずにスパイ送り込んだその国は馬鹿の一言に尽きるが〜、この子に罪はない、寧ろ被害者だね。

・・救ってやろうじゃないかい」

「・・では・・」

「種が植え付けられた子宮を完全除去して人工子宮を植えつける。

それとともに他に変異細胞の転移がないか確認した上で顔面整形、および記憶の完全除去・・ってところだね。

今の状態は人間に見えてもう人間じゃないからねぇ・・・文字通り生まれ変わらせるよ〜」

腕をまくりやる気を見せる女性、だがメイド二人には特にリアクションなし

「・・西国の対処はいかが致しましょうか・・?」

「アイリーンはあの女と接触をしているはずだ。この子が頭ん中で国名を思い浮かべてなければばれていないだろうが〜

灸をすえる形でこの子が書いたかのようにレポートでも書いて郵送してやるか・・」

「畏まりました。ではアイリーンの記憶データを模写して郵送します。題名は・・?」

「アイリーンって名前なんだろう?なら、『アイリーンのレポート』でいいんじゃないかな?

少なくともそれで下手に連中に手を出さなくなるだろうしね〜。

この子の体の変異からして相当ハードな目にあったのは間違いないだろうし〜」

「畏まりました。では・・館に帰還しましょう。仮死状態にしてますが・・種の侵食は今も進んでいます」

「そだね〜、そんじゃ・・転移できるかね?」

「アイリーンの存在を感じ取り地下都市に潜入する事に比べたら・・容易い事です」


「流石私の愛しきスレイブたんとファミリアたん♪そんじゃ・・帰還〜♪」

明るい声が荒野に響く中、閃光が走りその場にいた四人は忽然と姿を消すのであった。





一ヵ月後

周辺諸国の首脳陣に衝撃が走った。

今までその存在を確認できなかった秘密組織「レイアード」に潜伏したスパイ、アイリーンがその貴重な情報を持ち帰ったのだ

ただ本人は行方不明のまま、レポートのみが王室に届けられその信憑性を疑問する者もいたのだが

その凄惨な内容に目を通した者は凍りつきレポートはすぐに封印される事になる・・

・・それとは別に大国ハイデルベルク中央部の町プラハに突如としてブロンド髪の美女が見かけられるようになった。

本人に記憶がないのだが近隣の森に住む錬金術師の元に世話になっているらしくその買出しに出てきているのだ

記憶喪失のところを錬金術師に助けられた事に同情する者も多いのだが

彼女はそんな事をまったく気にした様子も無く今日も爽やかな笑みを浮かべ食料調達をしている・・



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